■製作年:1979年
■監督:ルイス・ギルバート
■出演:ロジャー・ムーア、ロイス・チャイルズ、ミシェル・ロンダール、他
この「ムーンレイカー」はついにジェームス・ボンドは宇宙に飛び出してしまい荒唐無稽もここまできたか!と思わされる作品です。当時は「未知との遭遇」や「スターウォーズ」などが大ヒットしたSF映画の全盛期であり007映画もそれの影響をうけて、当初予定の「ユア・アイズ・オンリー」から急遽変更になったとか。展開はスペースシャトル(スペースシャトルが盗まれる!)が、何者かに奪われてそれを見つけるためにボンドが動きはじめ、ベニス、ブラジル、アマゾンへと駆け巡ります。結果、ドラッグスという航空宇宙産業を牛耳る男(これが今回の悪役)の秘密基地がアマゾンの奥地にありそこへ乗り込んで行きます。う~ん、そこまではこれまでの007映画と大差ないのですが、ここから先はもうハチャメチャな世界へと突入していくのでした。なんとこのドラッグスという悪党は、地球を毒ガスで破壊し、ノアの箱舟よろしく何人もの男女のカップルを宇宙に運ぼうとします。そのためにスペースシャトルを盗み、独自に発射基地を作り、そのスペースシャトルを自身の計画のために、なんと6機も同時に発射させるというアメリカもなし得ないことをします。と、驚きや、宇宙には巨大な宇宙ステーションが…、いつの間にこんなものを作ったの?この「ムーンレイカー」は、ここへきてスパイ・アクション映画というよりはSF映画という出来になってしまいました。
ただ、そうはいっても冒頭のスカイダイビングの場面は、本来の007映画における真っ向勝負の凄い映像でありました。パラシュートなしで落下して大丈夫なのか?これはどこまでが実写なのか?と眩惑されその映像にハラハラさせられます。調べるとこのスカイダイビングでの大空におけるパラシュートなしでの格闘シーンは、特撮なしで撮影されたらしいのだ。まさに命懸けの撮影であり、命懸けで創られた息を呑むようなスリリングな映像でありました。007の大きな魅力の一つとして超人的なアクション・シーンがあるとするならば、この映像は屈指ものではないでしょうか?それと今回のユニークなところは、前作に続き登場した2mを超える巨人ジョーズが途中から恋人?ができ、ラスト近くボンドを助けることです。この時、ジョーズはその恋人と唯一の台詞があります。「二人に乾杯」憎めないキャラクターです。

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