ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

日本シリーズ2013、巨人vs楽天に思う監督の視点

2013年11月03日 | Weblog
日本シリーズ2013の第6戦、2勝の巨人に対して、楽天が王手をかけしかも投げる当初は無敗の田中、場所は楽天の本拠地 Kスタ宮城ということで、誰もが楽天・田中が最高の形で締めくくるのではなと期待、あるいは反発していた試合だったわけだけど、結果は田中の4失点でまさかの黒星。まぁ、7戦が盛り上がるのは間違いない。

この試合をNHK-BSで見ていたのだけれど、元広島の大野豊、小早川毅彦が解説をしていて、その「真っ当な」解説を聞いていて、もしかして監督目線で試合を眺めるというのは、こういう解説とは全く別次元の考えなのかな、と思ったのでちょっと書いてみることに。

5回表。2点を先行された巨人であったが、不振の6番・坂本が二塁打で出塁。前の回に後逸のエラーをしたロペスが田中の甘くなったフォークを見逃さず同点ホームラン。なお、1死一・三塁の場面で、原監督はダブルスチールを試みる。しかしこれは失敗。キャッチャー島からの送球をカットした田中が飛び出した三塁ランナー寺内を挟み込み、2死三塁に。結果としてはその後、再び一・三塁となり、高橋が同点タイムリーを打つわけだけど、問題は何故、この場面でダブルスチールなのか。

解説の2人はダブルスチールというのは虚をつくための作戦で、誰もこの場面でやってくるとは思ってないでしょう…と多少戸惑い気味に解説をしていた。

確かにそのとおりだろう。逆に言うと、この場面でダブルスチールをするというのはセオリーに反しているともいえる。回はまだ5回、中盤に差し掛かったところだ。無理をする必要もないし、どうしても点を獲りたければスクイズという手もある。何故、ダブルスチールだったのか。

試合での処理というものを、その都度その都度派生する局地戦で勝利をすることと考えるならば、この場面でのダブルスチールというのはかなりギャンブル色が強く見える。しかしかりに、一連の「流れ」の掴み合いだと考えると、また違うようにも見える。つまり原監督はあえて流れを積極果敢に掴みにいった、あるいはそれまでの流れをかき乱すことで、より試合を動かそうとしたのではないか。

序盤、ビッチッングの出来だけを見れば菅野よりも田中の方が安定していた。しかも選手も観客も「田中=打たれない」「田中=負けない」という雰囲気が出来上がっており、ロペスの一発で同点には追いついたものの、ここで田中が落ち着くと、再び「田中=負けない」という雰囲気に飲まれてしまうと考えたのではないか。結果、点を獲れればよし、獲れなくてもまだまだ試合を落ち着かせないためにも、虚を突くようなプレーを選択したのではないか。

逆に終盤、山口からマシソンへの継投に際し、解説の2人はこのまま山口で最後までいくのでは…という話をしていた。理由はマシソンは打たれていないが四球を出す可能性が高く、点を獲られるリスクが高くなるからというもの。これまた納得の理由。マシソンの危なっかしさはよくわかる。

やはり局地戦としてとらえるならば、そのとおりだろうと思う。ファンにしたって、山口の方が安定感があるし、マシソンの四球で崩れて打たれるよりも山口で負けるのなら仕方がないと思えるだろう。

しかし原監督はここでマシソンを投入する。ジョーンズ、マギーが右バッターだったからというのもあるだろうし、大きいスイングをする二人には力勝負の方が相性がいいというのもあるのかもしれない。と、同時に、巨人の勝ちパターン、3人のセットアッパー/クローザーが試合をしめるという形にこだわったのではないか。

先が「流れをつかむ」「流れをかき乱す」というのだとすると、これは「流れを落ち着かせる」というものだ。楽天選手にしてみても、西村を含めた3人が出てくると「試合を閉めようとしている」「負けるかもしれない」という気持ちがどこかにあるだろう。チームの中にそんな気分が漂えば、そこからの反撃は厳しくなる。

状況だけをみれば、山口で閉めてもよかったのだが、あえて形にこだわった原監督の意図がそういったところにあるのではないだろうか。

反対に、そうした流れに抗えなかったのが星野監督ともいえる。

まぁ、あの試合で、しかもまだ2点差で田中を変えるというのは勇気がいる決断だ。本人がやるといったということもあるのかもしれないし、あるいは黒星をつけさせたくない/同点・逆転できるかもしれないという気持ちがあったのかもしれない。結局、本調子ではない田中を9回最後まで投げさせてしまった。大きく流れを変えるような指示というものがなかったのだ。

それが投手出身で、情に厚い星野監督の限界なのかもしれない。

ま、いずれにしてもあと1試合。田中は使えず、則本も厳しい状態となり、楽天が分が悪くなってしまったけれども、もともと楽天選手の気迫がここまで巨人を追い詰めたともいえるわけで、今日の試合かどうなるのか非常に楽しみだ。


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