たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

みなかみ町小出俣沢左俣<大ヒラナメのセン>。ボーっとしていたのか、さらに上流に行くのを忘れて大失敗。

2022年07月26日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2022年7月24日(日)

川古温泉駐車地(7:39)……千曲平橋・入渓(8:24)……10m滝(9:02)……大ヒラナメのセン(9:32)……大ビノ沢出合い・引き返し(9:51)……10m滝(10:34)……千曲平橋(11:05~11:17)……駐車地(11:58)

 水上ICから出て県道270号線で川古温泉に向かう。これはカーナビに従っただけで、実際のところ、これは遠回りのようだ。帰りは、これもまたカーナビで、月夜野インター経由になった。いい加減なものである。この270号線に仏岩トンネルがあり、その手前に仏岩ポケットパークという駐車場がある。往路で久しぶりに前を通った。このポケットパークは2009年の吾妻耶山と大峰山、2013年の十二社ノ峰に登る際に利用した。それ以来だ。瞬間、どこの山に行った時だったか思い出せなかった。川古温泉まではさして距離はない。ここで笑い話を思い出した。十二社ノ峰を登っている最中にみー猫さんからメールをいただいた。内容は十二社ノ峰へのお誘いだった。いつにしましょうかと。苦笑いしながら「今、登っていますよ」と返信した。みー猫さんも苦笑されたろう。どうでもよいことだったが、ポケットパークはそれ以来だったから懐かしかった。
 川古温泉の駐車場はどういう事情になっているのかは知らないが、旅館からは少し離れたところに15台ほどの車を置けるスペースがあり、空きは2台分くらいしかなかった。ナンバーを見ると、大半が東京方面で、おそらく宿泊客の車だろう。沢靴を履き、ヘルメットをザックに結わえている間に、早速、アブが数匹飛んできた。幸いにやられはしなかったが、帰り道の河原で一回刺されてしまった。キンカンを塗るのが遅かった。2日後にしても痒い。

(林道入口)


(岩を見て、こんな岩をどこかで見たなぁと思っている。それもそのはず、同じ岩を過去に3回見ている)


(右手に赤谷川第二発電所の貯水池)


 通行止めのゲートを越えて林道歩き。ここの林道は地味に傾斜がある。途中から左の山側からは水が流れ込む。右下の沢はかなり高い。林道にせり出した大岩を見て、何だか見たことのある風景だなと思っていた。この林道、2012年に小出俣山に登った際に往復で歩いているし(しかも今日と同じところに駐車している)、十二社ノ峰の帰路でも通っている。これは後で調べてわかったことで、この時、10年前のことなんか覚えていず、初めて歩く林道の感覚でいて、記憶の中に似た光景があったなぁといったとぼけたものだった。
 今日の目的は大ヒラナメのセンにある。その後にさらにその先にある100m滝を眺めて折り返す予定。もし100m滝のせめて一段目を登れるものなら登るつもりで、その下り用のロープまで持参していた。
 林道を歩いていても陽は一向に射さず、いつ雨が降ってきてもおかしくない空模様だ。出発時にみなかみ町の天気を確認すると、終日曇りで、降水確率は0%になっていた。万一、ポツリとでもきたら、沢歩きだし、本降り前に切り上げるつもりでいる。ところで、この「大ヒラナメのセン」あるいは「大ヒラナメノセン」だが、おそらく「大平滑のセン」のことだろうが、この「セン(線?)」とは「沢」とか「谷」という意味ではなかろうか。

(千曲平橋)


(ズボンの中に侵入しようとするヤマヒル)


(入渓)


 千曲平橋が見えてきた。45分かかった。ほとんどの方が40分で歩いている。ここから入渓する。小出俣山の時には林道をさらに先まで行った。沢の手前の草むらでヘルメットをかぶり、ズボンの裾を沢靴の中に入れようとしたら、ヤマヒルがズボンの中に入ろうとしている。様子を眺めていた。すごいものだ。細かい繊維の、虫メガネでも確認できない隙間からでも簡単に入れるのか。半身を没してから、観察している場合ではないと、引っこ抜いてつぶした。草むらにはいる。要注意ではあったが、以降、ヤマヒルにお目にかかることはなかった。今回はジョニーも塩もかけることはなかったが、ヒルばかりは注意しようがない。

(水はきれいで清らかな流れの沢)


(ところどころにナメ)


(淵も陽があればきれいだろう)


 この小出俣沢の左俣を「マチホド沢」ともいうらしいが、何というか、普通の沢だった。石がゴロゴロしている。流れは強い方か。沢幅は広くもなく狭くもない。前回の滝ノ沢と違って水は深めで基本は膝を越える。ところどころに淵もあるが、簡単に巻ける。水は曇り空だから何ともいえないがきれいな方かと思う。青く澄んで見える淵もある。二俣に流れているところが多く、つい、本流はどっちだろうかと気になることもある。ところどころにナメ床があって、退屈さは感じない。むしろ、これが長時間続くわけがないだろうという思いがあるから、ゴロ沢でも楽しく感じるのだろう。

(遠くに滝のようなものが見えてきた)


(10m滝)


(縦にして)


(ここから上がる)


(横から)


(横から)


(滝ツボは深そうだ)


 入渓して30分少し経過したところで、沢の奥に滝がちらついて見えてきた。あれが10m滝だろう。ひろた氏は9m滝としているが、1mの違いはやはり経験に拠るものだろうか。自分には10mも15mも変わらない。
 滝の前に出た。すごい勢いのある、見応えのある滝だ。水飛沫が周辺に浮遊している。真下に出たいが、滝ツボは深くて近づけない。というか、恐い感じがする。天気が曇っているから余計だ。しばらく眺めていたが、全身が飛沫で濡れ出したので打ち切る。さて、どこをどう巻けばいいのか。
 右岸側に踏み跡があった。一旦、滝から下り、踏み跡に取り付く。スムーズに行けそうだったが、ラスト部分は足元がもろく、藪っぽくもあり、ザックに結わえたストックを枝に引っ掛けてもがいた。この間、滝を見ながら登ったが、落差はないものの豪瀑という感じがし、名もないただの「10m滝」ではもったいないような気がした。

(落ち口)


(樋状になっている)


(松ホド沢?)


(斜めになっているところは下がいきなり深くなっていてかなり歩きづらい。滑ればドボンだ)


(沢をこのまま行こうとして岩に乗ったら、その先は深みになっていて、仕方なく左の柴の小山を越えた)


 沢に復帰して落ち口を見に行く。流れは樋状になっていた。滝の上から先はナメ床を頻繁に見かけるようになるものの、沢幅は狭くなり、枝葉も迫って一時的に歩きづらくなる。それでいながら、小滝が続いたり、右岸から小沢が流れ込んだりと、滝下よりも景観はずっと良くなった。この右岸からの沢だが、ひろた氏の遡行図によれば「松ホド沢」と思われる。もっとも、マチホド沢を松ホド沢と誤記していなければの話だが。
 目の前に、上流から流れ込んだ倒木やら枝がうず高く積まれた小山が出てきた。そんなところは越えたくもないのだが、沢は深くなっていて逃げ場はなく、小山を越えるしかない。手こずるかと思ったが、積もった枝はかなり密になっていて、足がすっぽ抜けることはなかった。これを越えると、待望の大ヒラナメのセンが待っていた。いきなり視界が広くなる。

(大ヒラナメのセンの始まり)


(上流に向かっている。晴れていたらキラキラしているだろう)


(ぼんやり歩いていると落ちてしまう)


(振り返って)


(段状になっていく)


(少し陽が出てくると、やはりきれいに見えるようになった)


(あふれ出しているかのようだ)


(しつこいがきれいな水の色)


 長いナメが続く。傾斜もそこそこあるから流れは強い。深さはさほどになくヒザ下。水下の岩の色はあくまでも薄茶。これに黒が斑点状に混じる。淵の色は薄緑。曇天がうらめしい。晴れていたらさぞきれいだろう。目の前がずっと丸い世界だったのが、次第に段差が出てくるようになり、それがいくらか高くなって連瀑が続くようになる。歩いていても飽きない。危ないところはないが、たまにヌメリのあるところがあって、とくに下りでは要注意だろう。どれくらい続いているのか。

(どうもあそこで終わりのようだ)


(左が本流で右が大ビノ沢)


(大ビノ沢の出合い滝)


(こちらは本流なのだが)


(その先はこうなっていて、暗がりから出て来ているかのようだ)


 ゆっくりと上流に向かって歩いたから距離はわからないが、時間的には20分程度のものだった。その間、陽が出てきた。滝が現れて大ヒラナメのセンは終わった(と思っている)。2本。本流は直進。右からは後で知ったが大ビノ沢。それぞれが出合いの滝になってクロスしている。遠くから見ている分には正面に見える本流滝が大きく見えたが、近づくと大ビノ沢の滝が立派に見える。両方ともにナメ滝だ。それぞれに落差は大してなく傾斜も緩い。ここで後の祭りだが、失態を演じてしまう。その時は何も感じていなかった。それは、大ヒラナメのセンも楽しんだしと、ここで引き返してしまったこと。

(見納めで戻るとするか)


 確かに大ヒラナメのセンを楽しむという目的は済んだが、さらに上流に行ってみるというもう一つの目的は頭から抜けてしまっていた。おそらく、豪快な10m滝と大ヒラナメのセンを味わってこれで満足という気持ちがあったのかもしれない。本流の小滝は大ビノ沢の滝に比べてこじんまりし、おまけに、視界が悪く、薄暗く、低く木立がかぶっていて先が見えなかった。入り込む価値はないように見えた。つまりはさらに探索を続ける必要はないと思ったわけだが、この先でさらに大ヒラナメが復活し、8mながらも滝があり、その先に100m滝があることは事前に仕入れていたものの、頭からは消えていた。入口の様相がこうでなかったら、その目的も忘れることはなかったろう。気づいたのはめでたくも帰宅して写真を整理している時だった。もっと楽しめたはずだと思うと、何とも情けなくなる。そして、何のためのロープ持参だったのか。

(下る)


(何か忘れ物をしているような…)


(快適)


(見た目ほどに難しくはない)


(続く)


(陽が当たると渓相も違ってくる)


(ここで終わり)


(松ホド沢出合いの小滝)


 ゆっくり引き上げた。傾斜があるし、気づかぬところにヌメリもあるので滑らないように注意した。何度も振り返る。晴れた空のナメの美しさもさることながら、無意識のうちに忘れ物をしている気分が重なっていたのかもしれない。忘れ物を求めに紅葉の時季にでもまた来ようか。大ヒラナメのセンの紅葉はきれいだろう。とは思っても、100m滝を登れないのでは取り残しも短い区間だし、果たしてその頃にその気持ちが残っているかどうかだ。おそらくないだろう。滝見の紅葉は情報に合わせて確実なところにしか行くつもりはない。春や夏に行って、「紅葉がきれいだろう」では落胆することが多い。

(落ち口に戻る)


(ここから巻き下り)


 枝の小山を乗り越え10m滝の頭に着いた。ここからの滝下への下りが気になってもいた。登る分には特別な危険はないが、下る際には沢靴では滑ると思って、ここが復路の難関スポットだった。ストックを引っかけながらも、木の伸びた枝のおかげでうまく沢に下れた。ここで思う。使いもしないストックを沢歩きでも携える。少なくとも一本は持つ。今回は2本だったが、万一のことがあったら、ストックがあればなぁと思ったことも何度かあったし、クマに出会ったら、ストックを両手に掲げて、アンタよりもこちらがでかいんだよと威嚇するには便利らしい。だから護身的な意味も含めて持って歩く。ただ、それがために植生が密な所では妨げにもなる。これは我慢するしかあるまい。今回は、ロープも含めて結果的には無用の長物だった。

(10m再び)


(凡な沢歩きの下り)


 改めて10m滝に寄り道をする。落差は9mでも10mでもいいが、これは好みの滝だ。好みとはいっても特別な趣向といった観点ではなく、迫って来る滝、恐い感じの滝といった滝。近づけなさそうな滝。滝ツボが深い滝。そんなのは落差には関係なく好みだ。チョロ長の滝ではいくら落差があっても、危なっかしく登って間近に観るのは自分の可能性では無理で敬遠してしまう。

(巻き道はこんな状態だった)


(結局、沢に戻る)


 ゴロ沢歩きをするのも嫌で、右岸にピンクテープが見えた。踏み跡もあった。ゴロ沢を回避して林道に出られるなら歓迎だ。陸に上がると、気まぐれにテープは続き、かろうじて踏み跡を追うことはできたが、子供の頃、ヘビ草と言って、つかむと汁が薬草の臭いのした広い葉の草が続き、踏み跡そのものも見えないままに、下にある小枝に足をとられて滑ることが多く、ヤマヒルも生息していそうなので、結局は沢に戻った。すぐにヒルを確認したがやられずに済んだ。下の軌跡図にあるが、大ヒラナメのセンから林道に沢沿いに実線が記されている。これは確認していないが、自分が一時的に歩いたさらに西側だ。地図にはその間に崖マークが続いている。それを越えての実線だから、かなり離れているようだ。破線ならともかく実線だし、今でもある程度は明瞭かと思う。

(千曲平橋を見ながらの休憩)


 千曲平橋が見えたので休憩。菓子パンを食べる。タバコは車に置き忘れた。吸いたいのを我慢する。ついでに沢で顔を洗った。一時的に陽が出たものの、また陰ってしまっている。後は林道歩きだし、雨になってもかまわないが、早いとこタバコを吸いたい。立ち上がった瞬間、アブに指間を刺される。瞬時につぶしたが遅かった。

(林道歩き)


(駐車場に帰着)


 下り基調の林道歩きながらも41分かかった。釣り人を含めてだれにも会うことはなかった。林道の泥濘に新しい足跡はあったが、昨日のか、もしくは小出俣山にでも登っているのか。
 駐車場には東京方面のナンバーの車はほとんど消えていた。残っているのは地元ナンバー。旅館の従業員か釣りに来た人の車だろう。
 気がつかなかったが、いつの間にか曇り空に戻っている。川沿いなのに風はなく蒸し暑い。前回の滝ノ沢は正直のところあまりおもしろくなかっただけに、今回は満足だった。この時点でもやり残しのことは頭になかった。

(今回の軌跡)沢名、位置等は故ひろた氏の遡行図による。

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)

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