月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  とびら

2008-10-27 22:37:52 | 
  たいていは
  なあんにも
       なあんにも
  そのとびら
  ときにはうんめいの
  うんめいの
  とびらになる
     そのじしんの
        ひふのいちぶの
     ような
  そのとびらから
  なあんにも
  なあんにも
  ぐろうされるほど
  なあんにも
  でてこない
        なのに
     まちに
  まち
  とおく
  かなたをちょくしんする
  くろいせんしゃを
  みやりなど
  しながら
  なぜか
  なぜにか
  なおも
  なおも
  なあんにも
    でてこない
       そのじしんの
          ひふのいちぶの   
       ような
  とびらをまえに
  まちに
  まち
  まちに
  まち
       まちに
  まつ
  にがみもある
  しあわせ


                     from Six Poems No.2 2000 
 

   
            
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詩-Space  島のこと

2008-10-23 22:06:21 | 

  海がみえる
     わけではない
  島
     なのかどうかも
  わからない
  そこにながれる
  時間が
  島のかたちを
  しているだけ
     なのかもしれない
  島のかたちをした
  時間の輪郭を
  いのちのなかで
  ながめ
  つづけていると
  だんだん
     だんだん
  だんだん
     だんだんと
  うすれにうすれ
     うすれにうすれて
  いつか
  いつか
  ふたたびそのかたちを
  探りだせないほどに
  その在処を
  辿れないほどに
  うすれに
  うすれ
  うすれに
  うすれて
  そこから
     海の見える島に
  ふたたび
  戻れ
  ない
  戻れ
     ない  


                    from Six Poems No.2 2000    
     
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詩-Space  惑星

2008-10-19 21:20:05 | 

   うすいシルク
   一枚
   よりもうすい
   とてもうすい
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない心
   その上に
   見えない
   底無しの
   影
   暗愚
   底無しの
   くるしさ
   その上の
   くるしさ
   見えない
   くるしさ
   見えない
   くるしみ
   ただ
   青く
   青く
   澄んで
   白模様
   まとわせ
   青く
   青く
   異質


                     from Six Poems No.1 2000  
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詩-Space  水平線

2008-10-15 22:32:15 | 
 
   なにから
   などと言わなくても
   なにかは始まっているのですが  
   あなたは
   何処を見ていますか
   家の中ですか
   あそこの樹ですか
   あそこの樹は同じ樹でも
   とくべつな処に生えている
   樹ですか
   そうであればあの樹は
   とくべつな樹
   ということになるのでしょうか
   そのようなことを
   はるか以前にも
   問うたことがあるように思いませんか
   あなたの
   白いアタマの中の
   白いウサギが問うたのでは
   ありませんか
   そうしてそんな樹など
   どこにもない
   どこにも見えない
   あるのは一本の水平線
   鉛筆書きの水平線
   それが空と平原を二つに分けていると
   言ったのではありませんか
   見えるのは
   ただそれだけ
   それだけであると
   言ったのではありませんか

                     from Six Poems No.7 2003
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詩-Space  本を視る

2008-10-05 11:59:01 | 
 橋
 のことなどを言う
 それも仰ぎ見るような
 半円

 それは
 見下ろせる位置も
 用意された
 橋

 下の川には
 途絶えることなく言葉
 流れる

 たましいも
 共々
 音も立てずにそこに
 ある筈と
 映る

 開いて
 閉じて
 開いて
 視る
 ひとつの
 顔



                  6 May 2007
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