蝶遠のいて
皮下の
透明な層に抱かれて眠る
大量の埋蔵物なるもののこと
あそこの
もの言いたげな光帯びる
カラスなのか
キャラスなのか
クラウスなのかカイラスなのか
人と同じに気づきもせずに
その上方
カタカタ首を鳴らし
キアキアキアキア歌声上げて
飛んでいるというわけだが
それ哀しげなことなのか
二回転飛行のできないことに
問題ありと見るのか
あれは宇宙の迷子だから
いずれは元の場所に戻ることあろうと
幸運を祈らせていただけばいいのか
あちらの眼が
あなたの眼というわけでもないから
その不確かな高みから
階段を下りるように
地に触れるところまで戻れば
この世のものとは思えぬ
蝶の遠のくさまなど見えて
何故に掘りおろそうなどとするのか
あるべきところに
事を進める腕などないのになどと
あのカラスだか
キャラスだか
クラウスだかカイラスだか
それとも姿見えぬ地平の向こうの
自身の片割れみたいなのが
生温かな空気にのせて
伝えようとするのである
眠るジャングルも見えるのである
from Six Poems No.11 2006