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MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
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韓国東海岸を走る観光列車「パダ列車」(1)

2011-04-14 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが2月に韓国へ足を運んだ際には、日本からの高速船「BEETLE」が発着する港町・釜山(BUSAN)や、Seoulとその周辺地域(首都圏)以外に、地方へも足を伸ばしています。

2月の旅行では全羅道方面へ足を伸ばす機会はなかったものの、江原道(Gangweon-do)方面へも足を運んでおり、その際には「パダ列車」と呼ばれる観光列車にも乗車する機会がありました。

「バダ(바다)」とは韓国語で「海」を意味する言葉で、日本語に直訳すると「海列車」と言う事になりますが、この列車は韓国東海岸の江陵(Gangnueng)~東海(Donghae)~三陟(Samcheok)間を運行しており、この区間は車窓から彼の地で「東海」と呼ばれる海を存分に望む事が出来ます。
(「東海」は日本では「日本海」と呼ばれ、呼称問題が様々な場面で議論されていますが、この件に関してのコメントはご遠慮下さい)

この「パダ列車」は観光列車だけあって全車指定席制となっており、それも日本の快速列車扱いの観光列車などとは異なり、運賃体系自体が一般列車とは全くの別立て、それも全区間均一で一般室(普通車相当)12000W、特室(グリーン車相当)15000Wとなっており、現地の物価を考えると、運賃設定は決して安いとは言い難いものです。

また乗車券購入方法もKORAILの一般列車とは異なり、全国各駅などの乗車券発売窓口や乗車券自動発売機では取り扱いできず、KORAILの関連会社・KORAIL観光開発やネットの専用HP(http://www.seatrain.co.kr)で事前に予約をした上で、当日乗車駅に設けられたパダ列車乗車券売り場で乗車券を購入する仕組みとなっており、外国人旅行者にとっては少々厄介なものとなっています。
(パダ列車の途中停車駅には無人駅も含まれ、起終点の江陵・三陟両駅をはじめ、東海駅などでも乗車券購入は可能ですが、無人駅では乗車券購入も不可能ですので要注意です)

MAKIKYUはSeoul駅構内にあるKORAIL観光開発の事務所で、電話による予約を確保した上で江陵へ向かい、乗車前に予約していた乗車券を購入しましたが、KORAIL TOUR SERVICEでは日本語対応も不可能で、片言と筆談によるやり取りとなりましたので、日本から訪れた旅行者ともなれば、手配だけでも少々苦労するかもしれません。

この様な列車ですので、乗車券様式もKORAILの一般列車とは大きく異なっており、海沿いを走るパダ列車の写真付きとなった乗車券は、乗車記念品にも最適なものです。


乗車券には乗客氏名も印字され、MAKIKYUの様な外国人だと英文標記となりますが、その場合にはご丁寧にも(外国人)とハングルで記されているのも特徴的です。
(韓国人乗客が所持している乗車券の氏名標記は、当然ながらハングルとなっており、写真の乗車券は氏名部分を一部加工しています)

少々前置きが長くなってしまいましたが、乗車券を手にして江陵駅で列車に乗り込む際には、列車は一般列車とは別体系の特別列車ながらも、駅改札前の案内表示では「パダ列車」の表示ではなく、一般列車の一種別である「セマウル」の三陟行きとして案内されており、列車本数の少ない東海岸を走る嶺東(Yengdong)線では混合する心配こそないものの、少々紛らわしい案内方法と言えます。


改札を通ってホームに向かうと、既に列車は停車しており、パダ列車はディーゼル動車(気動車)の3両編成となっていますが、この内三陟寄りの1両だけが一般室、残る2両が特室となっています。

このディーゼル動車は現在のKORAIL現役車両では唯一の動力分散型気動車となっており、9500番台の通称CDC(都市近郊型ディーゼル動車)と呼ばれる車両の改造車となっています。

 
CDCは「統一号」→「通勤列車」の大幅減便に伴い、大量の余剰車が発生し、近年ではムグンファ号用に改造された車両(RDC)が大半を占める様になっていますが、パダ列車に改造された車両も片側2箇所に設けられた扉の一つが埋められ、その部分に痕跡が見られるのは、ムグンファ号用改造車と同様の特徴と言えます。


しかしながらパダ列車は、装いが一般列車とは大きく異なるイラスト入りである事をはじめ、側面も東海に面する側だけ窓が大きく拡大されており、この点は如何にも観光列車らしい雰囲気ですが、前面形状などは種車そのもので、元が通勤用気動車である事を強く物語っている辺りは興味深いものです。

車内や乗車中の車窓に関しては、近日中に続編として別記事で取り上げたいと思います。