散歩道の脇に銀杏の巨木が数本植えられている。
まだ早いが秋が深まると
眩いばかりの黄金色に輝いて道行く人の目を楽しませるのだ。
何時ものように横を通ると木立の間からエンジンの音が聞こえる。
覗いてみると銀杏の種と果肉を選別する機械の音だった。
知らない農家の叔母さんが一人で機械を運転して銀杏を取っていた。
銀杏の収穫が珍しいので「こんにちは」と挨拶をして暫くしたら叔母さんが
「臭くてねえ」
とポツリといった。
なるほど匂う、何かの腐ったようなきつい臭いが辺りに立ち込めている。
皮膚に付くと被れるとも教えてくれた。
まだ、軽トラ一杯分剥くと、籠に山盛りに盛った銀杏を指差した。
引き揚げようと腰を上げたら少し持って行きなさいと言ってくれたが
固辞してそこを離れた。
夕方、外出先から戻ってみると郵便受けに袋に詰めた銀杏が届いていた。
初対面の私にわざわざ届けてくれた叔母さんの寡黙な親切が嬉しくて、
一日明るい気分で過ごせた。
それにしても叔母さんはどうやって私の家を知ったのだろう。
本日も平穏なり
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