空飛ぶ自由人・2

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あゝ韓国検察

2022年04月23日 23時00分24秒 | 政治関係

韓国がとんでもないことになっている。
検事総長と高検トップの全員がまとめて辞意を表明したのだ。

辞意の理由は、
韓国の革新系与党「共に民主党」が
検察から捜査権を剥奪する法案を提出、
朴炳錫国会議長が
仲裁案を提出したところ、
同党と保守系最大野党「国民の力」が受け入れたことに反発したもの。
金オ洙(キム・オス)検事総長と
大検察庁(最高検)次長検事、
高等検察庁トップ6人全員がまとめて辞意を表明。
検事総長と高検トップが総辞職すれば検察史上初めてとなる。

その「検察捜査権廃止法案」なる法案とは、いかなるものか。
検察の直接捜査権と起訴権を切り離し、
現在検察が捜査を担う「6大犯罪」の中から
公職者犯罪、選挙犯罪、防衛事業犯罪、大規模惨事の
4つを外すというもの。
残りの腐敗・経済犯罪に対する直接捜査権も、
「重大犯罪捜査庁」の設置後に廃止される。
つまり、読んで字のとおり検察の「捜査権を廃止」して
「起訴権のみを残す」という、
検察から捜査権を全面的に剥奪する法案なのだ。

同法案を巡っては5月10日の政権交代(新大統領の就任式)を控え、
今月28日か29日に国会本会議を開き、
仲裁案を反映した法案を成立させる方針だ。
なにしろ、韓国国会は、
議席の過半数を共に民主党が占めているので、
何でも通ってしまう。

この法案は、
「文在寅保護法」とも言われている。
というのは、この法律では、
検察が捜査中の案件も「すぐに警察に渡しなさい」 となっている。
今検察は、文在寅大統領にかかわる事件をいくつか捜査している。
法律が通って検察から捜査権が剥奪されると、
文大統領が辞めた後に捜査できなくなってしまう。
それで、「文在寅保護法」と言われているのだ。

検察の捜査権と起訴権を改正するということは、
実は、憲法改正にかかわる重大問題。
金検事総長は、この「文在寅保護法」が
国民の人権に大きな影響を与える法案なので、
「最低でも10年以上改革の是非を議論するべきだ」
と反対していた。
この法律に付随して、
刑法・刑事訴訟法・検察庁法も改正しなければならないが、
刑法の場合でも50か所以上変える必要がある。
それを一気にやってしまおうというのだ。

この法案が成立すれば、

「違憲訴訟」は必ず起こる。
検察などが憲法裁判所へ訴える準備は、
すでにできているといわれる。

文政権が急いでいるのは、
文大統領と李在明大統領候補の捜査を
させたくないからなのは明らかだ。

文大統領の犯罪とは、
主に「土地売買」「衣装代」の二つ。
前者は、慶州南道の土地の売買にまつわる疑惑。
周辺の不動産の価格は変わっていないのに、
文大統領の邸宅だけ、日本円で9千万円で買ったものが
およそ3倍の2億7千万円と高く売れていて、
誰が買ったかも定かではない。
これが賄賂に当たるのではないかと言われている。

後者は、妻の金正淑夫人に、
数億円の高額衣装を国家予算で購入した疑惑。
文在寅大統領は人権派弁護士で、
質素な生活をして庶民派というイメージがあった。
就任当時、「歯磨き粉も自分のお金で買う」と言っていたのに、
夫人が韓国の有名デザイナーの作った衣装を178着、
アクセサリーも207個と大量に買っている。
本人は自分のカードで買ったといっているが、
日本円で総額数億円分ともいわれていて、
年棒が約2千5百万円の文大統領の収入では難しい金額。
大統領府の「特殊活動費」という
国の予算で支払ったのではないかと言われている。
この事件は文大統領が退任する前に捜査しないと、
大統領府の記録物は
退任後15年~30年閲覧できなくなってしまうので、
このまま葬られる可能性がある。

この法案が文在寅大統領と現与党を
検察から守るものである証拠として、
無所属の梁香子議員に対して、
与党から、
「検察捜査権を完全に剥奪しなければ、
文在寅政権の人々が20人監獄行きとなり、
死ぬことになるから法案に賛成してほしい」
と言われたという証言がある。
梁香子は、反対を表明したが、
「今後政治ができなくなる悔しさがあっても、
良心に従い反対することを決めた」と話している。

ここまで書けば、
文大統領以下、その一味が
政権交代後の刑事訴追をまぬがれるために

必死になっていることは、

誰が見ても分かる。
政治の検察への介入。
司法の独立の侵害だ。
徴用工判決の後、「三権分立だから仕方ない」
と文大統領は言ったが、
三権分立が笑わせる。

韓国は、保守系と革新系が交互に政権を担当し、
その際、前政権に対して報復する習慣がある。
元大統領がことごとく刑事訴追を受け、
中には追い詰められて、自殺した大統領さえいる。
二大政党制で、アメリカは政権交代のたびに、
政権内部の人事を、上から下まで総入れ換えするが、
報復だけは行わない。
政治の停滞を招くからだ。
そんなことに政治のエネルギーを使うくらいなら、
国民の繁栄を先に考える。

日本でも自民党から民主党に政権交代した時、
そして数年後に
民主党から自民党に政権交代した時、
報復は行われなかった。
国民がそれを望まなかったからだ。

ところが韓国は違う。
前政権の時抑圧された恨みを晴らすかのように、
前政権の全面否定を行う。
そして、関係者の逮捕が続出する。
大統領経験者でさえ、それを免れることはない。
そんなことにエネルギーを使うのなら、
国を良くするために努力したらいいと思うが、
かの国民は、そういう発想をしないらしい。

で、今回のように、
次政権の報復に対する予防的措置をするというわけだ。

南アフリカのマンデラ大統領
大統領に就任した時、
大統領府の白人の職員たちは、
どんな報復をされるかと戦々恐々とし、
荷物をまとめて逃げ出す準備をしていた。
なにしろ、マンデラ氏は、
政治犯として、刑務所に27年間も収監されていたのだ。
その恨みは強いに違いない。
そして、アパルトヘイト政策で
黒人を抑圧した歴史がある。
報復されても仕方がない。
しかし、マンデラ大統領は違った。
「私は報復はしない。
みんな、職に留まって、
国作りのために私に力を貸してほしい」
マンデラは、報復よりも、
民族の和解、協調政策を進めたのだ。
その後の南アフリカの発展はご存じのとおり。
これこそ、大きな人物のすることだろう。

韓国が悪い習慣をやめ、
国民のことを考える政治に立ち戻ってもらいたいものだ。

 


小説『線は、僕を描く』

2022年04月21日 23時21分34秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

両親を交通事故で失い、
喪失感の中にあった大学生の青山霜介(そうすけ)は、
設置のアルバイトで出かけた水墨画の展覧会場で
一人の老人と出会う。
霜介は知らなかったが、
その老人こそ、

高名な水墨画の大家・篠田湖山(しのだ・こざん)だった。
霜介の語る画の感想に聞き入った湖山は、
その把握力と洞察力と鑑賞眼に感心すると共に、
霜介の内包する深い苦悩を察知し、
その場で内弟子にしてしまう。
それに反発した湖山の孫・千瑛(ちあき)は、
翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。

全く水墨画など知らなかった霜介だったが、
湖山の個人的指導を受けて、
戸惑いながらも魅了されていき、
線を描くことで、喪失感から次第に恢復していく・・・

 

という、一人の青年が
水墨画を通して、人生を取り戻していく経過を描く成長小説。
おそらく小説では初めて取り扱われる題材で、
筆者の砥上裕將(とがみ・ひろまさ)さん(38歳)は、
正真正銘の水墨画家だ。
だからこそ、
素人でも納得できる水墨画の深い世界に
読者を引き込んでくれる。
「お年寄りの趣味と思われがちな水墨画の魅力を、
小説を通して広い世代に伝えたい」
という志で本作を書き上げたという。

 

といっても、
私は誰劣らぬ、絵心のない人物。
「あめとーーーく」の「絵心ない芸人」の
非芸人枠で出場可能なほどだ。
ただ、絵を見て、その美を感じる心だけは
神様に与えてもらった。
それは感謝している。

こで、読後、ネットで水墨画の画像を見て、驚倒した。
一切の色を排した、
白と黒の濃淡だけで、
こんなにも豊かな世界を構築できるとは。
芸術の世界は奥深い。

水墨画の巨匠・篠田湖山や藤堂翠山(とうどう・すいざん)の造形、
その弟子の西濱さんや斎藤さんの人柄、

湖山の孫・千瑛との交流、
霜介の友人の古前君や川岸さんの配置もいい。
ただ、全員が水墨画に吸収されていくのは
ちょっと不自然で、
水墨画に親しめない人や反発する人、
落伍していく人も描いて欲しかったな。

絵心無派としては。
また、芸術というのは、
精神と才能と技術と努力の結集によるものだが、
ちょっと精神的な「心」や「想い」に偏り過ぎている気もする。

水墨画には、四君子という基本がある。
その4つとは、春蘭、竹、梅、菊を描くこと、
というのも、新知識。


湖山先生の言葉

「絵は絵空だよ」
「できることが目的じゃないよ。
やってみることが目的なんだ」
「命を見なさい。青山君。、
形ではなくて、命を見なさい」
などの言葉が耳を打つ。
また、こういう描写もある。

水墨画は形を追うのではない、
完成を目指すものでもない。
生きているその瞬間を描くことこそが、
水墨画の本質なんだ。

また、両親の死について考える時、
仲の良かった両親が交通事故で一緒に死んだことを、

あの二人はどちらかが取り残されなくてよかったな

と思い至る部分も胸を打つ。

水墨画を通じて、人生を見る、希有な小説。
「青春小説と芸術小説が最高の形で融合した一冊」

高く評価されている。

第59回メフィスト賞受賞作。
2020年本屋大賞第3位。
ブランチBOOK大賞2019受賞。
未来屋小説大賞第3位
キノベス!2020第6位

ホームページは、↓へ。

https://youtu.be/ZckNTyRH-Fg

コミック版もあり、


横浜流星主演で映画化され、

10月21日に公開の予定。

映画版は、↓へ。

https://senboku.kodansha.co.jp/ 

                                      


映画『レスキュードッグ ルビー』

2022年04月20日 22時55分35秒 | 映画関係

[映画紹介]

保護犬センターにいるロビーは1歳になるが、
貰い手がいない。
時々引き取られるが、
その奔放でやんちゃな性格を
里親がもてあまし、
今日も「返品」されてきた。
保護センターでは、明日安楽死させるという決断を下す。

そんな時、引き取り手が現れた。
ロードアイランド州警察のダニエル・オニールだ。
交通違反などを取り締まりながら、
捜索救助警察犬部隊K-9への入隊を夢見ていたダニエルは、

救助犬としてルビーを育てようとする。
しかし、ルビーの落ち着かない性格は直らず、
一度は部隊の監督から不適性の烙印を押される。

しかし、妻から、ルビーと自分の共通点を指摘されたダニエルは、
小さい頃、勉強が嫌いで遊び回っていた頃を思い出し、
ルビーの良いところを見つけて訓練していく。
そして、入隊試験の時、
見事に突破したルビーは、
K-9の二軍という扱いで、待機する。

殺人事件の死体の捜索を託されたルビーは、
失敗したとダニエルに決めつけられ、家出してしまう。
実は、ルビーは正解を出しており、
止まった場所の床下から
コンクリート詰めにされた死体が出て来たのだ。

それに追いかけるように、
森の中で迷子になった子供の捜索依頼が来るが、
まずダニエルは家出したルビーを
見つけることから始めなければならなかった。
そして・・・

というわけで、落ちこぼれの警官と保護犬が
努力の結果、立派な成果をあげる、
という、絵に描いたような物語。
しかし、実話だという。
エンドクレジットで、
実物のダニエルとルビーの姿が出て来るから、本当らしい。
(ただし、実物と映画では犬種が違う)

となれば、実話の強さ。
どんなありきたりなストーリーだとしても、
実話だ、の一言で粉砕される。
映画としても良くできている。
人間と犬の成功を期待し、
ハラハラドキドキして、最後は感動。
いかにもアメリカ映画らしい、
ハートウォーミングで良質なファミリー映画となっている。
特に犬好きにはたまらないだろう。

最後に、ある「奇跡」が待っている。

ダニエルを演ずるのは、グラント・ガスティン
監督はカット・シア

エンドクレジットで、NGシーンが出るが、
動物と赤ん坊の撮影の苦労がしのばれる。 
ただ、楽しそうだ。

Netflix オリジナル映画。
3月7日から配信スタート。

 


免許証返納

2022年04月18日 23時18分53秒 | 身辺雑記

今日は、午前中から、海浜幕張ヘ。

まず、映画を一本観て、

ここに来ると、いつも行く焼肉屋でランチを食べ、

 

このバスで、

ここへ。

運転免許センターです。

免許の更新?
ではなく、
免許証の返納のためです。

平日午後のためか、空いています。

この窓口で、

 


書類をもらって記入し、

ここで印紙1100円分を買って、

貼ってもらって、


書類を提出すると、
しばらくたつと名前を呼ばれて、
「申請による運転免許の取消通知書」というのをくれて、
更に待つと、再び名前を呼ばれて、
写真を撮りに。

その後でベンチで待機していると、
運転経歴証明証を渡してくれます。


免許証の返納は地元の警察でもできるのですが、
運転経歴証明書をもらうには、
警察では1カ月かかる上、
写真を撮って持参しなければならない。
運転免許センターでは写真を撮ってくれる上、
即日に発行してくれるので、
ここにきました。

なお、免許証の返納は無料。
1100円は、経歴証明書を作るための手数料。

経歴証明書は、公的な身分証明書になります。

証明書と一緒に、
「運転免許自主返納支援措置一覧」という表をくれて、
見ると、自治体ごとの支援内容が書いてあります。

高齢者の運転事故が多発していることから、
返納を促進するための優遇措置のようです。

見てみると、次のような内容。

バス運賃半額。
某温泉施設 入場料割引
某鮮魚店 かつお節パックをプレゼント
某お好み焼き店 会計金額10パーセント割引
某米穀店 無料配達。自家精米10パーセント割引
某整体院  シニア料金200円割引
某ゴルフ用品店 帽子をプレゼント
某ビュッフェ 会計金額5パーセント割引
某整体院  初回検査料3000円割引
某カフェ 月曜日はテイクアウトコーヒー1 杯無料
某ラーメン店 麺類一杯のご注文につき、50円割引サービス
某中華料理店 御飲食代より10%割引

等々。
そう言ってはナンですが、
意外とショぼい。
証明書を提示するには、勇気が要りそうです。

というわけで、
2013年1月に取得した運転免許証、
2回の更新を経て、
本日をもって返納いたしました。

もう運転できない、という一抹の寂しさはありますが、
ある作家の方が書いていた、
「免許証を返納して、
 車で人を殺さずに済んだことに、
 感謝する」
想いがいたします。


小説『その午後、巨匠たちは、』

2022年04月17日 22時51分06秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

ある漁師町に、

どこからともなくサイトウという女性がふらりと現れ、
空き家に棲み着く。
町の旧家の権力者・朝倉家に取り入り、
神社を建てる。
サイトウは石柱に6人の画家を彫り、
その6人の画家は、その神社のある
「おりんぽす」山に棲み着く。

6人の画家とは、
葛飾北斎、レンブラント、ダリ、
フリードリヒ、ターナー、モネ

日本、オランダ、スペイン、
ドイツ、イギリス、フランスの名匠たち。
イタリア人がいないのは、
イタリア芸術は、どうしてもルネッサンスで、
「中心」が出来てしまうのを避けたかったからだ、
とサイトウは言う。

ちなみに、サイトウは歳を取らない女だった。

この6人の画家たちとサイトウとの日常が描かれる。

おりんぽすの山における移動手段として、
トロッコが敷かれる。
その動力は、「キリスト昇天動力装置」というもので、
トロッコの前面にキリストの磔刑図を掲げ、
天に昇ろうとするキリストの力を、
トロッコの推進力に変えようとするもの。
絵の前に黒い板が挿し込んであって、
その板を上げ下げすることをスピード調整ができる。

神社の美術館には巨匠たちの絵が収められ、
モネは絵を仕上げるペースが早いから、
もう「睡蓮」が3枚も収められている。
サイトウはキュレーターか巫女のような役割をする。
やがて町は、神様として現代に蘇った画家たちの描く
絵画世界に染まっていく。

画家たちが海を素材にして描くのに連動して、
海が荒れ、漁ができなくなる。
そこで、人身御供を捧げることになり、
朝倉家の娘・良子がその役割を受けることになる。
しかし、地面に生きたまま埋められる直前に、
サイトウが持ってきたスペイン産の埴輪が代役をつとめることになる。


サイトウは身ごもり、ゴエントカという子供を産む。
ゴエントカは成長し、神になるために、おりんぽすの山を昇り、
6人の巨匠たちを飲み込んでいく。
画家たちは煙と砂金を残して消える。
それをみつめる、朝倉家の当主・吉郎。

という、わけの分からない話

ただ、魅力はある。
なにしろ、「文藝」に掲載された作品なのだ。
そう簡単に理解されては困る。


筆者の藤原無雨(ふじわら・むう)は、
2020年、「水と礫」で第57回文藝賞を受賞した方。
純文学は難しい。

 

以下、6人の画家たちの代表作。

北斎「神奈川沖波裏」

 

レンブラント「夜警」
                                                                               

ダリ「聖アントニウスの誘惑」

 

フリードリヒ「氷海 もしくは氷の海 もしくは希望号の難破」

ターナー「カレーの桟橋」

モネ「睡蓮の池」