月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

知らぬ間に消えている

2008-08-18 22:39:20 | Weblog


おそらくは誰もが経験することのある、言ってしまえばありふれたことであるのにちがいない。物を失くすること。絶対に失くしてはならないはずのもの、それを失くすることで重大な事態に陥るかもしれないような物。それを、例えばタクシーの中に忘れる。なにが、その時にその人物の中に進行していたのか。その流れ。非常に興味深い部分であるように、思える。自身が、かつて経験済み。電車に網棚があった頃、重要な書類をそこに忘れて降りたことがある。あるべきものが手にないことに気づく。それまでの間、自身の気持はどのあたりに飛んでいたのか。幸いにして、その時には届けてくれた人があって、手元に戻ってきたけれども。
今日の午前の不可解事。あるコーヒー店にいた。テーブルにひろげていたものの押えに、たまたまコインがたくさん入っていて重みのあった、茶の小銭入れを使っていた。出る時にちゃんとバッグに入れたはず。テーブルの上に、何も残されていないのは席を離れる時に確かめ見ていたと思う。それから暫くして、買うものがあってある店に入った。小銭入れがない。そこに来るまでの間に失くするようなバッグの開き方をしたような、記憶はない。ということは、コーヒー店に忘れたということ? それしか、考えられない。面倒、などとも言っていられないように思えて、行ってみる。そのような忘れ物は、無いという店の者の返事。どこかで、消えたということ。謎。それに関しては、私に落度は全くなかった、としか言いようのないケース。そのようにしか思えない。マジックの世界のような出来事、とししか思えないのである。思うことと言えば、人間は自身に関わることについて、どこまで注意怠りなく行動できるものか、というあたりのことになるのかな。
午後になってからだったか、ロシア出身の大相撲の幕内力士が、大麻片を含む煙草を所持していたことで、逮捕されたというニュースを聞いた。発覚してしまったというのも、当人の物と分かる財布を、落としてしまったことからだったという。今日の自身のような失くし方だと、もうお手上げ。落度はなかったはずなのに、失くしていたとしか考えられない。この力士の場合は、どうだったのだろうか。失くしたら深刻な事態になることが、分かっているものの入った財布。それが手元にないことが分かった時の当人のショック。想像がつく。失くした時、彼の気持はどこに飛んでいたのだろうか。
人間の逃れられない、こうした経験。消えている物に、気づかない。注意力の限界。
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危機対応。自分はどうするか。

2008-08-01 18:04:25 | Weblog
通り魔事件が起きる。それに巻き込まれる危険がないとは、誰についても言えない。そんな時代、状況にあるようにも思える昨今。通り魔とは限らない。ともかくなにか自身にとって危機的と思えることが起きた場合には、どうするか。言ってみれば、自己危機管理。対応を考えておいても良いのではないか。おそらくは、多くの人の頭の中には、その考え、あるのではないかと思う。だが、じっさいにどこまで具体的に考えることができるものか。たとえば、街の路上でコワい何者かにからまれた場合に、どうするか。いかにその場をうまくおさめるか、あるいは逃れるか。現実にはあまりなさそうな事態ではあるけれども、でも現実にあった時の対応力が試されることではある。なかなか、むずかしそう。でも、具体的対応とは、そういうこと。
欧米文学やジャズ、映画の評論家であった植草甚一さん(1908-1979)。ダンディおじさんだった彼が初めてニューヨークに行ったのは60代半ばだったか。彼のエッセイを読むと、二週間ほどニューヨークに滞在した友人が、セントラルパークでたかられた話がでてくる。その友人は、剣道と柔道の有段者。ところが、タバコを一本くれと言われ、ついでに金を出せとすごんだ黒人が、見上げるほど大きかったので言うなりになった、という。そうしたたかりを避ける方法がアメリカの雑誌に書いてあったというのだが、彼は革の金入れが五つでてきたので、そのそれぞれに5ドルづつ入れておくことを、たかりにあった時の対応にと考える。安時計も5個。それ、つまり対応を考えているということになるのだが・・・・・。そんなことが書いてある。
また通り魔事件のことを言えば、被害者たちは、なにか抵抗できないままに一方的に被害を受けてしまっているように思える。対応不能と言えるような状況で。誰しもそうした場合には、そうした状況に追い込まれてしまう、ということでもあるんだろう。余程訓練を受けた人間でもない限り。
むずかしい。予測ができない。植草さんのように万が一の場合の対応を考えていても、どういう成行きになるか分からない。でも、考えておくくらいのことは。したほうが、良いんでしょう。

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