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黒部ルート公募見学会(2)~黒部トンネルを走る見学者専用バス

2011-10-24 | バス[北陸]

先日「MAKIKYUのページ」では、関西電力(関電)の黒部第4水力発電所(くろよん)見学をはじめ、その周辺を関電専用交通機関を利用して移動する「黒部ルート公募見学会」に参加した事と、その概要に関して取り上げました。

今日はその続編として、黒部ダム出発コースでは最初に乗車する乗り物でもある、黒部トンネル内を走る見学者専用バスに関して取り上げたいと思います。

黒部トンネルは、有名な関電トロリーバス(関電アメニックス)が運行している扇沢~黒部ダム間の関電トンネルと、黒部ダム駅近くの地中で繋がっており、ここからくろよんへ向かうインクラインの乗り場(インクライン上部駅)までの延長は、10㎞強となっています。

トロリーバスによる旅客輸送が行われている関電トンネルとは異なり、黒部トンネルは完全な関電の事業用で、通常一般人は足を踏み入れる事も叶いません。


黒部ルート公募見学会参加者は黒部ダム駅の裏口で暫く待機した後、旅客営業のトロリーバスが黒部ダム駅に到着したのを待って関電トンネルを少しだけ歩き、黒部トンネルの分岐点まで向かうと、そこには北アルプス交通(関電アメニックス)の小型バスが1台待機しており、このバスに乗車する様に案内されます。
(このバスはトロリーバスで黒部ダム駅到着前にも姿を目撃する事ができ、見学会参加前から恐らくこのバスに案内される事が予想できる状況でした)


黒部トンネルは素掘りの箇所もあり、道幅は所々にある行き違い箇所を除くと、バス1台分程度の比較的狭いもので、トンネルには結構厳しい車高制限も存在している様です。

この事もあってか、黒部トンネルを通行する公募見学会参加者や、関電関係者を乗せて走るバスは、一般路線(扇沢線)や貸切輸送用の車両は、主に三菱ふそう製が導入される北アルプス交通において、現在専用の小型車両(日野MELPHA)が専属になっている模様です。

MAKIKYUを含めて29名の公募見学会参加者(1回の定員は30名で、MAKIKYUの参加日には諸事情による参加辞退者が1名発生したとの事でした)と、関電の見学会案内人が乗車すると、この小型バスだけにほぼ満員といった状況になります。

車内も狭く長時間の乗車は…という雰囲気ですが、おまけに黒部ルート公募見学会では、案内員の指示がある場合を除き、見学者はヘルメットの着用が義務付けされていますので、ヘルメットをかぶった乗客(?)ばかりの車内は、一般の路線バスや観光バスとは異なる独特な雰囲気です。

そしてこのバスに乗車し、黒部トンネルを進むのですが、そう簡単に足を踏み入れる事が叶わない黒部トンネルを通行する事を考えると、バスファンとしても興味深い存在です。

黒部トンネルでは概ね1km程度間隔毎に、車両同士のすれ違いに備えて道幅が広くなっている箇所がありますが、10km強もの距離を走りながらも、対向車両が全く見かけないのは特殊なエリアならではで、黒部ダム駅を出発した後、乗車した北アルプス交通のバス以外の車両を見たのは、このバスの終点となるインクライン上部駅付近に駐車している関西電力の社用車(自家用車とマイクロバス)という有様でした。

またこのバスに乗車している間には、公募見学会参加者向けに用意された音声案内が流されると共に、案内員が車内備え付けの非常用酸素マスク(JR石勝線火災事故などを受け、万が一に備えて準備したとの事でした)の使い方説明(開封すると15分程度しか使えない使い捨てにも関わらず、1個当り万単位の金額が嵩むそうです)などもありました。


このバスがインクライン上部駅に向かう途中には、何箇所かトンネル横坑があるのですが、その内の一つであるタル沢横坑の前で停車し、ここで案内員の誘導により一旦バスを降りて横坑を少し歩き、短時間ながらも地上にある出口から外の様子を眺められるというお楽しみもあります。


地上の出口では関電関係者を除くと、黒部ルート公募見学会に参加しない限り、手馴れた登山家が険しい山道を辿らないと目にする事ができない、険しい黒部峡谷からの山並みを眺めるという、一般人にとっては非常に貴重な経験ができ、晴れた日には剣岳の見事な景観を堪能できる様ですが、MAKIKYUの訪問日は天気に恵まれなかったのは少々残念でした。
(黒部ルート公募見学会に参加できるだけでも、贅沢過ぎる話ですが…)

そしてタル沢横坑から再び小型バスに乗り、暫くすると作廊谷にあるインクライン上部駅に到着し、今度はインクラインに乗り換えて、有名な黒部川第4水力発電所(くろよん)を目指す事になりますが、インクラインに関しては続編記事で取り上げたいと思います。