男子一生の仕事はマイホームを建てること、結婚することだと親も兄弟も言った。幸い私は両方を獲得したが、それは女房殿の才覚と努力の賜物である。
この家も築20年になる。新居に入ったときの感動や喜びは消えて、今や家のあちこちの綻びに苛立つ日々である。
この家は押し寄せる孫や嫁で賑わうはずだからと間取りの大きめなのを選んで買ったのだが、残念だが目論みは外れた。
今や私は巨大な物置に一人で住まう後期高齢者と相成った。
入居した当時私には一寸した計画を立てていた。
それは動けるうちにこの家を処分して市の中心部のマンションかアパートに引っ越す積もりだった。
誰もが夢見る高齢者の理想である。
ところが時が経つとこの虹色のプランに陰りが見えてきた。
まず我が家の立地が極めて不便なことだ。
路線バスも入ってこないし、民家は疎らだから街路灯もない。
闇夜に散歩に出ると田んぼに嵌まりそうだ。買い物するにもスーパーまで車で3kmだ。
今時このような不便な土地に建つ中古住宅に買い手が付くだろうか。悲観的な材料はまだある。
詳しく調べた訳ではないが売り家は何処も値崩れしているらしい。
人の住まない古民家は散在するし新築アパートもあちこちに立っている。
詰まるところわが陋屋は売りに出しても買い叩かれて希望する値段で処分出来そうにないようだ。
それでも私は都会の便利さへの憧れが捨てきれないでいる。コンビニへは歩いて5分、車が無くても暮らせる街に脱出したいのである。
本日も平穏なり
最新の画像[もっと見る]
私は、早くに仕事をリタイアして 今の家を売って静かな田舎暮らしをしたいと考えていましたが、ちょっと待てよ。
年をとったら何時までも車に乗れないし、望んでいる田舎暮らしでは回覧板を回すのもたいげになってくるぞ。
そうなると、築47年でも我が家の方がお年寄りには便利かも。
幼児・小・中・高各学校、内科・整形外科・産婦人科・歯医者
総合病院・皮膚科・目医者等各種病院、スーパー・ドラグストアー・八百屋・酒屋・コンビニ、市役所・銀行、もちろん喫茶店も、全部元気な80代ならば歩いていける所にあるので、都会ではないですが、和尚さんの希望されるところにピッタリで無いですか?
だから私は田舎暮らしは諦め、家が壊れるまで、ここに住み続けるつもりです。