月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space 塵

2008-03-26 23:26:44 | 
      


    ひとつとして
    戻せない
    昼のbatmanの
    向こう
    背景ブルーの   
    空のような壁に
    もうひとつの日
    またひとつ
    ひとつの
    日
    空気揺らす
    日が
    日々がと
    壁のような空
    空のような壁上に
    描かれている
    言葉
    言葉のようなかたち
    なにがあるのか
    なにがないのか
    緊密な
    骨組みなければ
    立たない
    牙城めいたもの
    遠景
    海上に颯爽浮いて
    見える
    というのは
    たしかであるのか
    知らない
    知らなければどれも
    これも
    塵
    としか言わない
    Crusoe
    輪をかけ
    輪をかけ
    輪をかけて
    薄く
    見る



                    from Six Poems No.10 2005  
            
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詩-Space あちらはいつも

2008-03-22 22:44:34 | 


      あちらはいつも


                           なだらかな
                      斜面を
               空行く船で
     登るようにして
     日の始まりが
     近づいてくる
     その先には
     色にじませる
     景色
     盲目の手が
     慣れた位置に届くように
     ひんやりと
     湿り気帯びて
     控えている
     日の
     時の
     記憶
     記録

                    そのあたりから
            破れた空の
     隙間を
     抜けるようにして
     最早
     日の始まりも
     風景も
     ない
     記憶する者もない
     ひっそりとした
     光の中に
     消えている
     全歴史の
     先端まで
     あちらは
     いつも
     動きたがる



                     from Six Poems No.7 2003       
    
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詩-Space 架空の球

2008-03-16 20:23:05 | 


     架空の球


    ついには
    ひとりだけとなる
    この球の上
    たまたまのものか
    百億の年過ぎるごとに
    ついには
    ひとりだけとなる
    寂しい
    架空のくりかえし球などは
    要らない
    要らないと
    だれがだれに言うのか
    蝶のように天使の舞う
    隙間なども
    見えて
    百億の年分の記憶
    どこに消えて行くのか
    探そうにも
    ひとりが去れば
    ゼロに帰す
    お話のなかでは
    神の
    再生する
    あてもない



                           June 2006  

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詩-Space フルーツAを齧る

2008-03-08 23:11:30 | 

     フルーツAを齧る



    前奏
    ダダダダダダダダ
    耳にはきこえない
    記憶のなかで
    採取される
    音
    だから
    扉の向こうになにが
    見えてくるのか
    分からない
    家
    手のひらの上にあること
    誰知らなくても
    通り道はいつも
    空の中に探る鍵の
    在処みたい
     辿り難し
    で齧るものは
    あれあれ
    影に
    歯型など見える
    あれの
    暈
    あれの
    ど真ん中



                    from Six Poems No.11 2006
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詩-Space フラグメント

2008-03-06 22:44:55 | 
      フラグメント


           

海を眼前に絶壁、数キロメートルもある高さゆえに見下ろす高所恐怖症の目には、彼方へと流れる風に乗り見る夢のような眺めとしか映らない。そうして考えたりなどしている。多分、壁を容易に抜ける透明なひとというのは、切れた凧のように何処にも戻ることなく、ただ遠ざかるのみなのであろう、初めからそこにいたことなどないかのように、と。


                 *


ゲームなどというものではない、単線を行く列車の旅なのだが、真上に時限爆弾つきの雷という文字が浮いていて、離れない。不参加組というのもあるが、それは好んでそちらに入っているわけでもない。初めは誰もそれに気づかずにいて、だんだんと顔が見えてきたりするので、しっくりとするカードの組み合わせを、おそらく最後まで追いに追う。


                 *


なぜにあの向き、あの色、形、感情なのか。この球上取り巻く総ての地カラコロ音立て、巡るまでもなく、あれ脳内深くに沈んで追い払おうにも鍵見つからず、見えてくるのは、草、樹、薙ぎ倒して重戦車のように地鳴り立てる、巨大な褐色の塊。開いたこちらの扉抜けそうな気配に波乱の兆しも、あの雲の流れに読めると、見立てるとか。


                  *


そこもまた、上は天、下は地、ギリギリと引かれた一線が横に見えるような、雑、全部放り捨てられて、それは撃つものも引きずるものもない、それこそがとびきりの眺めだと、上下の色の優しさよと、西に数億、東に数億キロ置き前方見る眼は、原人めいて、雑な、雑すぎるものの生え立つ幻景、新たに噛み捨てている、束の間。


                  *


青の地では青の罠受け、黄の地では黄の手が犯す。彼の地に行けばそこだけの眺め見え、圏外限りなく離れれば、空間で光受けつつその顔見えないわれらのこの星、見えていながら追えば道分かれ、足ひとつ置くに場所ない地に、追いうちかけて暴発の気配あり、この集団何処に向かうのか、知られた試しなく、また問いかけるまでもない、とも。


                  *



ああ、とうに数万もの日々、似たような道、動きつづける繰り返しに、足、自律の気失せ、前に進むのはご免蒙りたいと、跳ねている、跳ねている、跳ねている、天まで届けと風船気分、浮かぶイメージ描いて、暫しこの変調スタイルに決めたかに見える、わたしであるようなあのひとそのひとでもあるような、順番待ちのひと。


                  *


あそこに指、向ける。その指、悪い指、むかし圧された切ない指、風切りたがる指、でもいやである、いやなばかりではない、坂道の先見えない処まで遠ざかりたい訳あると、指、恐れだしたりなどするのは、あそこのあれ、なぜにあれほど形ととのうのか、なぜにあの角度からの光に強いのか、偶像、隙なく敷きつめられるという。


                  *


限界、というのが初めからそこにあるのに、それを知ることのできない無能ゆえの、哀しさ、そう言う者あり、いやいやそうではない、限界云々のことではない、と湖面から顔出す溺れた仙人めいたのが発して、先に読めるものがある、読めるものがある、と強調する。



                    from Six Poems No.11 2006


 
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詩-Space 偏愛する

2008-03-02 22:41:29 | 
      偏愛する



         1

    どうしても
    眼はあちら側を向いて
    何故に総ては色をまとうのか
    不思議なほどに
    空白がそこを抜けて
    見えるもの
    総てを一気に
    呑みこんでしまおうというのである
    そんな危うい場所に
    置かれてみれば
    ああ消える
    消える
    色を奪われてしまう
    その切なさは強い思いと
    結びつかずにはいない


         2

    なぜならば
    根が曖昧でありながら
    不似合いな拳を
    突き出してくるからである
    天と地の分かれ目に
    確かな一線探るみたいに
    それはあるのだと
    青い声を上げる
    時は前にも斜めにも
    動いていない
    その根は天に浮いている
    かもしれないのです
    その声の哀愁


         3

    それは見えていながら
    見えないもののような
    永劫ひらいているもののよう
    でありながら
    既に閉じているもののような
    そうしてどこまでも
    薄ぼんやりとしたものなんだろうと
    まるで
    百万年前に逝った母みたいに
    どの階段に足かけて
    呼び覚ませば良いのか分からない
    あちらに見える
    温もりただよう記憶とどめ得るのは
    軽快さ何者にも負けない
    蟻でもなければ
    言葉話せぬ象というわけではない
    変種とも思われ
    傲慢極まりない蛙のごときもの
    とも思われ
    哀しいほどに美しすぎる
    とも思われ
    それは見えていながら
    見えないもののような


                        from Six Poems No.12 2007  
                     
 


       
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