“Delikatessenの謎”の祖父が、1930年に留学先のドイツから日本にいる娘(私の母)あてに贈った絵本を、最近母親が書庫から見つけ出したので、アップしておく。
“小さなギュスターブが、道路で”といった題の絵本で、小さな男の子が、ベルリンの町で、火災現場で消防車の消火活動をみたり、交差点で交通整理をしたり、みずからオープンカーやオートバイや路面電車を運転したり、ついには飛行機を操縦したり(“道路”とは言えない!)、そして最後は操車場で蒸気機関車を誘導したり(これも“道路”とは言えないのでは・・)と、表題からして、やや一貫性に欠ける内容である。むしろ“小さなギュスターブと乗物”だろう。
ぼくはドイツ車の歴史には詳しくないので、どんなクルマが描かれているのか分からないが、子供向けの絵本にしてはずいぶん精密に描かれているので、多分当時の本物のクルマに近いのではないだろうか。
本自体は1928年刊行となっているが、祖父のインクで“1930.6.3”という日付が扉に書き込んである。祖父は1929年4月にベルリンに到着し、1931年3月まで、1学期間だけフランクフルト大学に滞在したほかはベルリン大学で学んでいたから、ちょうど留学期間の真ん中辺で、娘にこの本を贈ったことになる。
(写真は、“Gustav liebt die Strasse”, Deutscher Verlag fur Jugent und Volk 1928 の表紙。 )