月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  現われ消えの

2010-08-19 21:54:04 | Weblog
    頼みもせんのに遠吠噴出攻め趣味なんだと奴
       ワタシ肉剥ぎ好き骨見好き格好つけんな悪徒
    このみなんだがゲテモノの君股に二重丸つけ
       あんたとおあそび雲掴み他国の事知らんもの
    隣り合わせでもさ空気吸い同志でも見所違い
       コッケイ欲深コケコケ無恥巡り愛らし首回し
    奪い取り屋なんだ取られるお前阿呆とその眼
       八角形で魅惑的なの妄想酔いの哀れ筋金入り
    台上二本足立ち権威丸出し丸裸見え切り百度
       アワアワ溜息ウナッテ反吐吐き慎んでお届け
    花びらつけて天空経由お日さまワラットルね
       前後不覚の束の間流れ旅此の地ワタシ恐くて
    怪奇シーンの連続なんだものな倒錯世界めき
       あんな登場者故郷土星にはいねえココ妖怪境
    のめって百掻きうなってこきおろし捻り曲げ
       愛の蹴り上げクセになってホイ模様替え忘れ
    憎めねえのその生態焦りの変幻出ドコロ錯誤
       言わせておくなよ泡吹け法螺吹け通りゃんせ
    現われ消えのオ最後マボロシ神様罠掛けポン
       理想をきいてくんな願ったのにさ耳なし無情
    で這いずり損の気づかれ儲け弱るぜキホーテ
       なんての突き抜けアッケンカランのブギウギ
    ガマの艶出し体液流し狂い回りの敵さん眺め
       美女化け蝮変わり極道転化地の上広しと滑走
    見たっけ遠い日懐かし対決奇編のまねき出し
       あの吸血鬼ひとの心の泥沼棲まい今何処巡る
    なんぞと流し目こっち向いたら闇かぶせ決め
       もう及びでないの悪の短命花に及ばず鐘の音
    かなた戦いで物悲し熱の消え跡難被り時使ひ


                     月刊近文4月号 1987   
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詩-Space  顔

2010-08-18 17:41:30 | Weblog
        どの曲がり角 
        あるいは平原で見たのか
        探り出そうとする
        顔
        そこを外すわけにはいかない
        手を淵に向けて差し込もうとする
        どこを開いても場面を超えて
        影に段差はない
        奥へと沈んでいこうとする
        平面なので
        動きはとれないのである
        時間はどちらに向けても滑る
        顔も音立てずに滑る
        空は見ていながら知らぬ顔をする
        訳はなかなか見えてこない
        それゆえ一個の重石を選ぶ
        忽ちにして底が抜けて道が見えなくなる
        僅かな手がかりもおそらくはない
        とうに消失していて
        微笑ませるのは苦しい
        顔
        食い下がることを選ぶ
        攪乱された言葉並べる
        伝えたいことおそらくは山ほど
        だがてっぺんだから見えるわけではない
        辺りを長々と辿る
        シンプルな一言など下る
        白と黒の真ん中に
        延々と浮かぶ
        顔


                        from Six Poems No.12 2007   
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