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青函トンネル記念館(2)~記念館内と体験坑道

2009-06-22 | 博物館・保存施設等

先日「MAKIKYUのページ」では青函トンネル記念館の屋外に展示されている工事用車両群などに関して取り上げましたが、今日はその続編として記念館内の様子に関して取り上げたいと思います。

記念館の建物内は入場が有料(400円)となっていますが、ここには青函トンネルの構造や建設の経緯などを示した資料などが展示され、映像での説明などもありますので、館内では現在世界最長の鉄道トンネルとなっている青函トンネルの概略などを知る事が出来ます。


とはいえトンネル工事に用いられた工事用車両群ですら、入場が有料となっている記念館内ではなく、屋外に野晒し状況で展示されている程ですので、記念館内を見学するだけでは、壮大な規模を誇る青函トンネルの現状を知るには余りに物足りないと感じるものです。

ただ青函トンネル記念館は館内の展示資料見学だけでなく、別料金で1300円と少々割高ながらも、体験坑道と呼ばれるトンネル内見学とセットになったスペシャルメニュー(名目上はケーブルカー乗車料が往復1000円:体験坑道見学料が300円)が別途用意されている事が大きな特徴となっており、はるばる龍飛の地を訪れ、青函トンネル記念館へ足を運んだ際には、是非こちらを堪能したいものです。
(こんな事を言っているMAKIKYUも、当然体験坑道へ出向いていました)

体験坑道と聞いても余りピンとこない方も居られるかと思いますが、これは青函トンネルが建設時に本坑(列車が通るトンネル)以外にも、建設作業やメンテナンスの為に掘られたトンネルが幾つも存在しており、その一部を実際に探索体験できるものです。

ちなみに青函トンネルは海底トンネルだけあり、最深部で海面下240mの地点を列車が走行し、記念館や龍飛岬の近くに設けられた龍飛海底駅でも海面下140m程の地点に位置していますので、これを人間の足で移動するには少々厳しいものがあります。

しかしながらトンネル記念館~竜飛海底駅近くの青函トンネル内の間にトンネル建設時に掘られた斜坑と呼ばれるトンネルには、階段と並行してケーブルカーの線路が敷設されています。

このケーブルカーはトンネル保守関係者の移動や、緊急時のトンネル→地上への避難用手段として用いられる役割も果たしているのですが、青函トンネル龍飛斜坑線と呼ばれています。

この路線は体験坑道の見学者が記念館~トンネル内を移動する際にも乗車する事ができ、記念館とトンネル内に設けられた乗降場はそれぞれ「記念館駅」「体験坑道駅」という名称が付けられて駅名標まで設けられています。

 
記念館駅は記念館に隣接した場所に駅舎も設けられ、東北の駅100選にも選ばれている程で、列車の運行ダイヤ(不定期列車の比率が高いのですが…)も定められているなど、極めて特殊な性質の路線ながらも遊具の類ではなく、れっきとした鉄道の一種と言えますので、このケーブルカーに乗車する為に、敢えて体験坑道見学へ出向く価値有りと言っても過言ではありません。

使用車両は「もぐら号」と呼ばれる愛称が付けられてヘッドマークも掲出しており、「セイカン-1」という形式も持つオレンジ色一色のケーブルカー1両が斜坑内を往復しています。

 
そのためケーブルカーで一般的な「中間地点で対抗列車とのすれ違い」という姿は見られませんが、体験坑道駅近くに分岐する線路があり、記念館駅では作業員用と思われる別車両の姿も見られましたので、工事関係者などはセイカン-1以外の車両での斜坑内移動や、体験坑道駅手前で分岐する線路を用いる事があるかもしれません。

ちなみに「セイカン-1」は元々が工事関係者用の移動用だけあり、華やかなイメージが強い観光地などで一般的なケーブルカーとは趣が異なりますが、サイレンを鳴らしながら斜坑内を走る独特な雰囲気は、一度乗車するだけの価値有りと言えます。

ただケーブルカーは1列車当たり定員40名という制限こそあるものの、ライナー列車の如く定員制(40名)で座席は指定されておらず、記念館駅から乗車する場合は発車5分前に開始される改札時に、前に並んでいる方から順に乗車するスタイルとなっていますので、最前部などの席を確保したい場合は、改札開始より少し早めに出向いた方が得策です。

またケーブルカー(青函トンネル龍飛斜坑線)で赴くトンネル内の探索体験(体験坑道)は、青函トンネル内の一部という特殊性もあって個人で気の向くがままに見学する事は出来ず、決められた時間内(見学時間は記念館からのケーブルカー往復と合わせて概ね1時間弱、坑道内見学は正味30分程度です)で係員の誘導に従っての見学となります。

そのため壮大な青函トンネルの作業用トンネルなどをじっくりと見学…とは行かないのは残念ですが、日頃なかなか見る事が出来ない貴重な空間を見学できると共に、坑道内の一部ではトンネル工事の様子などを再現した展示も行われており、トンネル工事で実際に用いられた機材などの展示が幾つも見られた程です。

 
ケーブルカー乗車料とは別名目で、300円の「体験坑道見学料」を徴収しているだけの事はあると感じたものですが、幾つもの展示物を地上にある記念館内ではなく、敢えてこんな行き難い場所に幾つも展示するのは、記念館訪問者に館内見学だけではなく、体験坑道の見学へ駆り立てる策略なのでは?とも感じてしまい、展示物の類は時間の制約なしにじっくりと見学できる地上の記念館内にあった方が良いのでは…と感じたものです。

また体験坑道は青函トンネル内の一部施設を一般に開放しているだけあって、JR海峡線の龍飛海底駅ともつながっており、記念館方からの見学者は龍飛海底駅ホームまで出向く事は出来ないのですが、JR北海道の龍飛海峡駅見学とセットで青函トンネル記念館や龍飛岬を見学するコースも別個に設定されています。


この集団が見学を終えて龍飛海底駅へ向かう際に、通常は柵に鍵がかけられて通行できない龍飛海底駅へ向かう通路(案内員の話によると、体験坑道~龍飛海底駅ホームは約400m程の道程との事です)を歩いていく集団の姿もMAKIKYUは目撃していますが、こちらのコースは青函トンネル龍飛斜坑線(ケーブルカー)には当然ながら体験坑道駅から乗車し、トンネル記念館や龍飛岬を見学した後にトンネル内へ戻り、龍飛海底駅から再び列車に乗車する形態となっています。

そのため現在青函トンネル龍飛斜坑線に乗車する際は、必ず往復で乗車して始発駅に戻る形態となっており、片道のみの乗車はトンネル内で非常事態が生じた際の避難などの特殊なケース(これは実際に用いられた話を聞いたことが無く、こんな目的で使われる事はない事を願いたいものですが…)に限られます。

ただ龍飛岬一帯や津軽線末端部(中小国~三厩間)に関しては、公共交通の便が極めて悪く、その上MAKIKYUは青函トンネル記念館を訪問した後にバスで三厩駅へ移動し、その後蟹田→函館と列車を乗り継いだ際には再び記念館のすぐそば(龍飛海底駅)を通過しただけに、随分大回りして余計な時間を要して…と感じたものです。

龍飛岬などの見学を終え、体験坑道内で龍飛海底駅へ向かう海底駅見学の集団を目撃した際には、龍飛海底駅の一般利用、或いは津軽線末端部+外ヶ浜町営バスとのセットプランも実現しないものだろうか?とも感じたものです。
(さすがに龍飛海底駅・青函トンネル記念館見学コースの途中放棄は、海峡駅の特殊性故に列車乗降時に人数を計数している状況ではまず不可能でしょうし…)

とはいえ現在もう一つの海峡駅である吉岡海底駅(こちらはMAKIKYUも過去に一度だけ見学した事があるのですが…)は、北海道新幹線建設に伴って工事用施設として用いられる為に、現在一般客の乗降・見学は不可能な状況になっていますので、壮大な青函トンネルの裏側を見学できる希少な機会といえる龍飛海峡駅の見学自体が今後どの様になるのかも気になる所です。



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