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空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

舞台『TOKYO INSIDE CLUB』

2025年04月26日 23時00分00秒 | 演劇関係

今日は昼過ぎ、有楽町に出かけ、
I'M A SHOWという劇場へ。

早乙女太一芸歴30周年記念公演で、
「TOKYO INSIDE CLUB 」と
「OTOGI 」の2つの舞台を交互上演。
4月24日から5月1日まで。

「TOKYO INSIDE CLUB 」は、
ファンクラブイベントで披露された
「TOKYO KINEMA CLUB -INSIDE-」をパワーアップしたもので、
早乙女太一の演舞とダンス。
本国と異国の美しさが織り混ざった
新たな世界観での1時間30分ほどのショー。

「OTOGI 」は、早乙女太一の30年の芸歴を凝縮した、
芝居と舞踊の2部構成。
自分のルーツである大衆演劇という世界、
その世界で活躍する新たな世代へ繋がれば、
という思いから、日替わりゲストを迎えての日替わり芝居

というわけで、「TOKYO INSIDE CLUB 」を鑑賞。

とにかく、すごい、の一言。
特に前半の女形姿は、
色香が漂い、夢幻の世界に。
舞台上で衣裳の交換を行い、
その衣裳たるや、豪華絢爛

衣裳の数が半端でなく、
その素早い着替えも見もの。

外国人に見せてやりたい
ラスベガスで演ったらどうか。

後半の男装でのダンスもアンサンブルが見事で、
最後はタップダンスも披露。


構成・演出・振り付けも早乙女太一がやったというから、
相当な才能
選曲も抜群にいい。

会場はやはり女性ファンが多く、
男性は私を含め、5人ほど。
席は娘の友達が取ってくれた
前から5列目のほぼ中央。


女形の早乙女太一の美しさを堪能しました。

というわけで、現実を忘れる、春の午後のひと時でした。

 

ところで、この劇場、前身は映画館


有楽町マリオン別館7階にあり、
丸の内ルーブルといいました。
天井にシャンデリアがあり、


映画が始まる時に
リヒャルト・シュトラウスの交響詩
「ツァラトゥストラはかく語りき」の曲で
上昇して天井に収まる。


おそらく世界で唯一の映画館でした。
このシャンデリアには1億円をかけたとか。
最近はスクリーンが出たままの映画館が多いですが、
この劇場は上映開始までスクリーンの前に幕が降りていました。

2014年8月3日に閉館し、
その後、2017年7月7日からのオルタナティブシアターを経て、
2022年12月1日から
新劇場「I ’M A SHOW」として開館
「I ’M A SHOW」は「アイマショウ」と読み、
フランク永井のヒット曲「有楽町で逢いましょう」にちなんでいるらしい。

「有楽町で逢いましょう」は、映画にもなり、


有楽町の名前を全国的に知らしめました。
子どもの頃の私でも、その名を知っていたほどです。

映画館の時は470席でしたが、
今は392席
後ろの席からも舞台がよく見える、
手頃な広さの劇場です。

 


ミュージカル『ケインとアベル』

2025年02月01日 23時00分00秒 | 演劇関係

一昨日、渋谷に出かけ、
ヒカリエ

シアターオーブへ。

↓このミュージカルを観るためです。

原作はジェフリー・アーチャー
1979年に発表した大ベストセラー。
私は「世界で一番面白い小説」として、
沢山の人に紹介してきました。

題名から旧約聖書・創世記に出て来る「カインとアベル」
想起する方がいると思うが、
実は、カイン(Cain)とケイン(Kane)は、
英語読みでは音は同じケイン。
つまり、カインとアベルの話の現代版というわけ。
二人はアダムとエバの息子。
聖書では神が兄カインの供物を受け入れず、
弟アベルの供物のみ受け入れたため、
カインがアベルを憎んで殺してしまう。
「人類初の殺人事件」と言われる。
スタインベックの小説「エデンの東」
その現代版で、


二人の兄弟の愛憎を扱い、
弟を狂わせた兄に対して、ある人物が
「カインは主の前を去って、
エデンの東、ノドの地に住んだ」
という聖書の記述を口にし、
「お前もここを出て行ったらどうか」と言う。
「エデンの東」という題名は、ここから来ている。


更に言うと、石原裕次郎の主演で映画にもなった
石坂洋二郎の小説「陽の当たる坂道」は、
「エデンの東」に触発されたそうで、
裕福な家での駄目な兄と優秀な弟の相克の話になっている。

「ケインとアベル」の主人公二人は、兄弟ではない。
ただ、誕生日が同じ。
1906年4月16日、
遠く離れた場所で、2人の男の子が誕生した。
アメリカとポーランドという
遥かに離れた場所で二人は同時に生を受ける。
しかし、生い立ちは全く違う。
ウィリアム・ケインは銀行家の家の跡取りとして生まれ、
銀行を引き継いで頭取になる。
ヴワデグ(後のアベル・ロスノフスキー) は、ポーランドで生まれ、
極貧の中、男爵家に拾われ、
戦争により、ソ連の強制収容所に連行されるが、
脱出し、大西洋を越えてアメリカ移民となる。
ホテルに就職し、ホテルチェーン経営者の目に留まって、
頭角を現し、
やがてホテル王になっていく。


その二人のサクセスストーリーに、
アメリカの歴史が重なる。
たとえば、1929年の大恐慌で
アベルのホテルは危機に陥る。
その時、融資を依頼したアベルを
ケインが取締役会の決議を楯に断ったことで、
アベルはケインを憎むようになる。
後に、アベルは、
ケインの銀行の株を買占め、
ケインの追い落としを図る。
ケインも自分の行く手をことごとく阻むアベルを
「不倶戴天の敵」と認識するに至る。
二人とも祖国のために戦場に出かけ、
アベルはそれと知らず、
ケインの命を助ける。
実は二人が接触したのは、
この時を含め、3回しかない。
その後、アベルの娘とケインの息子が恋に落ち、
両家の反対をおいて駆け落ちし、
服飾店を開いて成功する。
やがてケインが亡くなり、
ケインの未亡人がアベルに、ある秘密を告げる・・・

という長大な話をミュージカル化。
勇気ある挑戦
心意気を買う。
世界に先駆け、日本での初演だが、
スタッフはブロードウェイの人々。
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン
歌詞:ネイサン・タイセン、
音楽:フランク・ワイルドホーン
編曲:ジェイソン・ハウランド、
振付:ジェニファー・ウェーバー。

出演は、ウィリアム・ケイン:松下洸平
アベル・ロスノフスキ:松下優也


他に知念里奈、愛加あゆ、上川一哉
植原卓也、竹内將人、今拓哉
益岡徹、山口祐一郎ら。
1月22日から2月16日、東京の東急シアターオーブで、
2月23日から3月2日、大阪の新歌舞伎座で。

出演者の人気か、
切符が取れにくく、
リセールで中央の良い座席をゲット。


第1部が1時間25分、
第2部が1時間5分で、
休憩を含め3時間。

出来栄えだが、
音楽はいつものワイルドホーンのメロディ。
この方は、ブロードウェイではあまり受けず、
日本と韓国で大人気という、不思議な作曲家。
ストーリーはやはり、ダイジェストになってしまった。
ケインとアベルの対立が明らかになる後半の方がいい。
やはり、葛藤がドラマを際立たせる。
ラストはちょっと泣かせる。
セットがややチープ。
振り付けもイマイチ。
とにかく日本語の歌詞が聞き取れない
特に歌い上げると、何を言っているのか分からない。
いかにも東宝らしい、
形は行儀良く整ってはいるが、
胸を打つものがない。
ブロードウェイ進出は無理だろう。
5段階評価の「3」

なお、原作はイギリスでテレビドラマ化され、
日本語版はテレビ朝日系列にて
1986年9月28日より5日連続で放送された。


本書の続編として、主人公アベルの娘フロレンティナを主人公に、
彼女がアメリカ大統領の座を目指す長編
「ロスノフスキ家の娘」(1982年)が書かれた。

 


音楽朗読劇「イノック・アーデン」

2024年06月24日 23時00分00秒 | 演劇関係

[演劇紹介]

一昨日は、浦安市文化会館小ホ-ルで、

↓の公演に出かけました。

「イノック・アーデン」は、
ヴィクトリア朝時代のイギリスの詩人、
アルフレッド・テニスン(1809- 1892)による物語詩。


1864年作。

ある田舎の港町に、三人のおさななじみが暮らしていた。
船乗りの息子で孤児のイノック・アーデン、
粉屋の一人息子フィリップ・レイ、
そして、町一番の器量良しのアニー・リー。
やがて三人は成長し、
イノックとフィリップはアニーに恋心を抱くが、
アニーが選んだのは、イノックで、
フィリップは遠くから二人の様子を眺めるばかり。

イノックとアニーは結婚し、
3人の子どもに恵まれるが、
イノックはケガをして、家計が苦しくなり、
誘われてアジアへの航海に出て、
消息を絶ってしまう。
困窮に陥ったアニーを助け、
子どもたちを学校に行かせたのが、
粉屋を継いだフィリップだった。

10年の歳月が経ち、
フィリップはアニーに求婚するが、
「あと1年待ってくれ」と答え、
ついにイノックは帰らぬ人と諦めたアニーは
フィリップと結婚し、子どもをもうける。

一方、船が難破して、孤島で生き延びたイノックは、
望郷の念と、アニーへの想いで生き延び、
近くを通りかかった商船に救助される。
しかし、苦労のために、イノックの容貌は一変していた。
故郷にたどりついたイノックを待っていたのは、
妻が旧友と再婚したという現実だった。
イノックは密かに新居を訪ね、窓から
子どもたちに囲まれて幸せなアニーとフィリップの姿を見て、
身を引く決心をする。
面替わりしてしまったイノックのことは
町の誰も気づかず、
死の間際に、宿屋の女将に自分が誰かを明かす。
イノックの死を知った町の人々は、
かつてないほどの盛大な葬儀をして、
イノックを天国に送り出すのだった。

このように、おさななじみの恋、
遠くに旅立った夫を待つ妻、
その貧困を援助する旧友、
夫をあきらめての再婚、
難破での望郷、
救助と帰還、
妻と旧友の幸福を守るために身を引く男の心情、
などが散りばめられたストーリーが受け、
沢山の言語に邦訳され、
和訳も数多い。
(長谷川康訳、入江直祐訳、長谷川康訳、幡谷正雄訳、田部重治訳、
 竹村覚訳、酒井賢訳、原田宗典訳、原田俊孝訳など)

この物語詩にピアノで音楽をつけ、
朗読劇に仕立てたのが、
リヒャルト・シュトラウスで、
グレン・グールドのピアノ、
名優クロード・レインズの朗読は
1961年にレコード化され、CDにもなった。

今回の公演は、
女優の泉田洋子さんがギタリスストの建孝三さんとの話の中で企画し、
はじめ、ピアノ譜をギターにしようとしたが、
果たせず、作曲家の二橋潤一さんに依頼して、
新たにギター曲として作曲してもらったもの。
ピアノ版のものは、
石丸幹二をはじめ、
あちこちで上演されているが、
ギター版は新作。
昨年初演し、今回はうらやす財団の主催で、
浦安市文化会館での上演のはこびとなった。

泉田さんのきれいな声の朗読と


建さんの華麗なギターの掛け合いが


物語世界を盛り上げ、
ホリゾントに映し出される波の模様とあいまって、
「イノック・アーデン」の世界が展開する。

なお、朗読の部分は、
泉田さんの手で、枝葉を削ぎ落し、
聴衆に分かりやすく編集されている。
プログラムには「原作は2時間以上と長く」とあり、
上演後のトークでも「普通にやると3時間かかる」と言っていたが、
何かの思い違いで、
オリジナルの英語版もそれほどは長くない。

イノックが幸福な家庭の様子を見て身を引くクライマックスで、
音楽がなかったのは何故だろう。

ピアノ版、ギター版、それぞれの良さはあるが、
この物語はヴァイオリンの旋律の方が合うような気がした。

ドラマチックでロマンあふれる物語、
映画にはうってつけだが、
映画化されたという話は聞かない。
それとも、英国では映画化されたが、
日本に来なかっただけだろうか。

 


「天號星」ライブビューイング

2023年10月11日 23時00分00秒 | 演劇関係

[演劇鑑賞]

今日は、昼前、娘と有楽町に出かけ、
マリオンの中にある

この映画館に。

丸の内ピカデリー1と2が背中合わせにあり、
1は定員623人、2は定員434人。

今日は「劇団☆新感線」「天號星(てんごうせい)」
ライブビューイング

新宿の歌舞伎町タワーの中に新たに出来た劇場、
MIRANO-ZAで公演中を生中継。


実は、2日前の10月9日に
観劇の予定でしたが、
突然、「公演関係者の体調不良により、公演の実施が困難となりました」
との発表があり、
10月4日から9日までの計7公演が中止になってしまったのです。
ロト6は当たらないのに、
こんなことだけ当たるとは。
人気の劇団とあって、
チケットは全日売り切れ。
仕方なく、ライブビューイングでの観劇となりました。
MIRANO-ZA、入りたかったなあ。

中島かずき・作、いのうえひでのり・演出の
作品群は、
日本の演劇の地平を拓くもので、
「いのうえ歌舞伎」と呼ばれています。
以前、IHIステージアラウンド東京で上演した
「髑髏城の七人」を観ていますし、
いのうえ歌舞伎は、「ゲキ×シネ」として映像化されており、
「朧の森に棲む鬼」「髑髏城の七人」「蛮幽鬼」「シレンとラギ」
を観ています。

その、いのうえ歌舞伎の新作。
期待は高まります。

今回のテーマは、江戸を舞台にした「入れ替わり」の話。

口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛の裏の顔は、
世のため人のため、悪党を始末する「引導屋」の元締め。
池波正太郎の「必殺仕置人」へのオマージュらしい。
しかし、真の元締めは女房のお伊勢で、
半兵衛は顔の怖さを買われただけで、
実際は、気弱で温厚、虫も殺せぬ人物だった。

ある時、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す、
はぐれ殺し屋の宵闇銀次が現れる。
引導屋を潰して裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、
銀次は半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする。
だが星の運行による天號星の災いで、
二人を雷が直撃し、
半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。
姿形は銀次だが、その内面はお人良しの半兵衛と、
顔は半兵衛だが、その心は凶暴な銀次。
二人は起こった珍事が理解出来ず、右往左往する。

そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉がやってきて、
銀次の命を付け狙う。
銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。
一方、半兵衛の身体に入ったものの、
引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。
だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく。
その背景に、
材木奉行と材木問屋の陰謀や
星占いの宗教団体、半平衛の娘たちの話
貧乏人たちの団結と抵抗がからむ。

という、いつもながらの荒唐無稽な話を、
力業(ちからわざ)で舞台に展開。
内容はぎっしり
コミカルな場面もあり、
涙の人情話もあり、
何よりすさまじい殺陣
宵闇銀次を演じるのは、今作で新感線7回目の出演となる早乙女太一

これが、やたらとカッコいい。

人斬り朝吉を演じるのは、新感線5回目の出演となる早乙女友貴

大きく成長した姿を見せる。

もはや準劇団員と言ってもいいくらいの兄弟が、
大衆演劇の「劇団朱雀」でつちかった
殺陣の技を披露する。

この殺陣の時の音響が見事で、
刀が風を斬る音、
刀がぶつかりあう「カキーン」という音、
他のものに刀がぶつかる音
を役者の動きに即して使い分ける。
照明では、人が斬られると、
その人が赤く染まる。

細部に至るまで、技術の粋を集めた舞台。
照明、場面転換、装置の回転、音楽と
ことごとく演出の配慮が充満する。

歌と踊りの場面が入るのが、
まさに「歌舞伎」と呼ばれる所以だが、
歌詞が聞き取れない。
ライブビューイングでは、
歌詞を文字にして出すことはできなかったのだろうか。

半兵衛を演ずる古田新太と早乙女太一はダブル主演だが、
脚本の構造上、早乙女太一に脚光が当たるのは仕方ない。
古田新太は、後進に主役を譲ったというところか。


脇を固める新感線おなじみの俳優たちも、
それぞれ役割を理解して、達者に演ずる。

作品全体がケレン味たっぷりで、
歌舞伎はそもそも、そういう見せ物として誕生したのだ。
充実した舞台のノンストップ演劇。
「ゲキ×シネ」になったら観て下さい。