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南海電気鉄道 8000系電車~関西を走る関東風電車

2009-04-29 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

 

MAKIKYUが今月関西を訪れた際には、大阪の難波から南へ向かう南海電気鉄道にも乗車する機会がありました。

MAKIKYUが難波駅で南海線ホームを覗くと、昨年走り出した新型車両・8000系が丁度住之江行きの普通車(各駅停車ではありません)で停車しており、南海を利用する機会は滅多にないMAKIKYUは、この車両を目にする事自体が初めてという状況でしたので、南海自慢の最新型車両に住之江まで乗車してみました。

この車両は南海で比較的近年登場している他形式と同じく、横浜市内にある某大手私鉄系車両メーカーが製造を手がけており、このメーカーの製造した車両は、首都圏ではステンレスカーで知られるこのメーカーの親会社や、JRなど多数見受けられますが、関西では南海と旧国鉄の車両を除くと、極めて少数派の部類に入ります。

その上このメーカーが最近製造を手がけている通勤型車両は、仕様の標準化が顕著で、それも低コスト低寿命で知られるJR某社の「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」の製造数が多い事もあって、この車両の部品を多様した車両が私鉄向けにも多数製造されています。

その事もあって、最近の首都圏私鉄は似た様な車両が幾つもの路線で…という状況になっており、それもベースとなる車両は低コスト型車両で内外のデザインなどは余り感心できないと感じているだけに、MAKIKYUとしては最近首都圏の私鉄を利用すると、最新型よりも少々使い込んだ車両の方が…と感じてしまう事も多いものです。

それに対して関西では、鉄道間の競合が激しい事もあって互いにサービス合戦に努めている事もあるのか、近年京阪間を走る私鉄などで相次いで独創的な外観や内装を誇る新形式が相次いで登場し、日頃首都圏にいるMAKIKYUとしては羨ましくなってしまう車両が幾つも登場している事は喜ばしい限りです。

そんな中で横浜にある某大手私鉄系車両メーカーの製造した車両を導入している関西の南海は…というと、車両製造メーカーの影響もあってか他の関西私鉄とは趣が異なり、最新型の8000系はステンレス無塗装車体という事もあって、首都圏私鉄で最近登場している電車と見間違えてしまいそうな雰囲気を感じたもので、外観はJRなどに比べてやや長い車体の長さと南海の帯色で、ようやく南海電車と感じられる程でした。

車内に入ると「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」で見られる部品を多用した事もあり、窓枠・天井・袖仕切りなどをはじめ、座席や客扉に至るまで「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」の雰囲気を感じたもので、グローブなしの蛍光灯も非常に目立つ状況(関西でも最近は蛍光灯グローブなしの車両が増えていますが、それでも配列や取り付け部分を工夫して見付けに配慮した車両が多いです)でしたので、つり革の形状や配列などが辛うじて関西の電車と感じる程でした。

また最近首都圏で登場している某大手私鉄系車両メーカーが手がけた車両も幾つものバリエーションがあり、この車両メーカーの親会社の様に化粧板は結構凝ったデザインのモノを用い、路線毎に柄を異なったものにしているケースもありますが、南海8000系の化粧板は柄なしの無地となっており、最近関西で導入された車両にしては異色の存在です。

その上客扉も金属地剥き出しになっていますので、首都圏で近年増殖している同メーカー製低コスト車両の一部と比べても質素な印象を受ける程ですが、凝った内装を誇る電車が多い関西においては、質素な印象が突出しているのでは…と感じたものです。

車内案内表示装置も、某大手私鉄系車両メーカーが手がけた首都圏私鉄の車両では、今流行のLCDモニターが装備されているケースも比較的良く見られ、南海でも他社からの乗り入れ車両でLCDモニターを装備した車両が走っていますが、8000系の車内案内表示装置は相変わらずのLED文字スクロールであるなど、この点も最近の車両にしては…と感じたものでした。

この様に8000系はMAKIKYUが乗車した限りでは、首都圏の最近の電車に極めて近い雰囲気を持つ事もあり、わざわざ関西まで来て…と感じたもので、終点の住之江で8000系の普通車を下車した後、その先下り方向の乗車した普通車は2扉車だったのですが、こちらの方が少々使い込んだ車両ながらも関西の電車らしい雰囲気があって好感を持ったものです。

とはいえ関西の方々からはわざわざ関東まで行かなくても手頃に関東風電車に乗れて…と歓迎する方も居るかと思いますし、老朽車がゴロゴロしている南海線の現状では、多少質素でも新しい車両が入って歓迎という意見もあり、賛否両論が分かれる所かと思います。
(関西からアクセスされている方で、この車両に乗車した事があるという方は、是非その感想などをコメントで寄せて頂ければ…と思います)

それに標準部品を多用する事で低コストで導入できる事もあり、迅速な老朽車淘汰を進められる利点もありますので、8000系が今後増えていく可能性は高いと思いますが、今後この仕様の車両が南海では大増殖していく事になるのか、それとも関西では質素さが際立つだけに、今後多少内装などをグレードアップした車両(客ドアを化粧板張りにするなど)を導入していくのかも気になる所です。

また8000系は見るからに首都圏私鉄を連想させられる関東風車両だけに、独自色の強い車両を入れる傾向が強い関西私鉄の現状では異色の存在になっていますが、関西私鉄は全体的に経年車両が多く、今後その対策も必須(経年車をリニューアルしてまだまだ…という会社もありますが、それでも10年位すれば取替えか再更新の問題が出てきますので…)となるだけに、南海の動向を見て関西の他鉄道でも今後同種の車両が走る事になるのか、それとも独自色の強い車両を今後も導入し続けるのかも気になったものです。



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24 コメント

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同上せざるを得ないか・・・ (6994)
2009-04-29 20:38:00
 南海は元々高野線を中心に東急車輛系のステンレス車を導入してきた経緯もあるので、そのつながりもあると思います。南海の置かれている状況は厳しく、貴志川線の分社化、高野線の天空運転による活性化、さらに関西空港アクセスの不振(これは豚インフルでさらに悪化する恐れがあり、名鉄や京成あるいは京急にも響きますが・・・)などが取り巻いています。近年は並行するJR阪和線が充実し、「キタ」の大阪まで毎時3本のフリークエンシーが確保されるなど、競合条件も悪化しています。あまり凝った車両を導入できる余裕はなく、質素な8000系はある意味正解かもしれません。高野線通勤車と東急車輛の長年のコンビネーションが、南海本線にも予期せぬ低コスト車を生み出したと言えるでしょう。ただ、並行するJR阪和線も、普通用103系の老朽化や快速221・223系の短編成による混雑、人身事故頻発による信頼の失墜などで、阪和間の鉄道離れも顕著だと思いますので、質の高いサービスで両者に覇を競って欲しいです。
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8000,系 (semiexpress12n)
2009-04-30 09:40:09
MAKIKYUさん、はじめまして、semiexpress12nです。
一つ面白い情報を伝えておきますね。
6000系6300系6200系8200系なのですがこれらを車体更新する計画が組まれてあって、その際に内装を8000系と同等の内装(あの座席も含む)に改造します。
6200系についてはインバータ制御化工事も行います。
これについては東洋電機の技報119号にも記載されてますので参考まで。
ttp://www.toyodenki.co.jp/html/giho/giho119/s11942.pdf
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Unknown (名無し)
2009-04-30 16:59:00
8000系に関しては今のままでいいと思います。
車内案内はLEDでも分かりますし、ドアもステンレスで結構です。
欠点は、座席が硬いこととドアチャイムがしつこいところですね。
問題なのは、6000系や6300系に大規模な車体更新をすることです。
特に6000系なんかは車齢40年~47年にもなる車両なのですから、内容は必要最低限のものにしてほしいです。
8000系並の内装に総取替えするくらいの財力があるのなら、そのまま8000系を増備するべきです。
それにしても、8200系とほぼ同時期に製造された9000系には更新を行わないのでしょうか?
6000系や6300系なんかに行うよりもそっちの方が良いと思うのですが。
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Unknown (京浜特快)
2009-04-30 18:08:21
名前欄に京浜特快を入れるのを間違えました。
申し訳ございません。
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コメントありがとうございます (MAKIKYU)
2009-04-30 23:58:13
皆様こんばんは、コメントありがとうございます。

>6994様
乗客減や老朽車比率の高さ、それに南海の置かれた状況を考えると、ある程度は低コスト車両にせざるを得ない面もあるかと思いますが、日頃首都圏の低コスト車各種に乗り慣れた身ですら安っぽく感じた程ですので、もう少し何とかならなかったものか…というのが本音です。
(京阪間私鉄の新鋭レベルまでは求めないとしても、せめて内装をこの車両を製造したメーカーの親会社が導入している最新型レベル程度は…)

また阪和間輸送は他の関西エリアに比べると…というのも、南海に関しては同感で、阪和間での実質有効本数は毎時2本程度、それも一部指定席列車の一般車は古参車ばかりというのは大問題ですので、せめてこの一般車を現状では持て余し気味の2000系辺りに置き換えられないかと感じるものです。
(ブレーキ方式の問題はないとはいえ、サザン指定席車との連結には他の問題が生じる可能性もありますが…)

>semiexpress12n様
はじめまして。
高野線ステンレス車6000系列の更新に関してですが、車体はステンレスだけあってまだまだ使える様ですので、片開き扉故に見るからに陳腐な印象が否めない6000系を除けば、8000系による淘汰よりは更新して使用というのも賢明な選択と感じます。
また長期使用を考えれば6200系のVVVF化も妥当な所かと思いますが、ほぼ同種の車両と言っても良く、相互直通運転を行っている泉北3000系とは対象的な状況なのは興味深いものです。
ただ内装を8000系と同レベルにするのは、現状よりかえって見劣りするのでは…と感じてしまいますので、バリアフリー対応の改造などは歓迎ですが、無地の化粧板やFRPの天井板への取替えは出来れば避けて欲しいと感じるものです。

>京浜特快様
HNの件了解致しました。
この車両の座席は首都圏の新型車両各種と比べれば並レベルと言った所で、こちらはこの座席に関しては可もなく不可もなくという印象を持っていますが、関西では評判が芳しくない様ですね。
またドアチャイムに関しては、関東風の印象が強い中で南海の独自性が感じられる数少ない部分ですので、こちらとしてはむしろ歓迎で、この車両のベースとなっているJR某社と同じタイプにならなかったのは良かったと感じていますが、チャイムの鳴る回数はもう少し少なくても良いかもしれません。
また6000系列の更新も、初期の片開き扉車に関しては最小限に留めて…というのは同感ですが、6200系などはバリアフリー対応などを施せばむしろ8000系よりは…と思いますが、8000系と同レベルの内装するならむしろ現状の方が…と感じています。
あと9000系の更新も、同年代に製造された首都圏私鉄車両が続々と更新を迎えていますので、そろそろ更新に入っても…と感じますが、その暁には1000系や8000系との共通運用が可能になる事も期待したいものです。
(現状でも物理的には1000系などとの連結運転は可能な様ですが、実際に併結しての営業運転は行われておらず、9000系自体の稼働率も他系列に比べて低い様に見受けられますので…)
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車輌動向 (semiexpress12n)
2009-05-01 00:57:36
南海の話ですがどうやら当面は短編成化と場合によっては列車の間引きで投入する新車は必要最小限に 抑えてしのぐとのことです。
実際に短編成化についてはテレビのインタビューで社長が明言してましたからね。
南海線・高野線とも、10両廃車・8両新造って割合で更新を進めていくみたいですね。
減らした分の一部は特急車増備に充てます。

しかし、なにわ筋やら泉北買収などに手を出す金があるぐらいなら、少しでも8000系投入のペースを上げてもらいたいものです。
阪神なんば線の場合は神戸とミナミを結ぶからこそ意義があったけど、それに対しなにわ筋線の場合は、南大阪および和歌山と梅田・新大阪を結ぶことになるけど、西大阪線ほどの潜在需要があるとは思えないし費用に見合う効果がだせるのかちょっと考えにくいですからね。
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悪循環にならない事を願いたいですが… (MAKIKYU)
2009-05-01 14:52:02
Semiexpress12n様こんにちは。

南海の短編成化&列車間引きは、厳しい現状を踏まえるとある程度は止むを得ない面もあるかと思いますが、不便さ故に乗客離れ→更なる利用者の減少にならない事を願いたいものです。

また南海の現状を見るとサザンこそ下回りの年数が結構な状況であるものの、空港連絡特急ラピートの利用率が芳しくない様に見受けられますので、今の状況で特急車増備が果たして必要なのかも疑問に感じます。

あと別件ですが、公開したコメントの後に投稿されたコメント中に、管理人が公開不適と判断せざるを得ない部分が見受けられ、このコメントは保留させて頂きますのでご了承下さい。
(この件に関しては直接メール[連絡先は「このページについて」の項に記しています]にて問い合わせ頂くのは結構ですが、コメントに記されても返答できませんのでご了承下さい)
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8000,系 (semiexpress12n)
2009-05-01 18:01:00
普通の利用客からは好感をもたれているようですね。座り心地がいいとか、持つところが多くて立っているのでもラクなどという声を普通の方からよく聞きます。
朝ラッシュ時に電車を利用する身としても、実質的な着席人数が7000系列や9000系に比べて多い8000系が、朝の8R運用に入るのを楽しみにしています
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様々な意見が出ている車両ですが… (MAKIKYU)
2009-05-01 23:56:47
semiexpress12n様こんばんは。

賛否両論様々な意見が出ている南海の新車・8000系ですが、座席の座り心地に関しては関西の他車両とは大きく異なる事もあって、馴染めないという意見も聞くものの、こちらとしては比較的改良された最近のタイプという事もあり、悪くないのでは…と感じています。
(見た目が似た様な座席でも、宇都宮線や総武線各駅停車のモノは願い下げですが…)

また座席のバケット化&個別区分で定員着席が図れることも、現代の情勢を踏まえれば妥当な所だと思いますが、座席仕切りを兼ねた持ち手が7人がけ座席の途中に2本存在する割には、つり革は枕木方向には配置されていない点などは、やや中途半端に感じるもので、機能性に特化した車両を志向するのであれば、この点も首都圏を真似て良かったのでは…と感じます。
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Unknown (semiexpress12n)
2009-05-02 19:40:58
首都圏私鉄の車両とは寸法が微妙に違う点が多いから、図面を引き直さなくてはならなかったし、側窓だって一部が下降窓になってるし、カーテン設置で構造が変わってるなど、あと、ドアエンジンも空気式だから空気配管立ち上げのために一見首都圏と同じに見える車内の処理が一部変更されてます。
東急車輛の標準設計とは言え、東急5000系みたいな訳にいかなかった。殆どE231系そのものだった相鉄10000系だって、見た目以上に構体図面は引き直し。

とは言え1000系も東急車輌側の試験的要素を盛り込むのに協力してるし、メーカ独特の仕様は以前から採用し続けていますしね。
1000系と併結したとき側窓の上辺が揃ってるのはそういうことなんです。

あと前面は他の提案もあったけど、取替対象となる7000系の印象を敢えて意識した丸顔が選ばれたと聞きましたよ。

従来のグレーのシートは汚れるのでやめました。1000系で見られたクロスも色々理由があってボツです。
(JR車並みに車体幅を3000mm近くまで拡幅できれば
車椅子が通過できるだけ妻引戸の開口部が確保されて両立可能なのですが)

8000系は南海の伝統顔だし、前パン、ホロ付、デコヘッドの関西風味に、左右振り分け種別&行き先フルカラーLED etc
しかも遮光カーテン、センターピラー、かぶりつき用大窓、妻窓もある。
関東民鉄とは、二味も三味も違うと思いますね。


あと、LCDモニターの件についてなのですが、扉鴨居部へのLCD設置準備工事がされており、モニタ装置からの三菱VISの信号線は艤装済です。


京阪や阪急と色々と比較したくなるのは分からなくは無いですけど、経営環境が異なると言う事実に背を向けてはいけないと思います。

今後は短編成化と列車間引きによって投入する新車は必要最小限に抑えて凌いでいく。短編成化の方はテレビのインタビューで社長が明言してましたから
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