トニー賞の授賞式は6月8日(日本時間6月9日)。
何で今頃、と言われそうですが、
WOWOWの生中継は、
現地コマーシャル時の
日本のスタジオのおしゃべりが
うざったいので、
観る気が起こらず、
字幕入りの昨日の放送を観てのブログ掲載となった次第。
何年か前から、トニー賞は2部構成になっており、
プレショーというのが
現地では放送されており、
昨日の放送はプレショーを含んでだったので、
完全版と言えるでしょう。
なぜ2部構成にしたかというと、
美術賞や衣裳、振り付け、サウンド設計などの
技術部門や名誉賞、演劇教育活動賞を
プレショーでやってしまい、
第2部では演技賞、作品賞を中心に
派手な部分を放送する、という趣旨。
技術部門を軽視するわけではなく、
要するにテレビ受けする俳優たちの部分とは
別扱いにしているわけです。
会場は3年ぶりにラジオシティ・ミュージックホール。
司会は、3年続いたアリアナ・デボースに代わり、
ごの方、シンシア・エリヴォ。
鼻輪はどうしてもなじめません。
受賞者のスピーチが長かったら、
「マイウェイ」の歌で警告、と。
「終わりが近づいている。ついに幕を降ろす時が来た・・・」
脅しただけかと思ったら、
2回ほど本当にやりました。
受賞結果は、次のとおり。
【ミュージカル部門】
「メイビー、ハッピーエンディング」が、
作品賞、演出賞、主演男優賞(ダレン・クリス)
脚本賞、装置デザイン賞、オリジナル楽曲賞
の6部門で受賞。
ダレン・クリスは、
プレショーの司会に起用されています。(2回目)
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が、
助演女優賞(ナタリー・ベネチア・ベルコン)
音響デザイン賞、振付賞、オーケストラ編曲賞
の4部門で受賞。
「サンセット大通り」が、
リバイバル作品賞、主演女優賞(ニコール・シャージンガー)
照明デザイン賞
の3部門で受賞。
この作品は2度目のリバイバル。
全体をモノクロ映画のような印象で作ったのがミソ。
「オペレーション・ミンスミート」が、助演男優賞(ジャク・マローン)
「永遠に美しく…」が、衣装デザイン賞で各1部門で受賞。
【演劇部門】
「パーパス」が、
作品賞、助演女優賞(カラ・ヤング)
の2部門で受賞。
「オー、メアリー!」が、
演出賞、主演男優賞(コール・エスコーラ)
の2部門で受賞。
「ストレンジャー・シングス:始まりの影」が、
装置デザイン賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞
の3部門で受賞。
「ドリアン・グレイの肖像」が、
主演女優賞(サラ・スヌーク)、衣装デザイン賞
の2部門で受賞。
「ユーレカ・デイ」が、
リバイバル作品賞、
「イエロー・フェイス」が、 助演男優賞(フランシス・ジュー)の各1部門で受賞。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」と
「ストレンジャー・シングス:始まりの影」は、
特別賞も受賞しています。
トニー賞のハイライトは
やはり、ミュージカル作品のパフォーマンスで、
「永遠に美しく」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」
「パイレーツ:ザ・ペンザンス・ミュージカル」
「メイビー・ハッピー・エンディング」
「デッド・アウトロー」「オペレーション・ミンスミート」
「リアル・ウィメン・ハヴ・カーヴス:ザ・ミュージカル」
などがステージで展開。
やはり超一流の舞台は素晴らしい。
「ハミルトン」の10周年記念パフォーマンスもありました。
「ジプシー」のオーロラ・マクドナルド、
「サンセット大通り」のニコール・シャージンガーは、
それぞれ絶唱部分を披露。
私からすると、二人ともイマイチ。
特に、オーロラは、がなるばかり。
終わってみれば、
「ジプシー」は一つも受賞しませんでした。
「ジプシー」は私には思い入れのある作品で、
↓を参照。
https://blog.goo.ne.jp/lukeforce/e/aebcf43769f53fc9efdfae299ab3c146
今年の対象作品は42作品で史上最多。
だけでなく、ブロードウェイ全体で
史上最高の売り上げを記録したそうです。
私は長いこと、
6月にトニー賞の授賞式を観て、
夏にューヨークに出かけて、
受賞作の何本かを観る、
ということをやっていましたが、
今から思うと、
すごい贅沢をさせてもらっていたんだな、
と思います。
もう行けませんけどね。
ところで、
プレショーで、
社会的貢献者に贈られるイザベル・スティーヴンソン賞を受賞した
シーリア・キーナン=ボルジャーのスピーチが素晴らしかったです。
「この賞が持つメッセージは、
“継続された小さな努力は評価に値する”ということ。
私たちが生きているのは、大きな試練の時代。
こんな時代には、いかなる抵抗も親切も取り組みも
不十分に感じられます。
私を称えることで、
コミュニティ・ケアは大切だと伝わるはず。
作家のピンコラ・エステスは言いました。
“我々の仕事は、一度に全世界を改善することではない。
手の届く範囲で、世界の一部を変えていくことだ”と。
会場のあなたも、家で観ているあなたも
世界を変えられます。
コミュニティ内で
必要な行動を考え、仲間を見つけて
少しでも周囲を改善する努力をしてください」
「この賞は、まるで天からの励ましのようです。
最も弱い立場にある人々を
助け続ける力になります。
そうすれば強い慈悲の光が輝いて
世界は変わります」
こんなスピーチが出来る俳優が
アメリカにはいる。
何だか励まされます。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は観たいですね。