goo blog サービス終了のお知らせ 

MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

大連市内で今も活躍する古参路面電車~装いなどは変化しているものの…

2012-09-29 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国遼寧省・大連(Dalian)市内を運行しているBRT(Bus Rapid Transit)に関して取り上げましたが、今日はこの記事中でも触れた有軌電車(路面電車)に関して取り上げたいと思います。

大連の有軌電車は、少し前は大連火車站から東西各方面へ向かう路線(201路・203路)と、郊外の興工街から南へ向かう路線(202路)の3系統が存在していました。

その内大連火車站を発着する2路線は、比較的近年になって統合され、201路という1つの系統として運行しており、建前上は興工街~大連火車站~華楽広場間の区間車と、更に先の東海公園まで至る系統の2系統が存在しています。

MAKIKYUが7月に訪問した際には、運行している電車は区間車ばかりで、東海公園方面へは華楽広場~東海公園間をピストン運行する電車に乗り換えという状況になっていましたが、停留所などにこの旨を示す掲示等は見当たらず、華楽広場以遠ピストン運行の電車も、201路区間車の案内を掲出している辺りは、日本では考えられない事です。

この201路では現在、新型の低床連接車と旧型単車の2種類が混用されており、旧型単車は旧203路(大連火車站から東へ向かう路線)で活躍していた車両です。

この車両は満州国時代に製造された年代物の古参車で、その出自故に日本の路面電車に良く似た雰囲気を漂わせており、日本の路面電車に乗り慣れた身としては、何処となく親近感を感じる車両ですが、近年まで長春などで活躍していた同形車が退役した今日では、乗車できるのは大連の201路のみとなっています。

 
この古参電車は相当な経年車と言う事もあってか、外観や内装などは随分改められており、車内に製造年代を示すプレートなどが見当たらないのも惜しい限りですが、昔ながらの吊り掛け駆動の下回りなどはそのままで、冷房化改造なども施されていません。


座席が相当硬いのは余り感心できないと感じる方も多いかと思いますが、都市内における軌道系交通機関は、歴史の浅い路線が大半を占める中国大陸本土内においては、昔ながらの電車という点でも非常に希少な存在です。


この電車も少し前は青系統と緑系統の2種類の装いを纏った車両が存在していたのですが、現在青系統の装いは見かけなくなり、変わって赤系統の装いを纏った車両が散見される状況でした。

 
装いが複数存在するだけでなく、似たような車両も良く見ると窓割に差異(ドア間の窓が4枚の車両と、5枚の車両が存在します)が見受けられるのも興味深い所で、車両の差異によって装いを分けているのではなく、同じ装いでも2両並んだ車両を良く見ると…という状況になっているのも注目です。

低床の新型連接車に比べると、居住性の面ではお世辞にも良好とは言い難く、おまけに非空調車にも関わらず新型車と運賃も同一に設定されています。
(中国では路線バスなどで、同一系統でも空調車は割高な運賃を設定している事が多いです)

都市交通のサービスレベルに大きな格差が生じるという点では、この旧型単車は余り歓迎できない車両かもしれませんが、新型低床車に混じって活躍する姿は興味深く、趣味的には非常に面白い存在と言えます。

広大な中国といえども、有軌電車自体が数少ない状況ですので、こんな光景は大連以外で見る事は叶わず、旧型単車はかなりの経年車ですので、大連でも何時までこの様な光景が見られるのか…とも感じますが、末永い活躍に期待したいと感じたものです。