空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

小説『星を掬う』

2022年04月29日 22時55分34秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

28歳の女性・千鶴(ちづる)は、
小学一年生の時に母・聖子と離れ離れになり、
高校生の時に父親を亡くし、
祖母と爪に火を点すような生活を送ってきた。
その後祖母も亡くし、
結婚した相手・弥一がクズで、
事業に失敗を重ねた挙げ句横暴になり、
何とか離婚したものの
今も千鶴を訪ねてきては暴力を振るい、金を巻き上げていく。
千鶴は、パン工場につとめていて、
そこでパンを無料で食べられるため、
なんとか食いつないでいる毎日だった。

22年前に別れた母には「捨てられた」という認識で、
千鶴の中では母親に対する恨みが渦巻いていた。
賞金目当てで応募したラジオ番組で、
その母と旅行をした思い出を書いたところ、
準優勝となり、
賞金5万円を獲得、
弥一にみつからないように隠すが、
弥一が勤め先まで給料を受け取りに来たことから絶望し、
弥一を殺して、自分も死ぬ決意をする。

そこへ、ラジオ局の担当者から連絡が入る。
放送を聞いた聴取者から、
あの手記を書いた人の母らしき人と同居しており、
書いた人に会いたい、と言ってきたのだ。
その若い女性・恵真(えま)と会った時、
千鶴は弥一によって顔に怪我をしていた。
恵真は迅速に対応して、千鶴を救出シェルターに届けて
弥一から隔離し、
今住んでいる家に保護することを申し出る。
恵真は、千鶴の母・聖子と共に、
さざめきハイツという、古い社員寮で共同生活をしているという。
躊躇する千鶴を説得して、連れていかれた家で
千鶴は22年ぶりに母と再会するが、
その時、52歳の母は、若年性認知症で、
記憶がさだかでないのだった・・・

というわけで、ひとりぐらしのお年寄り専門の家政婦だった聖子が、
老人の一人から遺産相続した「さざめきハイツ」での
共同生活を描く。
美人で美容院のスタイリストをしている恵真、
介護師をしている彩子との4人暮らし。
聖子はデイサービスに行くため、
昼間は千鶴一人。
弥一に発見されることを恐れて、一歩も外には出られない。

そして、千鶴の中に渦巻くのは、
母に対する怨嗟の想い。
娘を捨てた後、娘が幸福になったと思っているかもしれないけれど、
娘はこんなに不幸だ、
全部、あんたの責任だ。
私を捨てたあんたのせいだ

そして、蘇るのは、
別れ別れになる直前、
母と共に旅行した思い出。
その記憶が母の中で消えていくのを恐れる千鶴。

共に住んでいる二人も不幸の固まりだ。
恵真は、父母を事故で失って、親戚の家で不遇な生活をし、
美貌ではあるものの、
それがあだになって、数々のトラウマを抱え、
男性に触れられることが出来ない。
彩子は、昔、離婚した結果、
娘から捨てられた経験があり、
ある時、その娘・美保17歳が男に捨てられ、
妊娠して頼って来る。
そして、母親らしいことを何もしていないんだから、と
様々な要求をする。
その姿を見ながら、
千鶴は、自分の姿を見る思いがする・・・

と、なぜこんなに不幸なんだ、
と思わせる登場人物たちの描写が辛い
母親と娘というのは、
何か独特の愛憎関係があるらしい。

しかし、描写は直接的で、
お互いを非難し合う言葉のやりとりが過酷で、
読んでいて辛かった
人生をやり直せないのも、
全部、その人本人の責任なのに、
過去にこだわり、修正できないでいる姿が
あわれでならない。
しかも、思い出の中に登場する祖母たちも、
みな同じ母娘問題を抱えている。
まるで遺伝するかのように。

もちろん、最後は親子関係は修復されるのだが、
あまりにも構築した小説世界が、
そのために作ったような設定で、
読者に不快な思いをさせてしまうのは困る。

「52ヘルツのクジラたち」で、
2021年本屋大賞受賞を受章した町田そのこの受章第1作目。

「読むんじゃなかった」という感想を与える本とは、

一体何なのか。

 


ドラマ『マンダロリアン』

2022年04月28日 22時57分26秒 | 映画関係

[映画紹介]

                                        

ドラマシリーズ「マンダロリアン」は、
ディズニープラスで配信されている
「スター・ウォーズ」のスピンオフ(外伝)作品

マンダロリアンとは惑星マンダロアを中心として活動する戦士集団。
高い戦闘技術を擁し、賞金稼ぎや傭兵を稼業とする者もいる。
種族・人種としては惑星マンダロア出身の人間が大多数を占めているが、
種族や出身地に制限は設けられておらず、
戦士集団としての文化や教義に従う意思を重視する。
この映画の中でも、
「マンダロリアンは種族ではなく、教義だ」
というセリフがある。

物語の設定時期は、
「スター・ウォーズ」のエピソード6「ジェダイの帰還」から5年後、
エピソード7「フォースの覚醒」の25年前に位置する。
銀河帝国の崩壊からファースト・オーダーの出現の間だ。

主役は、孤独な賞金稼ぎのマンダロリアンのマンドー
帝国とつながる集団から、50歳の獲物を捕獲する依頼を受ける。
獲物を捕らえてみると、
それはヨーダ種族の子供、グローグーで、
50歳といっても、ヨーダ族は成長速度が遅いので、
まだ幼児の形態をしている。
したがって、ザ・チャイルド、ベビー・ヨーダとも呼ばれる。
ザ・チャイルドを依頼主に引き渡し、
貴重なベスカー鋼を報酬として受け取ったマンドーだったが、
いつの間にかザ・チャイルドに愛情を持つようになっており、
売ったという罪悪感から、奪い返す。
それは掟を破ることで、賞金稼ぎのギルドに追われ、
隠れ住む他のマンダロリアンに助けられつつ、
逃走中に様々な世界を訪れ、
ジェダイにザ・チャイルドを届ける旅を続ける。

というわけで、マンドーとザ・チャイルドの子連れ旅を描く。
マンドーの脇を空中に浮く乳母車が移動し、
「子連れ狼」みたいだ、と思ったら、
本当に「子連れ狼」を参考にしたと関係者が言っていた。

ザ・チャイルドはヨーダ族としては成人していないが、
時々フォースの力を発揮して、マンドーの命を助けたりする。
ただ、まだ未熟なため、
フォースを使った後は、
眠気に襲われて眠りこけたりする。


途中立ち寄った緑豊かな星で、
元反乱軍ショックトルーパーのキャラ・デューンに出会い、
平和を愛する村人に、
襲撃者から守ってくれるよう依頼を受け、
二人は村人を戦闘訓練し、襲撃者と戦うという、
「七人の侍」みたいな展開になる。
これも、メイキング映像で製作総指揮のジョン・ファブローが、
「七人の侍の回」と言っているから、
やはり「七人の侍」へのリスペクトに違いない。

新銀河共和国の監獄船から囚人を救い出す作戦に協力したり、
マンダロリアンの立てこもる建物から脱出するために、
溶岩の川を船で渡ったり。
途中、父母を全員殺されたマンドーの過去も明らかになる。
タトゥイーンの街では、
街を襲うクレイト・ドラゴン掃討作戦に参加したりする。
カエル型種族の未授精卵を届ける旅に付き合い、
その途中、不時着した氷の惑星の洞窟内で、
蜘蛛の群れに襲われるという「エイリアン」みたいな場面も起こる。


タイソン星のジェダイ聖堂の遺跡にグローグーを連れて行き、
ジェダイとの交信を試みるが、
帝国軍にザ・チャイルドを奪われる。
追跡してザ・チャイルドの捕らわれた戦艦に入って一行は、
ザ・チャイルドを救出するが、
操縦室に追い詰められ、
ドアが破られそうになった危機一髪の時、
窓の外の宇宙空間に現れたものは・・・

と、これ以上書けない
それは、これから観る人への配慮だが、
観る予定はないが、気になるから、内容だけ知りたい、
という方のためには、後で書く。

前から「マンダロリアン」を観ていた娘が、
突然部屋に入って来て、
「今、最終回を観終えた。
お願いだから、マンダロリアンを観て」
と興奮気味。
目に涙さえ浮かんでいた。

2シーズン16話を通じて、
完全に「スター・ウォーズ」の世界を継承する。
余計な解釈や新機軸は登場しない。
ジョージ・ルーカスの作った世界観を大切に守っている。
更に、新技術を使っての表現の豊かさに磨きをかけ、
劇場用映画に劣らぬクォリティを確保する。
これは、脚本と製作総指揮のジョン・ファブローの功績だろう。
この人、見るからに頭が良さそうで、統率力は抜群そう。

「ディズニー・ギャラリー」と称するメイキング
10話ついており、
製作の舞台裏、レガシー、キャスト、テクノロジー、
特殊効果、プロセス、楽曲、つながり
の表題のもと、

ジョン・ファブローやキャスリーン・ケネディと
監督たち、役者たちの座談会が展開される。
これが大変なもので、
特に、女性を含む監督たちが、
みな子供の頃に「スター・ウォーズ」に夢中になった人で、
長じて「スター・ウォーズ」シリーズの監督になったことを

誇りに思っている、
その生の声が聞ける。
また、新技術でブルースクリーンではなく、
背景幕(ビデオ・ウォール)のLEDスククリーンで仮想空間を作り、
野外シーンもロケではなく、
スタジオで撮影した事実が明かされる。

配役も充実しており、
マンドーを演ずるペドロ・パスカルは、
ほぼ全編の間、アーマーと呼ばれるヘルメットをつけて演ずる。


人前に素顔をさらしてはならないという

マンダロリアンの「教義」に従い、
ヘルメットをつけずに、ボディランゲージで感情を表現する。
キャラ・デューンを演ずるジーナ・カラーノは、プロの女性格闘家。

そして、何より最大の功績はザ・チャイルドの造形で、
なんとも言えない可愛らしい風貌に、
マンドーが心を掴まれる気持ちが分かる。


時々いたずらをして、マンドーに叱られたり、
蛙族の卵をつまみ食いしたりも笑わせる。

 

「スター・ウォーズ」のスピンオフの中では、

最良の作品。

 

2019年11月12日に米国でシーズン1の配信開始。
日本では、2019年12月26日から配信開始。
シーズン2は2020年10月30日から世界同時配信。
シーズン3も近く配信の予定。

シーズン1は8話合計5時間30分、
シーズン2は8話合計6時間6分。
ただ、エンドクレジットがやたらに長いので、

正味はもっと少ない。
メイキングは1が8話4時間28分、
2が2話1時間51分。
特に2の2話目は、
最終回の舞台裏が描かれ、興味深い。

↓は、娘が幕張のアウトレットで買い求めたマンダロリアンのサンダル

 

 

で、最終回の内容だが、







操縦席に閉じ込められたマンドーたち。
ドアがじきに破壊される、その時、
窓の外をXウィングが横切る。
戦艦に乗り込んできた人物が
次々とドロイドたちをなぎ倒す。
ライトセーバーを使って。
そして、ドアが開くと、
そこに立っていたのは・・・
ルーク・スカイウォーカー
ザ・チャイルドの通信を受けて救出にやって来たのだ。
ここで、16話中で初めてジョン・ウィリアムズの音楽が流れる。
続いて登場したのは、R2-D2
マンドーの手からルークの手に渡されるザ・チャイルド。
マンドーはヘルメットを取って顔を見せ、
ザ・チャイルドとの別れを惜しむ。
ザ・チャイルドを預かり、
訓練すると約束して去っていくルーク。

このルーク登場の場面で、
全世界の視聴者たちが
驚愕する場面が
YouTubeで配信されている。

撮り方も上手く、
戦艦内のモニターに映るライトセーバーの色は白黒画面で不明。
やがて、その色がグリーンであることが明かされる。
「ルークだ」と、視聴者は大騒ぎ。

このルークは、マーク・ハミル本人によって演じられ、
現在70歳のマークの顔は特殊技術で若返る。
脚本には、この人物はルークとは書かれておらず、
「プロ・グーン」という別人で表記されて、隠匿される。
そのためにダミーの映像も作り、
2年間、厳重に秘密にされたという。
そして、情報漏れを心配して、
毎日SNSをチェックしたという。
製作にかかわる一人の人物からでも、
情報漏れが起こるのを恐れたのだ。

幸い、配信日まで秘密は守られ、
全世界の視聴者が驚愕することになる。
娘もその一人で、
さっそく私に「観て」との要請。
そして、観た私は、
Wikipedia の解説で、
最後にルークが登場することを、事前に読んでしまい、
「驚愕」という甘い蜜を味わうことは出来なかった。
罪なことをする、Wikipedia 。

 


配膳ロボット、餃子無料販売所、我が家の椎茸栽培

2022年04月27日 22時58分02秒 | 身辺雑記

先日のこと。

隣町にある焼肉屋、

じゅうじゅうカルビへ。

名前も「プレミアカルビ」に似ているし、

「4大名物」など、「焼肉きんぐ」のパクリも。

iPadでの注文は、もはや標準か。

ここの食べ放題は、

標準の「大感激コース」で2980円。

ランチは割引で2726円。

シニアは600円引きで、

更に8%のクーポンを使うと、1956円、

税込みで2152円で、他店と比べてかなりの格安。

おや、軽やかな音楽と共にやって来たこの物体は?

配膳ロボを導入。

テーブル番号に従い、やってくると

青いネオンが付いた皿を取り、

「完了」を押すと、次へ向かいます。

人が前に立つと、ちゃんと止まります。

猫という設定らしく「○○にゃん」などと喋ります。

係の方に「省力化できましたか」と訊くと、

「はい。でも、私たちの仕事がなくなるので、

私たちも頑張ります」とのこと。

 

↓は、浦安市のメインストリートにある、

餃子の無人販売所

中はご覧のとおりで、

冷凍ケースに餃子がぎっしり。

代金は、このお賽銭箱のようなものに投入します。

監視カメラが見張っています。

これが商品。

1パックに18個入り、

2パックで1000円。

 

ところで、1回目の「収穫」が終わった

我が家の椎茸

2週間ほど休ませた後、

1日水に漬けて、置いておくと、

また、芽を出しました。

前回は密集していましたが、

今度は数が少ないため、のびのびと。

2度目の「収穫」の後、

3回目に入りました。

 


『海坂藩に吹く風』

2022年04月25日 23時00分00秒 | 日記

[書籍紹介]

海坂藩(うなさかはん)とは、
藤沢周平の時代小説に登場する架空の藩


「海」を「うな」と読むのは、
「大海原」と書いて「おおうなばら」と読むのを
想起してもらえば、納得してもらえるだろう。

藤沢によってこの藩のモデルについての明言はされなかったが、
藩や城下町、領国の風土の描写から、
藤沢の出身地を治めた庄内藩と
その城下町鶴岡がモチーフになっていると考えられている。

海坂という言葉について、
藤沢は、水平線が描くゆるやかな弧をそう呼ぶと聞いた記憶があるとし、
藤沢は、一時期俳句を投稿していた句誌『海坂』から
その名を借用し、作品の舞台として海坂藩の名を与えた。
この小藩を舞台にした一連の作品が
「海坂もの」と呼ばれることがある。
しかし、実際には「海坂藩」と舞台が明記されるのは、
海坂藩が初出した短編「暗殺の年輪」(1973年)や
隠し剣シリーズ(1976~80年)など
初期に著された短編作品と、
長編ではじめて「海坂藩」が明示された「蝉しぐれ」(1986年)
以後の作品のいくつかであり、
藩名が明示された作品はむしろ少ない。

2007年に、文藝春秋から出版された、
「海坂藩大全」上下2冊として、
「海坂もの」の短編集がまとめられている。


そこでは、「海坂もの」の基準が
①海坂藩、海坂と明記してある
②五間川が流れている
③色町として染川町がある
という3点が基準になっている。

収録作は、

上巻

暗殺の年輪 相模守は無害 唆す 潮田伝五郎置文
鬼気 竹光始末 遠方より来る 小川の辺 木綿触れ 小鶴

下巻


梅薫る 泣くな、けい 泣く母 山桜 報復 切腹
花のあと-以登女お物語 鷦鷯(みそさざい)
岡安家の犬 静かな木 偉丈夫 

海坂藩については、藤沢ファンの想いを刺激するものがあるらしく、

井上ひさしを始め、

「海坂もの」を読んで、

海坂藩の地図を独自に描く試みがなされている。

本書は、その「海坂藩」に題材を取った作品の解説はじめ、
多岐にわたる藤沢作品について、
海坂藩物、剣術物、女性が印象的な小説、
市井物、歴史小説、伝記といったジャンルごとに
魅力が語られる。

筆者の湯川豊氏は、文藝春秋に所属した編集者。

目次

第一章 海坂藩に吹く風
第二章 剣が閃くとき
第三章 つつましく、つややかにー武家の女たち
第四章 市井に生きる
第五章 歴史のなかの人間
第六章 伝記の達成

第二章 剣が閃くとき と、
一つの章建てがされているように、
藤沢作品の大きな柱として、
剣客ものがあり、
様々な秘剣が描かれ、描写も詳細をきわめる。
さぞ、剣術の鍛練をしたかと思うのだが、
ご遺族にお聞きしても、
藤沢に格別に剣道に身を入れた体験はないという。
つまり、作家の想像力が作り出したものと言うしかない。

また、藤沢の剣客小説には、
主だった剣客たちの流派が必ず書き込まれているが、
全て実在したものだという。
そして、あまり知られていない、
地味な流派を好んで選んでいるという。

第五章 歴史の中の人間 に、
信長、秀吉、家康の3人について
藤沢周平がどう見ていたかが書かれていて、興味深い。

藤沢周平は,初期の頃、信長に好意を持っていたが、
その時期は比較的短く、
信長から離れた理由として、
信長の殺戮を挙げている。
人間の持つ「白い根のような」狂気だとも書く。
ヒトラーやポル・ポトに似ているとまで。
秀吉の特徴は、説得と恫喝。
「蜜謀」における上杉謙信の後を継いだ二代目景勝の描写が興味深い。
軍師の直江兼続によって、
江戸城攻めを提案された景勝は拒絶して、こう言う。
「わしのつらをみろ。これが天下人のつらか」
そして、こう続ける。
「わしは太閤(秀吉)や内府(家康)のような、
腹黒の政治好きではない。
その器量もないが、
土台、天下人などというものには
さほど興味を持たぬ」

義を踏みにじる厚顔の男、

家康のまわりに人が群がり集まって来るのを見て、
兼続は思う。                                        

天下人の座に坐るには、
自身欲望に首までつかって恥じず、
ひとの心に棲む欲望を
自在に操ることに長けている
家康のような人物こそふさわしい。

今、私の書棚には、
親戚筋から継承した藤沢周平の文庫本が並んでいる。
この「海坂藩に吹く風」を読んだ後、
どんな風に藤沢周平を読むことが出来るか、
楽しみである。

 


映画『バーニングダウン 爆発都市』

2022年04月24日 22時53分14秒 | 日記

[映画紹介]

冒頭、香港国際空港が核爆弾によって爆破される。
空中の飛行機から始まる、このCG満載のオープニングで、
度肝を抜かれる。
なにしろ、巨大なキノコ雲まで出現するのだ。
つかみは十分。
そこから、4年前に時間が戻って話が展開する。

2015年。
香港警察爆弾処理隊員フォンは、
数々の爆弾事件を解決してきたプロフェッショナルだった。
長年の相棒ドンと共に
アパートに仕掛けられた爆弾を解体し人質を救出するが、
見逃していた一個が爆発し、左脚を失ってしまう。
フォンは、義足をつけてリハビリに励み、
ついに隊員試験の合格ラインを超えるが、
警察の上層部は、フォンの復帰を認めようとしなかった。
仕事一筋で生きて来たフォンは自暴自棄になり、
反抗を表明して警察を辞め、姿をくらませる。

それから4年後。
反体制武装組織「復生会」による爆弾テロが多発。
対テロ部隊の女性隊長ポン・レンは、捜査を開始する。
そんな折、高級ホテルのレセプションで
大規模な爆発が起きる。

現場で爆弾を仕掛けたと見られる男が
重体の状態で発見されるが、
それは、なんとフォンだった。
しかし、フォンは記憶を失っており
容疑者として収容された病院で尋問を受けるが、
なぜ自分が爆弾テロをしたのか思い出せない。

一方、復生会は、フォンを救い出すべく乗り込んでくる。
「なぜテロ組織が俺を助けるのか?」
理解できないまま、

フォンは病院から抜け出して逃亡するが・・・。

というわけで、逃亡者となったフォンを巡って、
親友のドン、恋人のポンと関わる中、
次第に記憶が蘇って来る経過を辿る。
誠実な爆弾処理警官だったフォンが
なぜテロを起こすようになったか、
もしかしたら、復生会に対する潜入捜査員なのか、
それとも、本物のテロリストなのか。
事件は謎を含みながら、
冒頭の香港国際空港核爆弾襲撃へ向かって収束していく・・・

面白い。
いろいろつっこみ所は沢山あるが、
とにかく、ど派手に見せる。
生身の格闘、逃走劇、爆破シーンなど、
香港アクションらしいスピード感があふれる。
これこそ、娯楽映画。
いくらなんでも、爆弾処理を天職としていた人間が
爆弾を仕掛ける側にまわるというのは、
相当無理があるが、まあ、そこは、映画だから。

相棒との友情物語、
元恋人との恋愛模様、
そして、もう一つの幼なじみとの友情と、
人間ドラマとしての彩りも鮮やか。
記憶喪失者に対して、
記憶の書き換え操作という、怖い話も織り込む。し
中国の抑圧で揺れる香港でも、
こんな映画を作っていたんだね。

主演は香港映画のスター、アンディ・ラウ

監督は、ハーマン・ヤウ
アクション監督はニッキー・リー
中国で興行収入230億円を突破したという。
ホントかね。

5段階評価の「4」

新宿シネマート他で上映中。