月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space 藍 (4)

2008-01-31 22:54:25 | Weblog




                 1

      


ひとつのいのちの中には底無しの無限境があるのです地球の世界のすべてもその内に見ることができるのであるとあちらから頭の左上方テンテンテンテンと一キロほど歩んだ先あたりからある時声がしたのでありますその時その場に立ったままじいっとその無限境地球の世界のすべてが見える底無しのホールを覗きこんだのですがその時私というのはこの私というひとではない誰ということのない機能のような眺めをしていたのですそしてまた以来私というのが無限境そのものに見えることもあるのです



                              以降次回             

                      from Six Poems No.8 2004 
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詩-Space 記憶

2008-01-15 23:06:01 | Weblog



      記憶


    記憶というのは
    見る方角の
    あるものなのだろうか
    通り抜ける
    ちいさな淡い色の
    門などあって
    辿っていくと
                なあんにもない
         なあんにもない
    なあんにも
    起きたことない
    ここは白灰の雲が
    漂っている地
    なにかしら掴もうとしても
    眼を凝らしてみても
                なあんにも
         なあんにも
    手には残らない 
    だいたいここから
    あなたの姿
    まるで見えないもの
    まるで
    まるで
    見当たらないもの
    そのようなわけで
    今日のところも
    お引き取り下さい
    申し立てられて
    戻る家を忘れた
    ひとのように
    案じ顔をしながら
    道
    と名のつくものの上に
                  立ったりなど
        することのある
    地上


                  from Six Poems No.6 2003       
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詩-Space 弦

2008-01-13 22:14:33 | Weblog




       弦


      指を
      動かせば
      たとえば
      弦
      放たれるものがある
      峠のてっぺんに辿り着いた音
      それが天頂まで
      届くかは
      こころの耳次第である

      行き先も
      定められないままに
      靴をはく
      おのずと
      滲み出てくる
                   色なども
            あるようで
      転がりだし
      風景のどこかしらに
      吸い寄せられていく
      その色つきのものを
      頭上にある眼で
      追ったりも
      しているのです


                     from Six Poems No.6 2003    
 
    
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詩-Space 終着近い昼

2008-01-07 23:16:31 | Weblog





       終着近い昼


     ベンチのある
     そこは天突くポールの立つ
     砂漠の中の
     公園

     であるのか
     あたりに人はいないが
     主人公
     という同じ名をもつ
     幾人か現われ
     広大な空間に声
     抜かれるようにして
     言葉発する
     昼

     そこでは
     どのようにして
     微風が辺り過ぎる時間を
     膨らませるのか
     知りたい


                          May 2007
       
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詩-Space 鐘

2008-01-05 23:05:10 | Weblog




      鐘


     並ぶ言葉の
     かたちが
     異なるように
     なにかがちがう
     どこかがちがう
     不可解なものたちが
     空の青
     地の黒
     ツートンカラーの
     あわいで
     微か微かに
     音を放ち
     微か微かな
     その音は
     それらのかたちと共に
     力なくうすれ消えて
     ついには
     「完了」
     の知らせが中央に
     現われ出てきそうです
     こころの中に
                    安穏の鐘が
             響きだすのと
     呼応するかのように 



                 from Six Poems No.6 2003  
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詩-Space かなたには揺れる月

2008-01-03 23:01:44 | Weblog




     かなたには揺れる月



    かなたには
    揺れる月
    時折弾むように
    ゆるやかに
    浮き上がる
    独りたのしむかのような
    動きをみせて
    ひとの眼のあることなど
    気にする風もない
    どのような
    いのちがその内に
    あるのか
    音も立てずに
    クリーム色の光を
    放つ月
                 眼の端に
         見ながら
    こちらは歩きに
    歩こうとするのである
    空気の扉
    押し開けようと
    するかのように
    極薄だが
    強靭な膜の向こうへの
    抜け道を探るかのように
    歩きに歩けば
    ついには地の果ての
    果て辺りで
    脱色透明にながれて
                  奇跡のように
          新たなかたちに
    成り変われる
    のでは
    ないかと



               from Six Poems No.7 2003      
     
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詩-Space Solution

2008-01-01 23:09:10 | Weblog





      Solution



     ここから
     出ていくのは
     簡単
     立ち上がれば
     いい
     外に出れば
     いい
     外をすすめば
     いい
     その先に
     なにが
     待ち構えていても
     ぐにゃぐにゃ造りの
     アーケード
     通り抜けるように
     思いのまま
     歩いて
               どんどん
         どんどん
     白ずんで
     その色もなくして
     空にもなり
     土にもなり
     家にもなる
     なにものかとなって
     そのままに
     元の姿に
     戻らないことでも
     いい



                    from Six Poems No.5 2002  
 
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