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株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

ケース・シラー住宅価格指数(5月度)

2009-07-30 19:12:28 | 金融全般
ケース・シラー住宅価格指数の5月度分が7月29日に発表されました。

29日の市場概況に対するコメントで既に触れたとおり、全米20地区のうち既に14地区で前月よりも指数が上昇しております。ちなみに過去3ヶ月間のトレンドは、

 3月度---2ヶ所
 4月度---8ヶ所
 5月度---14ヶ所

この傾向を見るだけで、もう後戻りする可能性は低くなってきました。

モニタリング箇所のロスアンジェルス地区の指数は159.18ポイントです。しかし、前月からの下落幅はわずか0.19に縮まりました。

先月まで使っていた計算式ですと、2006年9月時点での下落幅の0.16ポイントの前月比下落幅になれば底打ちと仮定しておりましたが、5月度でわずか0.03ポイント差まで来ております。

問題は、当初の想定の、ロスアンジェルス地区の指数が142ポイントまで落ちることで、住宅価格が底打ったと見るのを是とするかどうかに移ってきましたが、全米20地区のうち既に14地区で価格が上昇しているという現実があります。

そこで、残りの6地区が6月に5月よりも上昇しそうかどうかという、極めて泥臭いチェックを行ってみました。(過去3ヶ月の下落幅と、筆者の勝手な評価)

1.フェニックス:5.26→2.38→0.89 ◎
2.ロスアンジェルス:2.28→1.51→0.19 ◎
3.マイアミ:5.51→3.0→1.18 ◎
4.タンパ:3.88→0.96→0.06 ○
5.ラスベガス:4.62→4.05→2.9 ×
6.シアトル:3.09→-0.35→0.42 △

以上、6ヶ所の傾向を見てもほぼ来月の6月から7月にかけて全20地区がプラ転する可能性が出てきました。

シアトルのように一度プラ転しても、マイ転するケースもありますので、後2-3ヶ月は経過を見る必要がありそうです。

従って、結論はこれまで通りに今年の7月から9月(中間地点は8月)にかけて、アメリカの住宅価格は底打ちをするという見方を継続します。

ケース・シラー住宅価格指数の報告は2ヶ月遅れですので、ちょうど今頃に底打っていることとなります。

今日の夕方、ABCニュースでフロリダの住宅事情について放映しておりました。

結論は、「今は買い」でした。但し、2-3年後に儲けるための投資用ではなく、あくまでも居住用です。今買っても損はしないということです。住宅バブルの時に買わずに、今まで待ってよかったという購入者の声を紹介しておりました。

なお投資用としても期待される本格的な上昇に転じるのは来年一杯はかかるとのこと。
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1929年との違いは「恒久不況」

2009-07-18 22:51:48 | 金融全般
=当初の「永久不況」から「恒久不況」に表現を変えます。なお、歴史的時代状況は、1860年以降にイギリスが衰退し、国民国家から帝国主義国家へと移行する過渡期に現在は似ていると考えます。=

1929年に始まった前回の恐慌と、今回の金融危機からくる大きな不況との違いを語る時、中央銀行の存在や国際協調体制の違いを挙げる論調が主流ですが、これは金融政策の有効性を論じる時のミクロな視点です。

この視点からだけ見て、今回の金融危機から生じた大不況が来年以降にせよ、回復軌道に入り、数年かかろうとも以前の好況状態に戻ると考えるのは、いささか早計であると筆者は考えております。

ここは資本主義の本質論からきちんと考えるべきではないでしょうか。

言うまでもありませんが、資本主義の本質は、資本(貨幣)を投じて商品を作り、それを流通させて、もとの資本(貨幣)+α の剰余価値を得、このサイクルを通じて資本を増殖する過程にあります。

1929年代と現在を比べるだけではなく、この資本増殖の過程を支えた社会構造を、19世紀に遡って大雑把に資本主義の歴史的な変遷としてまとめてみます。


  年代   資本の形  牽引産業   覇権国家  国家のあり方 資本主義形態

~1810年 商人資本  繊維産業  一部オランダ 絶対主義王政  重商主義
~1860年 産業資本  軽工業    イギリス    国民国家     自由主義
~1930年 金融資本  重工業   一部イギリス  帝国主義国家  帝国主義
~1990年 国家資本  耐久消費財  アメリカ   福祉国家    後期資本主義
1990年~ 多国籍資本 (一応)IT 一部アメリカ  共同体国家   新自由主義

1930年代から1990年までの変遷を見ると、1930年代というのは、1860年代までの繊維産業などの軽工業を中心としたイギリス全盛期時代から、設備投資を伴う重工業への転換に伴い、もはや製造業としての力をなくしていたイギリスに変わってアメリカの台頭がはっきりと見えており、かつ、重工業から自動車を中心とした家電などの耐久消費財が先進国に普及する段階を迎えて、大きな世界需要が控えておりました。

その全盛期のアメリカを体現していたGMは、1971年のニクソンによる金兌換制度の停止までは、GMで働く労働者に退職後の医療保障までも含めた豊かな生活を保証し、アメリカの福祉国家的な政策の恩恵をフルに与えておりました。古き良きアメリカがここにあったのです。

問題はその後、牽引産業としての耐久消費財は先進国には行き渡り、一時期待されたITにはそれまでのような雇用を創出する力はなく(むしろ雇用を減らすためにITは活用されます)、その間に伝統的製造業に行き詰まったアメリカ(及びイギリス)は、金融商品を先兵として、グリーバリズムへの展開に活路を求めたものの、その新自由主義がここにきて明らかに挫折をした、というのが現段階だと思うのです。

世界が1国内においても隆盛するための条件が、このような歴史から読み取れます。それは覇権国家と牽引産業の存在です。

イギリスの覇権国家としての衰退と、軽工業の飽和でその条件を欠いた1860年以降、結局のところ世界は2つの世界大戦を通じてしか復興出来ませんでした。これも歴史的な事実です。

その後、アメリカが覇権国家の地位を獲得し、耐久消費財が先進国のみならず、新興国にも普及の余地があった20世紀末頃までは、アメリカもITや、かつてのイギリス同様、金融産業に依拠することにより、しかもその金融商品をグローバルに展開することで、1990年以降の世界経済は、何とか好況-不況の小さなサイクルを繰り返しながらも、成長し生き延びることができました。

しかし、どう考えても金融産業が繰り出す商品は、本来の資本の増殖による剰余価値創造とは言い難いものでした。むしろ、イリュージョン(幻影)を施したインチキ商品であっったことが明らかになりました。ババ抜きゲームのように、誰かがババとは分からずに引き受けている間はこのイリュージョンがばれませんでしたが、一旦、それがババだと分かった途端に、それまでのトランプゲームが一切成り立たなくなったという、お粗末な商品だった訳です。

さて、今現在置かれた状況は、アメリカを継ぐべき覇権国家が見あたらないことと、しかるべき雇用を創出し続け、剰余価値を作り続ける牽引産業が見あたらないことです。オバマ大統領が言うグリーン・ニューディールは、エネルギー効率化・分散化には寄与しますが、資本が剰余価値を作り続けることにおいては力不足と言えます。

かといって、中国やインドなどの途上国を先進国並の生活水準に引き上げることは、地球環境問題の深刻さから言っても、もはや無理です。この地球が人類を養えるキャパシティの上限は100億人程度です。後40億人足らずの余地しかありません。今の13億人の中国の人口のうちの、中産階級化した人口を除いて、10億人が先進国並のエネルギー消費をする世界は想像できません。現在がアメリカの20分の1のエネルギー消費量として、10億人X20=200億人分にもなるためです。これにインドやインドネシア、フィリピンなど人口の多い国を加えると、2050年に二酸化炭素の排出量を半減するという目標では全然追いつきません。

しかし、そのような方向(先進国並の生活)への圧力は、新興国からは強まり続けることでしょう。

雇用を創り出す新たな牽引産業もなく、かつ覇権国家も不在の世界で、地球環境問題の制約があるなか、増え続ける人口とその生活水準向上の要請に応えるための取りうる方策は、1国内での国家資本主義的・保護主義的な体制とならざるを得ないため、国民の糊口を凌ぐためのエネルギー・水資源や食物の争奪戦を通じての、新たな戦争の勃発まで危惧されるところにきていると思います。

これが、新しい時代が直面している容赦ない現実ということになりますが、何としても過去の大戦のような惨事は避けねばなりません。そうなると、景気回復=経済成長という過去への回帰は、困難と言わざるを得ません。

結論としては、過去のように戦争を通じて戦後の巨大な需要を作り上げ、各国の巨額の借金も超インフレでチャラにするなど、かつてのように何もかもお釈迦にしない限り、このまま自然に好況が巡って来るとはとても思えません。

従って、今の世界経済の不況が多少の上下運動はあるにしても、このままの状態なら上出来と言えます。

1929年と大きく違っている点は、かつての尺度からすると「恒久不況」が続くであろうという、この歴史的認識から導き出される限りなく重たい事実です。
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若芽を潰す雇用情勢など

2009-07-04 07:55:34 | 金融全般
木曜日に発表されたアメリカの非農業部門の6月の雇用者数が46.7万人減ったことで、NY株式市場が大きく下落しましたが、単に前月の減り方より14万5千人も悪かったという短期的な観点から今回の数字を見るのではなく、もう少し長いスパンで、この雇用喪失の大元にある問題をきちんと見ることが必要です。

まず、この雇用統計の年度別の数字をご覧下さい。(1万人以下は四捨五入)

・2004年---205万人増
・2005年---254万人増
・2006年---214万人増
・2007年---115万人増
・2008年---308万人減 そして、

・2009年(上半期)---338万人減

今回のリセッションでの失業者のうち、金融関係はたったの58万人です。残りは、製造業が170万人、卸売りや小売業が110万人、その他娯楽やホテル関連38万人などとなっております。

ヘルスケアや国が金を投じるインフラ・エネルギー・テクノロジー関連は増えてはいるものの、上記のような消費関連業界が大きな雇用減を招いております。

ものが売れないために失われた雇用が圧倒的に多いのです。

何故、消費関連業界がもっとも大きな雇用減の発信元になっているのかは、言うまでもなく、過去に住宅資産価値や株価の上昇で膨らんだ家計の資産が、住宅バブル崩壊に伴う信用収縮により増えた負債(=借金)の返済のために、消費の抑制を行わざるを得なくなっているためです。(現に4月の全小売業の売上高は前年比-10.8%にもなっております。)

当面は消費を減らし、雇用の悪化に備えるための貯蓄を増やしている段階ですので、借金返済は遅々として進んでおりません。

この借金の額を2001年のレベルに落とすためには、およそ3.5兆ドルもの返済をしなければなりません。家計を健全な状態へと導くためには、5兆ドルの借金削減が必要との試算もあります。

ここまでのマクロな分析で既にお分かりのように、雇用者数の減少が5月の32.2万人減から更に減って、今年後半にはかなりゼロ値に近づくというのは、些か楽観的過ぎる見通しかと思います。

理由は、こうした消費抑制のために、アメリカの企業の設備稼働率は65%にまで落ちているためです。企業はこの稼働率の低下のために、週あたりの労働時間を33.1時間にまで削減をし、15%の従業員には減給を受け入れさせ、200万人をパートタイマー化するなどして、何とかワークシェアリングしておりますが、それでも上記のような雇用減となっております。

解雇は免れても、こうした収入減によりやむを得ず、人々は副業(アルバイト)を余儀なくされております。昨年は10人に1人でしたが、今年は5人に1人になると予想されております。

この状況を打破するためには、上述の設備稼働率を上げなければなりませんが、アメリカの消費者のみならず、中国など一部の国を除いては、日本を始め世界の先進国は、今のレベルの消費さえ更に減らさざるを得ない状況であり、アメリカの輸出だけが急激に伸びて設備稼働率が100%に近づくというのはあり得ません。

唯一ドル安の急激な進行により、アメリカの輸出が増える可能性がありますが、これは、多くの消費物資を輸入に頼るアメリカの輸入物価の高騰を招き、ひいては高いインフレへと繋がる劇薬となります。

人々が職を失い借金を返そうにも返せない状況の中で、日々の食料品までもが高騰すれば、これは個人破産が益々増えるだけのことです。企業は原材料費の高騰分を末端価格に転嫁するどころの話ではありません。当然、インフレによる長期金利の上昇は資金調達コストの上昇にもろに繋がるため、経営は益々圧迫されます。

このインフレの恐怖が、ドル安を一方的に導かない1つの歯止めになっているようです。

かといって、木曜日にダウが大幅に下げ、債券高、ドル高になったことに見られるような、昨年秋を彷彿とさせる、ドルへの資金の回帰(アメリカの対外資産の売り)=ドル高がずっと続く訳もありません。対外資産の取り崩し枠の限界と、デフレスパイラルへの落ち込みの恐怖があるためです。デフレとは経済を益々収縮させる動きですので、このスパイラルに落ち込むくらいなら、まだしも穏やかなインフレを望むというのが、世界の中央銀行の本音ですね。

なお、これまでにFRBが投入したマネーサプライの増加が将来のインフレを招くと言う論と、そうではなく、家計や企業のレバレッジ解消(負債の返済)の過程で、そこにマネーが吸収されるためインフレは起こらないという論が、識者により対立しているというのが現下の状況です。(前者の代表がジョン・テイラー、スタンフォード大学教授、後者の代表がポール・クルーグマンです。)

筆者は、ここ2-3年のうちにインフレは必ず起こるという論を支持します。それは、若芽(Green Shoots)が出そうだからと言っただけで、原油が33ドル~48ドルのボックス圏を抜け出して、一気に70ドルにまで上昇している事実を重視するからです。CRB指数を見ても、3月2日の200.34ポイントを底にして、6月11日には266.11ポイントまで33%上昇しております。

若芽を育てるには、太陽光と水を毎日根気よく与え、しかるべき時間(最低限、家計の負債が3.5兆ドル分なくなるまで)が経過しなければなりませんが、この世界はまだまだ、少し伸びた若芽を我先にと摘み取る力が働いているようですね。
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ケースシラー住宅価格指数(4月度)

2009-07-01 07:02:42 | 金融全般
ケースシラー住宅価格指数の4月度分が6月30日に発表されました。

前々月から、前月比での下落ポイントがもっとも激しかった2008年2月を起点にして、前月比の下落ポイント差が2006年9月前後の値にまで収束する時点を計る方法に変更しております。

(今月からは経済指標の発表の際に使われている季節調整前の数字を使っております。この場合、2006年9月を挟んだ2ヶ月の下落幅の0.16ポイントまでの収束で、ほぼ底打ちするという前提で計算。)

注:なお季節調整後の試算値は文末参照。

・2008年2月から2009年4月までの前月比平均下落度:0.47
・2009年4月の前月比下落度:1.51
     ↓
 計算:1.51ポイント-0.16ポイント=1.35ポイント÷0.47=2.87ヶ月

驚くなかれ、3ヶ月先に底打つことになりますので、今年の7月つまり今月に底打ちという予想になります。(仮に前月比下落度がゼロ(0.16→0)にした場合では3.2ヶ月の計算となります。)

なお、前月より指数が上がっている地区が8ヶ所になりました。これは久しぶりのことです。

ちなみに、これまでの計算手法であった、ロスアンジェルス地区の指数値が142ポイントにまで落ちる時期の予測としては、4月現在の159.37ポイントとの差17.37ポイントを月平均下落ポイントの4.34ポイントで割るとちょうど4ヶ月となりますので、今年8月に底打つ計算となります。1ヶ月遅れです。

しかし、探査機を月面に軟着陸させるのと同じで、地面に近づく(底打つ)につれ、価格の落ち方が緩やかになっていくのが、こうした住宅価格の特徴です。従って、今の段階では、前月比での指数値の差が0.16ポイント程度にまで落ち込む時点を予想し試算する方が現実的と判断しております。

それにしても、全米20地区のうち8ヶ所で既に住宅価格が上昇に転じているというのは、これは驚きと言えるでしょう。3月は2ヶ所でした。それ以前は、2008年8月まで遡らないと前月比上昇地点はありません。

注:季節調整後の試算値:( )内は季節調整前の数字

  2009年9月の前月比下落ポイント:0.12ポイント
  前月比平均下落度:0.36ポイント(0.47ポイント)
  4月度の前月比下落ポイント:1.97ポイント(1.51ポイント)

  計算値→1.97ポイント-0.12ポイント=1.85ポイント÷0.36ポイント=5.13ポイント。

 およそ5ヶ月で底値到達という計算になります。今年の9月の底打ちです。

=結論としては、早くて今月、遅くとも9月には底打つと見ております。=
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ケース・シラー住宅価格指数(3月度)

2009-06-14 06:58:45 | 金融全般
ケース・シラー住宅価格指数の3月度が、筆者が旅行中の5月26日に発表されております。

遅ればせながら、簡単に定点観測地のロスアンジェルス地区での動向と、底打ち時期の再確認をしておきます。

前月分から、前月比の下落ポイント差が0.22ポイントにまで収束する時点を計る方法に変更しております。

・2008年2月から2009年3月までの前月比平均下落度:0.37
・2009年3月の前月比下落度:2.12
     ↓
 計算:2.12ポイント-0.22ポイント=1.9ポイント÷0.37=5.1ヶ月

なお、今気がついたのですが、ケース・シラー住宅価格指数も、アメリカの他の統計と同じように、過去の数字の修正をおこなっております。

例えばロスアンジェルスの1月度の数字は167.99ポイントから167.44ポイントに修正されておりました。それ以前の数字もかなり修正されております。

従って、前月比の平均下落度などの数字が変わってきております。

結論的には後5ヶ月で底打ちですので、2009年8月が底打ち時期となります。

これは今までの想定時期と同じです。

もっとも、筆者が採用している計算式そのものが、独自・独特の視点を取っておりますので、この前提条件が崩れれば、予想時期は変動するものとご了承下さい。
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