雨
ワタシだと言う
それワタシという別人のことでもある
散らばる無数の中枢
外は雨
ここに届かない雨だれ
ワタシは見る
ワタシが見る
ワタシだったひとが見た
今日がある
通り過ぎる日と繰り返し言った
避けられない日がある
雨は上から落ちてくる
むき出しでやってくる
繰り返し新たに生まれる
人間の知に圧倒されるマントヒヒ
同じ陽に迎えられる
次の世紀もそこにいる
父母の仰ぐ雨
父母のもういない子の仰ぐ雨
瞼の上に落ちた
ワタシは見る
ワタシに飽いたひとが見る
新たに見えたものを見る
元に戻らないものを見た
カンブリアが見える
音を外せない
何から何まで関わらない
ト音記号に色
地平線へと続く音域
雨は満遍