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南海12000系「サザン・プレミアム」(1)~外観編

2011-10-02 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

先月MAKIKYUが関西へ足を運んだ際には、南海電車で先月に営業開始したばかりの特急「サザン」座席指定車の最新型車両・12000系にも乗車する機会がありました。


12000系は2本が製造され、従来から走っている南海線の阪和間特急「サザン」(難波~和歌山市・和歌山港)用車両・10000系よりもあらゆる面で進化した新型車両と言う事で、「サザン・プレミアム」を名乗っています。


前面貫通扉にこの名称を配しているのに加え、車体側面にも大きく「SOUTHERN Premium」と表記して新車をPRしていますが、これに加えて運行区間の南海線をイメージしたデザインが施されている点も特徴的です。

 
フルカラーLEDによる行先表示も従来車より見やすく好感が持てますが、日本語との交互表示で出てくる英語表示で、和歌山港を「WAKAYAMA-PORT」ではなく「WAKAYAMAKO」と表示している辺りは改善が必要かと思いますし、「関西空港接続(泉佐野乗り換え)」という交互表示可能なLEDの特性を生かした表示も、不慣れな利用客にはかえって混乱を招くかもしれません。
(関西空港接続の案内も、直通列車が無い泉佐野よりも和歌山方では有用かと思いますが、行き先を大きく表示した上で、下に小さい文字で「関西空港方面は泉佐野乗り換え」程度の表示が妥当な気がします)

この12000系の導入により、10000系だけでは座席指定車の編成数が不足し、阪和間で結構な数の全車自由席が走っていたのを解消し、昼間時間帯の阪和間一部特別車特急毎時2本化に貢献していますが、それでも運用上の関係などもあってか、まだ何本かの全車自由席特急が残存しています。

阪和間定期特急列車の全列車座席指定席車連結には、もう少し12000系の増備が必要な様ですが、既存「サザン」用車両は決して新しい車両とは言い難く、設備的にもやや難ありの様ですし、おまけに古参車両の下回りを流用した車両で老朽化も進んでいるかと思いますので、既存車両の取替えも含めて増備が進むのか気になります。

ちなみに12000系は既存「サザン」10000系とは異なり、完全な新造車である上に、最新型車両だけあって、メカニズム面でも新型の一般車両・8000系と同種のVVVFインバーター制御や電気指令ブレーキなどを採用しています。

この事もあって既存「サザン」の一般車(自由席・特別料金不要)として連結されている7000系や7100系といった古参一般車との連結はできず、代わりにメカニズム面で同等の8000系を一般車として併結して運行しています。

しかしながら運行途中で増結や解放を行わない事もあってか、運用面では既存「サザン」と同等に扱われているのが特徴で、同じ時刻の列車でも日によって既存「サザン」が充当される場合と、「サザン・プレミアム」が充当される場合があるのは要注意です。

現段階では土休日の運用を固定化すると共に、平日の「サザン・プレミアム」充当車両の時刻をHPで公開していますが、この扱いもいつまで続くのか気になる所です。

また「サザン・プレミアム」充当列車の一般車として運用される8000系は、1000系列との併結も日常的に行っており、9000系とも物理的には併結運転が可能な様ですが、現段階で8000系以外の車両が12000系と併結し、一部特別車特急の一般車として連結された話は聞いた事が無く、今後1000系などとの併結が実現するのかも気になります。
(個人的には単独運用を極力避けているために、持て余し気味となっている9000系4両編成を併結した編成が実現すればと思っていますが…)

ちなみにこの12000系はメカニズム的には8000系と同様で、車体も南海の特急専用車としては初のステンレス製となっているのが特徴で、南海に限らず大手私鉄全体を見渡しても、有料特急車でステンレス製車体を採用した車両自体が他に見当たりません。

とはいえJRの特急車でステンレス製車体を採用した車両は多数存在していますので、観光向けに特化した車両は別としても、汎用特急車でステンレス車はもっと増えても良さそうな気がします。

ステンレス車でも金属地無塗装の冷たい印象を和らげるためか、12000系では同じメーカーが手がけた首都圏の標準軌某大手私鉄最新型車両(一部は別のメーカーでも製造されていますが…)の如く、窓下はカラーテープで覆われ、ステンレスの冷たい印象を出さない様にしているのが特徴で、一般車との差別化にも貢献しています。


また12000系はメカニズム的には8000系と同等で、専ら一部特別車として運用される汎用特急車だけあって、前面は貫通扉付きの実用本位な形状となっており、中間車は将来の客扉増設が容易な様に、JR西日本の新型単行電車を連想させる準備工事が施されているなど、全体的に機能重視の雰囲気が漂っていると感じたものです。

そのためデザイン面では関西や大手私鉄界だけでなく、日本の鉄道界全体を見渡しても強烈過ぎる印象の関西空港アクセス特急用車両・50000系「ラピート」には遠く及ばない気がしますが、併結される一般車・8000系の見るからに機能本位な前面形状に比べると、デザイン面では随分見栄えする気がします。

大手私鉄界では南海と共に、座席指定車と一般車を併結した一部特別車特急を多数走らせている名鉄では、最近の新型特急車では両車を組み合わせた固定編成としている違いはあるものの、前面デザインを特別車と一般車で共通化しており、そこそこの見栄えがする事を考えると、今後8000系を増備する際には、12000系に準じた前面形状にでもした方が…とも感じたものでした。

車内の様子などに関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。