○○549『自然と人間の歴史・日本篇』「日の丸半導体」の凋落

2018-10-20 10:20:40 | Weblog

549『自然と人間の歴史・日本篇』「日の丸半導体」の凋落

 「栄枯盛衰」とは、最近の日本の産業界でも言われるようになっているのではないか。そんな形容がなされて不思議ではない現象に、「日の丸半導体」の趨勢があろう。

 まずは、その変化から拾っていくと、1990年の世界のメーカー別シェアは次のとおりであった。1位はNEC(日本電気)で7.9%、2位は東芝で7.7%、3位はアメリカのモトローラで6.5%、4位は日立製作所で6.4%、5位はアメリカのインテルで5.8%であった。

それから6位は富士通の4.8%、7位はアメリカのテキサス・インスツルメンツの4.7%、8位は三菱電機の3.9%、9位はオランダのフィリップスの3.6%、そして10位は松下電器産業の割合は3.3%であった(朝日新聞、2018年6月28日付け、元の出所は調査会社ガイトナー調べ)。

見られるように、10位までに、実に日本メーカーが6つもはいっていたというから、驚きだ。それが27年経過しての2017年には、こう変化した。すなわち、1位は韓国のサムスン電子で14.2%、2位はアメリカのインテルで14.0%、3位は韓国のSKハイニックスが6.3%、4位はアメリカのマイクロテクノロジーで5.4%、5位はアメリカのクアルコムで3.8%。

6位はアメリカのブロードコムの3.7%、7位はアメリカのテキサス・インスツルメンツの3.2%、8位は東芝の3.0%、9位はアメリカのウエスタンデジタルの2.2%、そして10位はオランダのNXPセミコンダクターズの2.1%であった(朝日新聞、2018年6月28日付け、元の出所は調査会社ガイトナー調べ)。

見る影もないとはこのことをいうのではないのだろうか、日本メーカーは東芝一つになっている。しかも、この東芝だが、2017年ころから経営再建の渦の中にあった。そして迎えた2018年の6月に、名目上はともかく東芝の経営ということではなくなってしまった。

それというのも、東芝の半導体会社「東芝メモリ」が紆余曲折を重ねた末、アメリカのペインキャピタルが率いる「日米韓連合」に売却された。約2兆円の買収資金を10社余りが拠出したという。その後(ただし、「当面」とされる)の東芝メモリの議決権の国別割合は日本勢(東芝、産業革新機構、日本政策投資銀行)が50.1%を占めるというものの、残りの49.9%をアメリカのペインキャピタルが担うのだという。

顧みると、同じ半導体の中でも、かつての主役はDRAM(ダイナミックラム)であったのが、幅広い半導体種別に成り代わってきている。各社とも、絶えず大量の開発投資をしていかないと、立ち行かない。2012年には、経営破綻した日本のエルピーダメモリをアメリカのマイクロン・テクノロジーが買収していた。そのエルピーダメモリは、NEC(日本電気)、日立製作所、三菱電機のDRAM事業を統合して生まれ、政策投資銀行も出資したものの、激しい国際競争の中で経営を持ちこたえられなかった。

 

(続く)

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