たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

みなかみでキノコ採り。ついでに照葉峡でチョイ沢歩き。

2023年09月21日 | 近所じゃない群馬県の山
(これは山行記事ではありません。あくまでも雑記です)

◎2023年9月20日(水)

 こんな長期にわたるひどい夏バテになったことはかつてない。二か月半だ。無気力、倦怠感、食欲無し、慢性的な睡眠不足、仕事は義務感のみで意見無し……数え上げればきりがない。睡眠時間に至っては、仕事が休みの日も含めて4時間程度のもの。その間に年が一つ増えた。
 夏バテがひどくなった理由は想像がつく。抵抗力の減退もさることながら、職場環境にもあると自分では思っている。車移動とはいえ、連日の暑さの中の外仕事。その間、事務所に何度か戻る。今どき、冷房が24℃にセットされている。外との温度差は10℃以上。こっそり25℃にセットし、帰社すると24℃に戻っている。瞬時に汗肌が鳥肌立つ。それでいて、事務所にいる女性たちはカーディガンを着て仕事をしている。アンタらおかしいんじゃないのと怒鳴りたくなるのを我慢する。こちらは新参者だ。これが毎日繰り返されると、身体がおかしくなっても不思議じゃない。先週あたりは、女性4人が前後してコロナに罹っている。明らかに職場感染。空気清浄機すらない事務所は狭い。8畳の2DKクラス。こんな温度調整も背景にあるんじゃないのかねぇ。
 血圧の薬をもらいに行ったついでに、夏バテに効く薬はないかと医師に相談したら、問題は食欲だからと、「補中益気湯」なる食欲増進の漢方を処方された。すぐに副作用が出た。突発性の下痢が続いた。服用はやめた。腹は空いても、食欲が湧かないままだ。
 山に行く気にもなれず、休みの日はエアコンを入れて横になり、本ばかり読んでいた。おかげで、アマゾンから引き落とされる本代がバカにならなくなった。なぜか、小説ではなく、学生時代に形だけ専攻していたつもりの専門書の類ばかりを読んでいる。
 さりとて、筋力の衰えをカバーしなくてはならず、暑さの中、汗ダクで地元の金山やら八王子丘陵を散歩し、足利の大小山といったブログネタにするにはいささか寂しい山を何度か歩いた。仕事が終われば、ぐんまこどもの国に行き、「グルっとコース」なる、遠回りすれば2kmちょいにはなる散歩道を飽きもせずに歩いている。気温34℃の中をぬるい麦茶のペットボトルを持ちながらだ。昨日は彼岸花を見かけた。以前は、ここから金山までいけるコースが多数あった。イノシシ害防止で、すべて通行止めになっている。一度、柵を乗り越えたら、ズボンを破ってしまったことがある。
 最近になって、気象予報士が「この猛暑続きもようやく出口が見えてきました」とテレビで言っていた。21日の木曜日頃から秋雨前線が南下するらしい。気力、体力は不十分ながらも、これで終わりかと思えば、気が楽になる。三連休で娘の家に泊まり、蔵王の沢歩きをしようと出かけた。滝を観たかった。体調は良好だったが、出発地となるスキー場に着くとガスガス。10m先が見えない。少し歩いて、標識もコース入口もまったく見えないので引き返した。結局は孫守りに行ったようなものだった。月曜日に家に帰ると、滅茶苦茶暑くて、気力もまた萎えた。木曜日から本当に秋らしくなるのかねぇ。その後にしても、相変わらず、最高気温予測は30℃超えがちらついている。桐生が猛暑日続きで話題になっているが、隣り合った太田もしかりだ。さして変わりはあるまい。今年の北関東の暑さ続きは異常だ。

 20日はみなかみにキノコ採りに出かけた。元より、キノコ採りには興味はなく、15年ほど前にMとT(高木)の3人でキノコ採りに行ったのが最初で、指南役はM。その時はイッポンシメジが目的だったが、Tとオレは大量に採っては喜んでいたが、集合してM先生に見てもらうと、すべて毒キノコだった。以来、自分には向かない分野だと思っていた。
 去年の9月、Mから声がかかった。「みなかみの山の香茸が今すごいらしいから、一緒に行かないか」と。香茸(コウダケ)なるキノコは聞いたこともなかったが、失業手当て支給の待機中でヒマだったから同行した。その時、Tは仕事で行けなかった。みなかみに向かう車の中で、Mがおかしなことを言った。「オレが知っている場所をオメェに教えておくから、しっかり覚えて、来年はTを連れて行ってやれや」。おかしなことを言うものだと思った。何でMは来年行かないんだ。その時は気にも留めなかった。
 Mの予想どおり、香茸は大きめの背負いカゴ2つにたっぷりと採れ、Tに大量にふるまうまでした。ただ、キノコ採りの最中、いつもなら颯爽と上り下りするMは元気がないのか、オレから遅れがちにゆっくりと歩いているのが気になった。
 Mは大工だった。大工とはいっても二級建築士。高校の同級生で、いわば腐れ縁が続き、オレの住む家はMに建ててもらった。このキノコ採りの後の話だが、家の修繕を頼んだら、すぐに来てくれた。何日か続いたが、決まって、オレの前でカミさん弁当を広げながら「m(オレもエムだから、ここではmにした)、わりいけど、焼酎くれないか」と言う。帰りのトラックの運転が気になったが、酒には強いヤツだから、ためらいもせずに焼酎を飲ませた。濃いのを一杯。催促されたから二杯目も出した。翌日も同じサービスをした。
 その後、オレがMの家に遊びに行くと、ノンアルビールを出された。本人もノンアルを飲んでいる。カミさんが言うには、「体調が悪くて、医者に酒とタバコはダメと言われているんだけど、タバコはやめられないみたいだから、酒だけは飲ませていないの」。それで、オレの家に来て、酒を所望したわけか。その時も、どこが悪いのかとは聞かなかったし、せいぜい糖尿かなと思っていた。Tもそんなことを言っていたし。
 そのMが今年一月に膵臓がんで亡くなった。驚いたのは当然。もっとも、Tから、Mは糖尿ではなく膵臓がんで、連日、モルヒネだとは聞いてはいた。妻と一緒に出かけた葬儀の際、カミさんに話を聞くと、もう一昨年前に、余命一年と言われていたそうだ。家の修繕前のことだが、雨漏り修理をTに依頼すると、足場代が高くつく見積もりだったのでためらったが、Mに相談すると、「足場なんかいらねぇよ」と、軽々と急な屋根に上がって直してくれた。その時、すでに病んでいたようだ。

 去年の香茸採りは22日だった。20日は仕事も休みだし、香茸採りに出かけた。しっかりした場所は記憶がなかったが、グーグルマップをつぶさに調べると、ようやく記憶のある風景が出てきた。後日談だが、Mのカミさんに電話して今回のことを告げたら、毎年、夫婦で行き、Mが採っている間にカミさんが下でずっと待っていたそうな。そんなことを知っていたらMのカミさんに場所を聞いていた。

 ここまで記したところでTからメールが入った。おふくろさんが亡くなったとの由。5月におやじさんが亡くなっている。仲の良い夫婦だった。群馬の典型的な女性で、完全におやじさんが尻に敷かれていた(T夫婦も同じようなもの)。ちょうど、今日の20日は彼岸入り。何かの因果、因縁を感じる。自分には今年三回目の葬儀になる。メールが入ってから忙しかった。Tに頼まれ、オレとTがらみの知り合いあちこちに電話を入れた。

(香茸山に入り込む。左に上がる新しい踏み跡が気になった)


(左の尾根を目指す)


 出がけに天気予報を確認すると、みなかみはずっと雨だった。土砂降りではあるまいと、出かける。そもそも、予報は信じていない。曇ってはいたが雨上がりのどんよりした空模様だった。キノコ採りに長時間はかからない。路肩に車を置く。反対側のヤブに入り込む。岩混じり、明け方の雨でスパイク地下タビがメチャ滑る。右は水のない沢筋で、左はヤセ尾根になっている。去年は尾根上にキノコはなく、沢との斜面に香茸が群がっていた。とりあえず尾根を登って、下るしかない。新しい踏み跡がいくつかあったのが気になった。この尾根は曲者で、すんなりとは登れない。急傾斜のうえに、立木がやたらと続いて、なかなか進まない。立木は密で、ザックが引っ張られる。背負いカゴなんか持ってないから、45リットルのゴミ袋持参だ。去年は、そんなに苦労して尾根に登った記憶がない。体力もさることながら、雨後のせいもあろう。とにかく滑るし、衣類が露を吸い取る。

(尾根に立つと、なぜか古いリボンが巻かれていた)


(ピークに出てしまった。ここまで登ってはいけなかった)


 何とか、尾根に登って、ピークに立つ。どうもここから道迷いがはじまる。後で思えば、ピークに立ってはいけなかったのだ。去年はピーク手前で南の谷筋に下ったのに、GPSを後で確認すると、ピークから南東に下っていた。いたるところ木立混じりのヤブで、どこも同じ風景だ。勘が鈍いから余計に気にならない。去年と同じところを下っていると思っている。それにしても、こんなにヤブは濃くなかったけどなぁと思いながら。

(香茸を探しながら下っている)


(この汚れよう)


 目を皿にしても香茸は見あたらない。急な斜面を滑りながら下り、さらに周辺を探す。かけらも何もない。それどころか、得体のしれないキノコすらない。沢筋は下に見えるが遠い。去年はこんなに下っていない。ところどころに人らしき足跡はある。斜面のトラバースが続く。何度も滑っては転んだ。軍手はすでに濡れて真っ黒。
 幾分落ち着いたところに出た。沢筋のかなり上だ。絶対に、帰路を間違えているようだと確信したが、車のエンジン音が聞こえるから、車道には出られるだろう。傘が開き過ぎたキノコを見かけた。食えるものではあるまい。これが唯一の見かけたキノコ。
 見覚えのある景色だった。下に車道も見えている。だが、どうも様子が違う。沢に降りて見ると、左は高い擁壁になっている。右はフェンスがある。出発時にこんなのはなかった。また、尾根の方に登って、フェンス沿いに下る。このまま行くと危ういようだ。今はフェンスの外側。内側に入らないと車道に落ちてしまいそうだ。フェンスは高い。2.5mはありそう。越えられない。ただ、真下に車道が見えるのが救い。フェンスを追った。コンクリの溝があった。これは無理。45度を超えているし、左右に手をかけるものはない。フェンスにつかまりながらフェンスの終点に出た。歩けるようなところではなかった。がむしゃらだった。狭いすき間からフェンスの内側に出た。

(この先のヤブ漕ぎがきつかった)


(トンネル歩き)


(収穫なしでズボンはこのありさま)


 ほっとした。正面に車道が見えた。だが、完全なヤブ漕ぎだった。ツタが足に絡まって先に進まなかった。車道に出た。すぐにトンネルがあった。やっぱりなぁ。ここでGPSを確認する。尾根ピークからあらぬ方向に下っていた。トンネルの中を歩く。幸いにも歩道はある。
 出発からちょうど一時間。駐車地にはヘトヘトで戻った。霧雨が降っている。全身、汗と露まみれ、泥まみれ。実は、このまま、照葉峡に行って、チョイ沢歩きをするつもりでいた。雨上がりの予想もしていなかったので、この格好のままでだ。それは無理。尻が泥だらけで、車のシートに座れる状態ではない。シャツもまた同様。着替える。気持ちが悪くてパンツまで交換した。
 すっきりしたはいいが、その後の着替えはなくなった。それでいて、沢歩きはするつもりでいる。悪いことに、ズボンのままで沢歩きをするつもりが短パンになってしまった。いくら何でも、沢歩きで短パンはまずいんじゃないのか。と思いながらも照葉峡に向かう。今年初めての沢歩きになる。一昨年に行った「翡翠の滝」の上流を歩きたかった。
 香茸。Mのカミさんによると、雨が降らなかったから、今年はダメだったんじゃないのと言われたが、オレには、真新しい足跡が気になった。もう遅かったのかもしれない。道迷いせずに去年と同じ歩きコースだったとしても、おそらくは、根こそぎ採られていたような気がする。現に、去年の我々は、まさに根こそぎだったから。今回は一本も採れなかった、見かけもしなかったというのが気に入らない。また来年。その時はTを道連れだな。今回はTに声もかけなかった。結果的にはおふくろさんのことでそれどころではなかったろうが、一人占めしたうえで、Tに半分持って行くつもりでいた。あくまでも、去年の収穫量が前提だ。くだらないが、たかがキノコでも、ヤツには、山がらみでは優位に位置したかった。

 照葉峡は19℃で寒かった。散発的に車が通る。数台、路肩に駐車しているが、人の姿はない。釣りかキノコだろう。紅葉はまだまだ先。むしろ、樹々の焼けた葉が目立つ。紅葉の時季は混雑して渋滞する。駐車スペースは幾分広い路肩だけだからそうなる。
 安全だと思えるところに車を置いた。他に一台とまっている。ここなら翡翠の滝も近いし、木の根沢には難なく下りられそうだ。沢靴を履いてヘルメットをかぶる。半袖Tシャツ、短パンではちぐはぐな格好だ。

(入渓)


(基本は右岸歩き)


 沢に入った。水は冷たかった。流れは雨後のせいか速い。水量は多いようには感じない。基本的に右岸側を歩いたが、行きづまると、戻って左岸に移動。短パンの裾はあっという間に濡れた。長ズボンなら平気なのに、短パンでは気になる。
 たいして危険でもない沢だ。滑ることもなかった。だが、歩きながら、何となく恐く感じた。なぜだろう。久しぶりだからか。ということは、蔵王の沢歩きができたとしても、果たして予定通りに歩けたろうか。いや、沢歩きをバカにしたようなお気軽スタイルでは生半可ではないのかといった自省の気分によるものではなかろうか。肌を出したままの腕や足が岩角にあたるのを気にせずにはいられない。いずれにせよ、このままずっと遡行する気持ちは、入渓してからほどなく失せている。

(翡翠の滝かと思ったが、どうも様子が…)


(滝マップに、これに近い姿の滝はなかった)


(まぁ、落差はさほどでもないが豪快な滝だった)


(左岸側から滝が流れ込む。さっきの滝、この沢の位置からすれば翡翠の滝になるのだが)


 翡翠の滝が見えてきた(と思った)。何だかおかしい。一昨年に見た翡翠の滝とは姿が違う。写真付きの滝マップは刷り出して持ってきていた。見比べても違う。自分はいったい、どこを歩いているのだろう。とりあえず、滝は越えた。この滝の上にあるらしいという広い甌穴を見たかったが、それはなかった。やはり、翡翠の滝ではないようだ。

(まだ先に行ってみる)


(ここであきらめる。高巻けばドボンだ)


 先に行く。左岸の沢から小滝が入り込む。だらだらと歩いて行くと、狭隘な完璧に挟まれた小ぶりの滝が見えた。左岸寄りに行けないこともないようだが、水面下は斜めになっていて、深い淀みに落ち込みかねない。あまり気が進まないままに歩いていたし、ここで切り上げよう。

(簡単に登れそうだったので、ここから車道に出ようとしたが…)


 少し先に、ガードレールが見えているところがあり、擁壁にはなっていない。あそこからなら上に出られるだろうか。そう簡単ではなかった。足場は悪く、つかめる木の間隔が離れていてやっかいで、張った木の根が頼りだった。ガードレールをまたぎ、真下を見ると、沢まではかなりの傾斜になっていた。ズルっといったら、沢に落ちていたかもしれない。

(あとは車道歩き)


(余計な写真をラストに)


 車道歩き。あるはずの滝名を記した標識を見かけることはなかった。結果的に、久しぶりの沢歩きも、あまり楽しいものではなかった。駐車地に到着。一時間も歩いていなかった。さて、着替えはすでにない。短パンは泥なしの水だけだからまだいいが、尻まで濡れているし、白いTシャツもまた最後の登りで汚れてしまった。このまま帰るしかない。泥だらけでないだけましというものだが、シートに座っている以上、尻の濡れが乾くことはなかった。

 照葉峡の19℃がウソのようにどんどん上がっていく。沼田ではもう30℃超え。我慢できずにエアコンを入れた。キノコ採りとチョイ沢歩き。時間的には2時間も歩いていない。久しぶりに全身を使ったせいか、夜には身体のあちこちが痛くなり、翌日は歩くのもしんどく、日課のグルっとコース歩きはやめた。なぜか、普段はない腕の痛みがあった。
 待望の秋の始まり21日になった。天気はどんよりし、陽が出ていない分、最高気温も30℃を切りはしたが、湿度は高いし、風はそよとも流れていない。蒸し暑いレベルだ。明日の最高気温は30℃予想だ。さわやかな秋の入口とは思えない。今日もまた、外から事務所に戻ると相変わらず24℃に冷え込んでいた。

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