610『自然と人間の歴史・世界篇』インドと中国の国境紛争(1962)
1962年10月、中国の人民解放軍がヒマラヤ国境を越えてインドに軍事攻撃を始めました。二つの紛争地域に兵を進めていたインド軍は3000人を失うという大敗を喫して退却しました。
中国軍は、北東辺境管区の国境全域とアクサイチンを制圧しました。そこで中国は停戦を宣言し、1959年に両国が支配していた地域の境界線より内側に撤兵する予定をインドに示しました。両者の間には、「あいまいな国境線」が残されました。
このとき、ネルーは15年間堅持してきた非同盟政策にもかかわらず、アメリカに救援を求め、ケネディ大統領はベンガル湾に空母を派遣するよう命じたところでした。
この問題の本質の一つにチベットの領有問題があります。中国側の主張に拠れば、チベットは昔からの中国の領土であるし、この地域を含む中国からの分離派に対しては断固たる態度で臨むことになったことになります。インドと中国はその後も国境紛争を繰り返し、最終的にインドが中国のチベツト領有を認めたのは2003年でした。
(続く)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆