♦️602の2『自然と人間の歴史・世界篇』原子と原子核に働く核力の振る舞い

2018-09-30 20:46:21 | Weblog

602の2『自然と人間の歴史・世界篇』原子と原子核に働く核力の振る舞い

 

 極微の世界でいうと、よくそれで自然界というのはなりたっているんだなあと、ホトホト感心する。例えば、シリコン(Si)の原子というのは、原子番号が14、質量数が28となっている。この原子は、半導体をつくるのに必要だ。

具体的には、マイナスの電荷を帯びた電子とプラスの電荷を帯びた陽子を14個ずつ、そして電気的に中性、つまり電荷というものを持たない中性子を14個持っている。これら三つの粒子は、これ以上細かく分割できない、小さなものといういみで、素粒子(そりゅうし)と呼ばれる。

  この3つで構成される原子の大きさは、直径が約1オングストローム、1×(かける)10の10乗メートル、つまり1メートルを10の10乗分(10を10回掛け合わせた分)で除したものに等しい。シリコン原子の最も外側に位置する電子が、この直径のところまでに存在していると考えられる。

 そして、電子の存在する領域のずっと内側には、陽子と中性子でつくられる原子核が存在しているという。これの直径としては、1×(かける)10の14~15乗メートル、つまり1メートルを10の14~15乗分だけ掛け合わせたものに等しいという。

 ところが、ここに次のような疑問が生じた。というのは、このモデルによると、直径がマイナス10乗メートル程度にも小さいシリコン原子核の中に、14個もの陽子がすべてプラスの電荷を帯びて

集まっているではないか。それら陽子群の間には、強力なクーロン力によって反発の力が働いていると考えられるからだ。一方、電子はといえば、原子核よりはるかに外部にあることから、原子核の中で押しあいへし合いしている陽子間の反発力を緩和することはできない相談だ。

 とはいえ、シリコン原子核がばらばらになるわけではなく、一つの原子としてまとまって存在していることが、すでにラザフォードが行った実験によって確かめられている。したがって、原子と原子核とは別の何かの力が働くことで安定しているのではないかと物理学者たちは考えた。日本の湯川秀樹が、その代表格であった。

 湯川の考えでは、「中間子」という未知の素粒子を電子、陽子そして中性子との媒介役として結びつくというものだった。それらのはたらくのは、核力という短い距離のことであって、その未知の粒子の質量は電子のおよそ200倍だというのであった。これが理論的中身であって、彼はこの新しい粒子を「中間子」と名付けた。

 ついては、その粒子の存在することがどこかで発見されなければならない、そういうところから、その後多くの専門家によって観測がなされ、ついにその粒子の存在するのが確認された。

 

(続く)

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