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【cinema】『スイス・アーミー・マン』

2017-10-25 00:28:20 | cinema

2017.10.04 『スイス・アーミー・マン』鑑賞@TOHOシネマズシャンテ

 

試写会応募したけどハズレ💦 DVDでもいいかなと思いつつ、とっても気になった。調べてみたら、17:25からシャンテで上映中。レディースデイの水曜日定時上がりできたら行ける! ってことで、かなりギリギリだったけど行ってきた~

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「無人島に流れ着いたハンクは、助けを待つが絶望し自殺しようとしていた。すると波打ち際に男性が打ち上げれているのを発見。甦生を試みるもすでに死亡していた。すると遺体からオナラのような音がし、次第にジェットスキーのように動き出した。ハンクは遺体に乗って無人島からの脱出を試みるが・・・」というあらすじからして一筋縄ではいかない感じがヒシヒシ伝わるかと思うけれど、これ何だコレ? もう全編不思議な感じで、でもよくよく考えるとなかなか深い話だったりして嫌いじゃない。上映時間がもう少し長いとキツかったと思うけれど、97分と短いので不思議感にゲンナリすることなく見れた。

 

監督・脚本はダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン。どうやらダニエルズというコンビ名で活躍しているのかな? ミュージック・ビデオなどを手掛けていてYouTubeでも人気なのだとか。今作が映画デビュー。なるほど、クリエイティブ・コンビによる作品と考えると腑に落ちる部分もあったりする。

 

公式サイトには裏話的なものはあまりないかな? 万能遺体メニーの機能が見れたりと楽しそうではあるけど、まだちゃんと見ていない💦 とりあえず、毎度のWikipediaから引用しておく。

 

2016年にアメリカ合衆国で公開されたドラマ映画である。監督・脚本はダニエル・シャイナートとダニエル・クワンからなるコンビ・ダニエルズが、主演はポール・ダノとダニエル・ラドクリフが務めた。2015年6月、ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフ、メアリー・エリザベス・ウィンステッドの3人が本作に出演することになったとの報道があった。7月14日、本作の主要撮影が始まった。撮影はカリフォルニア州のサンペドロとハンボルト郡を中心に行われ、8月7日にその工程を終了した。

 

メニー役は大半をラドクリフが実演したが、一部のシーンではスタントマン、またラドクリフ本人をかたどった人形が使用された。作品は監督ふたりの頭に「おかしな映像」が浮かぶことから始まったというが、この作品ではメニーに乗ったハンクが海を駆けるシーンがそれだったという。ラドクリフは出演にためらいがなかったと回想している。ダノの側も、脚本を数ページ読み、冒頭のおならのシーンに辿り着いた段階で出演を決めていたと答えている。

 

劇中音楽はマンチェスター・オーケストラとして共に活動するアンディ・ハル、 ロバート・マクダウェルが手掛けたが、一部の曲では主演したダノ・ラドクリフの声を用いたレコーディングが行われている。

 

2016年1月22日、本作はサンダンス映画祭でプレミアを迎えた。 その直後、A24が本作の全米配給権を購入した。当初の予定では、本作の全米公開日は2016年6月17日となっていたが、後に公開日は6月24日に延期されることとなった上、限定公開となった。その後同年7月1日に全米公開された。2016年4月には予告編が公開された。アメリカ合衆国ではR指定となった。公開に際して、公式サイトではラドクリフ演じるメニーで遊ぶことのできるコンテンツが配信された。

 

サンダンス映画祭では、その設定の奇抜さについて行けなかった観客が途中退席した。本作は賛否両論となったが、肯定派の方が優勢である。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには180件のレビューがあり、批評家支持率は68%、平均点は10点満点で6.6点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「好感の持てる奇抜さと実に見事な演技のお陰で、『スイス・アーミー・マン』は勇気ある観客にカテゴライズ不可能な体験をさせることができる。」となっている。また、Metacriticには36件のレビューがあり、加重平均値は64/100となっている。

 

ダニエルズのふたりは、2016年サンダンス映画祭で、米国ドラマ映画部門最優秀監督賞を受賞した。また、第49回シッチェス・カタロニア国際映画祭では主演男優賞・作品賞を獲得している。

 

とのこと。サンダンス映画祭では観客が途中退席しちゃったのね! 予備知識なしで見たらそんなことになっちゃうかもしれないけど、これは最後まで見ると、いろいろ深かったりするのだけどね。

 

冒頭、メッセージが書かれたゴミが海に浮かぶ。無人島に1人で取り残されているから助けて欲しいという内容。アイスのカップのような物に書かれたそれは、あまりに小さく海は広い。ってことで望み薄。切り替わって島の洞窟のような場所。メッセージの主ハンク(ポール・ダノ)が首を吊ろうとしている。紐?が切れちゃったり、踏ん切りがつかなかったりなどちょっと長め。遺体に乗って海を渡っているチラシを見ていたわけだから、コメディ要素があるだろうことは分かっていたので、この辺りのコミカルな感じもイヤではない。ふと見ると波打ち際に人が打ち上げられている。慌てて駆け寄り人工呼吸などしてみるものの完全に亡くなっている。亡くなっていれば仕方がないし、自分も死ぬつもりなので遺体を放置して再度自殺を図る。すると遺体がお尻からオナラを噴射しつつ、動き始める。もちろん遺体自体が動くわけじゃないので、人形が動いているような感じ。

 

再び遺体のそばに行ってみると、もうかなりの勢いでオナラを噴射して動き回る。これはおもしろい! そしてハンクはこの遺体に乗ってみる。すると彼を乗せて水上スキーのように進んで行く。振り落とされないように遺体に首つりに使っていた紐を括りつけ、遺体を乗りこなす。これは楽しい! このシーンが見たくて見に行っているわけだから、本当にわらった。しかし、調子に乗ってこぶしを振り上げてはしゃいでいたら海に落ちてしまう。あら?

 

ハンクが目を覚ますと浜辺に打ち上げられていた。遺体もある。アレ? てっきり遺体に乗って海を渡る顛末を描く映画だと思っていたので、遺体水上ジェットのシーンが意外にも少なくてガッカリ💦 うーん? この先どうなるのか?? ハンクは崖を見て、戻ってこれたと確信する。見覚えのある崖ってことかな? いったいどこに戻ってこれたのか? 大喜びしてスマホを起動するけれど圏外。電池残量もわずか。ハンクが海に流していたメッセージにより、ボートで海に出たら無人島に流されてしまったということは説明されてはいるのだけど、そもそもの顛末がないので、ハンクがどういう感じで海に出たのか不明なのだけど、かなり軽装で出かけたのかな? スマホはあるけど充電器などは持っていないようなので、軽い遊びって感じだったのかしら? まぁいいけど。

 

前述したとおり無事に自分の生活エリアに近い場所に帰ってきたことを確信しているっぽく、ハンクは早速家に帰ることにする。遺体は遺体なので当然置いて行く。ことが出来ずに遺体を運ぶことにする。まぁ、亡くなっているとはいえ命の恩人なのでね。ここからしばらくは森の中をハンクが遺体を運ぶ描写が続く。コミカルでありながらシュールな感じなのだけど、それをいちいち描写しても伝わらないだろうし、おもしろくないと思うので割愛。いわゆる物語的なものはなく、ハンクが自分の生活圏に帰るまでをちょっとファンタジー的な、でもどこかシュールな感じで描いていく。その過程で遺体がタイトルどおりスイス・アーミー・マン能力を発揮していくわけなので、その辺りを紹介しつつ印象に残ったシーンのみを記載しておく。

 

オナラが止まらない遺体を負ぶったり、引きずったりしながら森の中を進む。雨が降ってきたので洞窟へ避難。するとたっぷり体内に雨水の溜まった遺体の口から水が出て来る。恐る恐る飲んでみるとおいしい!ってことで、ゴクゴク飲む。これが機能の1つ。その前に遺体に括り付けた紐を歯でカットしたりしたっけ? 急に不安に駆られ感情が爆発するハンク。遺体でもいいから話したいと言うと、なんと遺体が話し出す。え そういう話なの? なるほどね。それならそう見ればいいだけのこと。遺体はメニーという名前であることが判明。以降、ハンクのメニーの便利機能を使ってのサバイバルと、2人が友情を育んでいく過程を見ることになる。

 

公式サイトには10個の機能が紹介されている。既にジェット噴射、水筒、カッター、会話については書いたけれど、いくつ忘れていた機能もあり。さらなる想像を超えた機能ってあれ?(o゚ェ゚o) と、ちょっと不安な部分も。なので、本当に自分が印象に残ったものだけ書くと、機能8の斧はその機能自体もさることながら、そのコミカルな映像に笑った。ちょっと言いにくいのでボカすけど、体の一部が方位磁針になる。これもバカで笑った~ そうか!想像を超えた機能ってこれか!

 

どれも重要な機能だけど、見てて一番おもしろかったのはジェット噴射をいろいろ応用したものかな。機能6の銃も機能10のバーナーも結局腐敗ガスではあるのだけど。これを利用して空を飛ぶ。この機能が水道管?を伝って川を渡る際に落下してしまった時にも、熊に襲われた時にも役に立った。後はやっぱり機能3の水筒かしらね。水があれば命がつなげるからね。とはいえ、動物を捕まえて食べたりしてかなりサバイバル能力高かったけど。

 

とはいえ、ハンクにとって一番大きかったのは、メニーの機能ではなくて彼との会話であり、彼と育んだ友情だったのだと思う。おもしろいのは、メニーと会話が成立するけれど、彼が生き返ったわけではなくて、あくまで遺体として存在しているということ。そして、人間の時の記憶はなく、まるで子供のようにハンクとの会話から学んでいくということ。例えば『ジュラシック・パーク』のテーマ曲とか、指が赤くなるスナックとか他愛ないものから、恋愛についてまで。

 

メニーはハンクのスマホの待受け画面の女性に恋をする。この待受けは最初にハンクが電源を入れた時から見ているので、見ている側は彼の恋人なのかと思っているわけなのだけど実は違う。どうやらハンクは父親との関係が上手くいっていないらしい。そのことから人と上手く関われない部分があるのかな? この待受けの女性はサラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)で、毎日バスが一緒になるけど一度も話したことはなく、一方的な片思いなのだった。なるほど。この辺りのことを描きたいということなのかなと思うわけです。

 

ここでハンクが意外な能力を見せる。なんと木や不法投棄?されたゴミなどを使ってバスを作る。そして、自ら女装してサラ役を演じる。メニーとサラの出会いを演出したということ。そして2人は会話をし、映画を見に行き、カフェでお茶を楽しむ。ゴミなどで作られたそれがいちいちポップでカワイイ これらのシーンはメニーを楽しませるためにハンクがしていることだけど、実際はハンクが望んでいることなのでしょう。要するにハンクは現実世界ではそれが出来ていなかったわけで、かなり切なく重いテーマになってくる。おそらく描きたかったのはこの部分で、人とのコミュニケーションの大切さとか、友情や愛情の大切さってことなんだと思う。それをこんなにかわいらしく見せちゃうのが好きだった。このシーンはスローを多用したり、音楽も素敵で映像がとっても良かった。

 

まさかこのまま森の中で生活しちゃうのか?と思っていると、ちゃんと動き出す。前述したとおり川に落ちたりと冒険をしながら進む。川の中で2人がキスするシーンはちょっと意味深。ブロマンス的なこと以外に意味がありそうな気がする。そして、メニーのオナラ大爆発でロケットのように水中から脱出するのも好き

 

また2人は熊に襲われたりする。ハンクは足を噛まれてしまったりと、かなり危険なシーンにも関わらず何故かコミカル。なかなか苦戦するけれど、メニーを使って追い払う。そして木の上に逃げるんだっけ? ちょっと記憶があやふやになってしまった💦 たしかここでハンクは眠ってしまうんだよね?

 

次にハンクが目覚めると、メニーが彼を引きずって民家の裏庭にいるところだった。そこはサラが家族と暮らす家。現れたのはサラの幼い娘。異質なものも受け入れる力は幼い子供の方があったりして、メニーのことも全く怖がらない。気をよくしたメニーは特技を見せると言い出す。まさかの方位磁針?と焦ったハンクがメニーを殴ってしまう。驚いた娘が泣き出し、サラが現れる。ハンクはケガをしているし、メニーはどう考えても普通の状態ではない。救急車を呼ぼうかという騒ぎになる。そんな中、ハンクのスマホの待受けに自分の姿を見つけ動揺するサラ。まぁ当然。

 

サラの夫も駆けつけ、救急車や警官、そしてマスコミまで現れる大騒ぎになってしまう。メニーは遺体として搬送されることになった。そこに現れたのがハンクの父親(リチャード・グロス)。初めはハンクの無事を喜ぶものの、彼の起こした事件に怒り出し去ろうとする。今まで呆然としていたハンクが突如メニーを奪い走り出す。

 

海に向かったハンクを止めようとする人々。その姿を撮影しようとするマスコミ。するとメニーが動きだしオナラをしながら海のかなたへと去って行く。振り返るハンク。複雑そうではあるけれど、分かったというように微笑む父親。それに応えるように微笑むハンクで終了。

 

ハンクとメニーのバスやカフェなどもマスコミに発見されていたような気がしたけど違ったっけ? ちょっと記憶が曖昧なのだけど、たしかハンクの大切な部分が晒されてしまうことに、いたたまれなさのようなものを感じていたのであったと思う。

 

結局メニーとは何だったのか? 全てがハンクの想像のようにも取れるし、実際動き出したとも取れる。どちらに解釈してもOKなのかなとは思うけれど、これはやっぱりハンクの内面というか、実際はこうでありたいというような願望の表れなのかなと思う。全てをさらけ出し、それを受け止めてくれる存在が欲しい。そして、誰かコミュニケーションを取りたいというような。それぞれのシーンは表面的に見せられていることよりも深い意味がありそう。それらを全て理解できた自信はないけど感じ取ることは出来たと思う。

 

キャストはサラと父親はそれなりに重要な役ではあるものの、印象に残るほどの出演シーンでもないので割愛。ほぼ2人芝居。メニーのダニエル・ラドクリフはよくこの役選んだねとも思うけど、『ホーンズ 容疑者と告白の角』とか『ヴィクター・フランケンシュタイン』とか、ちょっと普通じゃない役多いので、あえてチャレンジしているのかなと思ったりもする。自分が見た普通の人の役は『もしも君に恋したら。』(感想はコチラ)くらいだけど、あれもちょっと病んじゃった役だったし。まぁでも、この役演じてくれて良かったと思う。真っ白な顔でちょっと顎を突き出して喋るの笑ったし。それなりに自分の意見や感想を言っているにもかかわらず、やっぱり遺体として存在していて、それがコミカルでありつつ、シュールだったのはダニエル・ラドクリフの個性によるものかなと思う。もちろん演技も良かった。

 

そして、個性が生かされたと言えばハンクのポール・ダノ。もうハンク役はポール・ダノしか考えられないくらいピッタリ! いい大人なのにポケットから小さなスナック菓子出て来る感じとか、好きな女性をただ見ているだけどか、でも密かに写真撮って待受けにしちゃう感じとか、それが分かっても気持ち悪くない感じとか。イヤ、自分がされたら気持ち悪いか💦 でも、見ている分には気持ち悪くないし、あのバスとかカフェとか作っちゃう感じがホントにピッタリ。それがちょっとコミカルで、でもどこかに切なさを感じているから、実はとっても重いテーマがあることがきちんと伝わるのはポール・ダノのおかげ。もちろん演技の上手さも含めて。

 

とにかく不思議な映画なので合わないと感じる人は多いかも。事実、サンダンス映画祭では途中退席しちゃう人がいたようだし。でも、語られているのはとても普遍的なことだったりする。まぁ、難しいこと考えずにメニーのスイス・アーミー・マンぶりを楽しむだけでもおもしろかった。森の中のバスのシーンを好きになれるかにかかっているかなと思うけど、ここはホントに好きだった。美しくて切なかった。

 

冒険、下ネタ、秘密基地と男子が好きな要素満載で、そこに友情が加われば青春映画が撮れそうだけど、それをコミュ障青年と万能遺体で作るとこんなことになっちゃうっていう発想がおもしろかった

 

う~ん💦 どういうの好きな人にオススメなんだろう? ちょっと変わった語り口で重いテーマを語る作品好きな方? なんだそれ でも、普通にポール・ダノ好きな人なら好きだと思う! ダニエル・ラドクリフ好きな人はどうなんだろう? 好きかな(・∀・)ウン!!

 

『スイス・アーミー・マン』Official site

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