月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  ね

2011-02-22 23:42:50 | 文学




             浸食
             というのがあなたとあちらの
             間で起きるという
             微笑ましい
             極東の
             午後

             愚かしさには
             極厚の壁を立てておこうよ
             それはお忘れなく
             ね


                          19 February 2010




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詩-Space  月を描く (from1976詩誌「様相」No.3)

2011-02-16 22:06:17 | 文学

              いつもの手口で 地平線まで
              丸味を帯びた平行線を引き
              その果てに 白灰の月を描く
              
              敵同士が巡り合い 一方は窃盗犯
              他方は 冬眠から覚めたばかり
              谷間を挟んで互いに飛びかかろうとするが
              暗黒の谷底に恐れをなす

              収穫期には 鎌を方に倒し
              祭の酣にひっそりとした語らいを
              驚愕の唇は岸辺に脱ぎ捨て
              菫色の草叢で 獲物を焼く

              見渡せば見るものに事欠かない程
              窖は空中に浮かび脅迫の心理構造が
              果実となって 樹の枝先に吊り下がっている
              都会の街並みは 大海の海底で 長旅を続ける
              隣家への移民団の最後尾に加わろうとし
              怒る海神の判断を胸震わせて待ち
              夜明けと夕暮れが 手を取り合って水浴びしている
              話し方を知らない文盲の酋長は 知恵の実で
              でっぷりと腹を肥やして 飛鳥のエンジンを造り上げ
              全てを愛すると断言して 飢えた人々を残らず
              生涯を通じて養う意志で
              地上に生まれる生命を浄化する
              病にかかった大陸は ちょっとした躓きで
              深夜の素朴な村々に響き渡る読経の喉元を
              潰してしまったが 真夜中の太陽は
              のんびりと驢馬の手綱をひきながら いつもの寛容さで
              迷路などは在ったためしがないと
              発端と無限の狭間で罅割れた唇を舐めている歴史に
              四次元の時計を吊り下げて見せる

              落書きは証拠として残り易く
              一本の指を五等分に分割できないので
              とりあえず 煌々と光る月に突き返す

              土壇場まで行き着くと 知恵と才覚が
              面白可笑しくもない事の次第に
              切れ味の良い暗示と教示を
              爆弾投下よろしく 例の嘆きの港で
              破裂させること 目論む

              平行線は雷鳴と共に贅肉をつけます
              瞬く間に周囲の色つき風景は くねり始めて
              前後に揺れ動き 至る所が異常震域
              奇跡だ 奇跡だと叫び出させそうになります
              予感過信症なる汚名と共に
              直立不動を強いられた幽鬼が
              頭上に局部を載せて 平衡を保とうとしました
              そのまま眼は閉じずにと 厳命が下っています

              身を翻して 地下道やら路上の
              物陰やら のっぺりした平地の荷車引き
              運命の俗悪商人たち 不毛と肥沃がこねり回され
              煮えくりかえる熱湯の中へ 一本の線よりなる剣を携えて
              収録する音域を極度に狭めながら
              食べ残したより現実的な獣肉 ずぶ濡れの自然食品を
              蹴り飛ばし 蜜樹を消化する胃袋に収め
              乾燥しきった快晴の吉日 丈夫な樫の木を圧し折る                                      
              過熱気味な情報蒐集に直も駆けずり回り
              頭打ちの人影無くなった試合場の夜闇に放り出されるまで
              倦きもせずに 軋む無数の骨の瑞々しい運動に絡まりついている
              唐変木などと駄洒落を 突然開いた扉の手前や
              赤信号の点滅する神出鬼没の移動舞台裏で読み上げ
              退屈を凌ぐには絶好と 好んで一喜一憂する道化た方角も
              強制された選択からでもなく
              不死らしい頑強さで息を吹き返す
              他愛もなく凡庸な光景に原色を塗りつけ
              鳥を猛獣に変え 水路に浮かぶ木彫の仏像を毒草に変える  

              階段を一足跳びに十段上がり
              窓辺から疲労した長編物のフィルムを
              花吹雪のごとく散らす
              街角で曲芸列車に乗り込んだ物静かな人の
              忠告通りに

              画布はこの辺りで切り裂きます
              架空のひとごろしを行うことでは あの好事家とおなじ
              煙草の揉み消し方が優雅にすぎて
              幽霊陳列館と名付けられた陰房に
              送り届けられた

              生みの親は植物採集に出向いたまま帰らず
              大方年老い 手の届かない高値につり上がった虹を
              仰ぎ見ながら泥沼ではね回っているはず
              指定席券売り場の婆さんに姿を変えた
              占師の予言によれば

              見え透いた結末を前に 性懲りもなく続けられるかに思える
              乱舞だとか 生身を雁字搦めにせずには置かない
              嗜虐の配置図だとか 興味深くとっぷりと眺めさせてもらい
              白旗を掲げるよりは 喝采を送る

                                         1976  



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詩-Space  詩篇 (from1978詩誌「様相」No.4)

2011-02-10 23:16:15 | 文学


           頑丈な扉ですこと
           端折るには詭術的な
           灼撃が呪性が有効でしょうか
           配列迷子の介抱に
           骨折り甲斐性を並べて
           手引き端唄を流暢にうなる
           陽躍ぶりの晴れがましさが見える
           安神配慮の微笑は
           見事琴線擽り
           暮鴉の赤舌さえも
           巻かせる器量で
           悪処理機構の犠牲などには
           末席させたくない松明
           だが下る世間の暗室生理は
           人を選ばず沈滞させる
           愚論畑の充満美学
           文様

                *

           乱状階段だらりと伸びて
           端から鳥撃ちの態勢へと潜る
           擦ると背理が空鉄砲
           増すから伸縮極度に昂じて
           だるだり玩具は窮迫歯擦れを起こし
           毟られる 毟り取られて
           じゃるじゃり腰の七転八倒
           叛乱騒ぎで黒水仙は股下崩れ
           ぐらつき干される
           頼丈夫なんだ
           あれは奮闘走塁の名人なんだから
           瓦斯欠でも立ち直る
           損害開きなど枕で辞退
           察して妙酒を盛り沢山かざし
           森の祭りで行儀を
           排す 晩から足をはみ出して
           奏する食欲増進曲に
           耳を引きちぎられながらも
           食い倒れるまで

                 *

           再会肥やして
           豪速囃子に抱擁させるという
           発起人の胡坐分銅
           廃棄するには胸板の哀惜調
           群を抜いて奔騰するので
           埋葬商人 恥じらい隠せず
           狂い回って廃地に急ぐ
           別の摩擦が尾を引いて
           情熱碍子は放送保留の深刻消耗
           漂ったまま凱旋時期に
           食指を伸ばす
           葉緑馬券に賭けてみるか
           参来するのか勝逸するのか
           煩悶暮らしに銀錠下して
           破傷白夜に
           鎮静剣術配布するため

                 *

           連結仮生は晦冥岬の
           バス停から変調して不死の
           峰へと登行する
           散落寸前の交わり上手
           最後の三連門蹴に拍車をかけて
           荒降り騒ぎを佳境に入れる
           万生祈願など止んだ新雪野辺
           辺りに払い技で受け渡し
           枯骨に無礼のなきよう
           鄭重に嘗めすすむのだ
           邪理道の記憶 泥感の支配力
           濃厚な肌理集めにかけた情念
           暖に向けられた紋だけに
           敬礼して
           斑灰となるか 慨嘆に暇を告げ
           特製の靴に履きかえて
           無連死好

                 *

           疑念襞に稀少光彩を送り込む
           折破工作が厄年に
           踏んづけられたので詮方なく
           半馬鹿症状に盛る
           追肥の縛り腹づもり
           膠するのも層剝け心理が急き込んで
           陳情するので牽強付会も厭わず
           斜走りする 瞳孔の麗芯
           雅景の熱風にひきつけを
           起こした後の魔星騒乱
           界隈のことならもう勘定済みとか
           鳥瞰虚人が話しているが
           変動裸棒の脅威は
           年変わりをしても旺盛に迫るから
           乱視で嫩芽斬り半裸
           殺陣の軍門に譲渡

                 *

           反復桎梏も愛の補導のうちと
           死灰ヶ丘の談笑で
           信条吐露する強肩暗牙の情人
           数奇問答の絡みが得意で
           繁盛する快道園の波乱に痺れ
           電光石火の面相変えに焦点合わせて
           符合させる摩訶幻想の檀上跨ぎ
           顕示姿勢の荒業で我利管理の悪徳に
           精出す腥臊乞食のばらまき所業が
           編曲受容の寛大空眼に媚笑する
           粉飾の謳歌に暗い図形証明
           診断の皹に九輪口碑の刃頭を向ける
           と唸れば瓦拳固がド音で
           挽回執念を見せるものか
           迎合の半尻不浄脾腹を晒して
           鈍妄の雁首を放投せよ
           罵我悶

                 *

           登板を裂いて左遷の
           一里塚に対等の配備を
           渾成する活眼返しの参戦
           当分の歯痛は仮身のふうたいで古銭の
           蒐集にでも踏み台合わせて
           安眠する黒薔薇の風信に
           取り計らいの手管を拝見する
           単線から普及の便覧ごしらえに
           安穏の更新残業で応対
           到来可能の筈 負債を支払えば
           黄連煙草の口当たりが甘い評判の
           群青苦笑を腰台に網羅する
           鈍角の補綻症を打診
           即ち凍える賭場は最初から
           模造手段の覇権争いに
           色直しにしたので判定延期と
           余談に左折する

                 *

           神秘湾の婉容船の
           後悔日誌に大僧正を巻き添えにした
           猩紅の波濤についての記述があるはず
           動機の痙攣に輪がついて
           踏んだ鳴謝の裸夢迷宮で
           交わした葉面の重奏音が
           緩急程良く管状の肥大送路に
           流れて要請された深まりの徴候に
           無形の相性波動が滔々と
           無駄なく大台に乗り上げた湍激の
           因縁加勢で望み遂げられ
           恒例の礼装公演に臨もうとした
           ところが文面の印字形態に
           苦味生じて陰転した主題
           縮図の湿りが葉陰の
           陰所を重態にさせた
           盲愛の顛末史実

                 *

           往来の昂進動輪に
           万来烏集の札付き漫談が
           関係する信奉館の銀馬車に
           委託された扶桑式羽博き法の
           厳究で互いに運を天に任せる
           胎動の日雇い運送屋たち
           頭角を場馴れ座敷に
           半白から橙更には非色へと
           換色し通行身構えして
           目尻を巡回させる
           不具爛漫醜固
           芯無しウラナリの巣枯らし
           伝統に貧馬が恥じる
           相談の慰労会だとか
           見当はずれが増すだけだ
           とすれば番外地に電送してしまえ
           銅鑼の寝言を響かせて

                 *

           裸足の陣取り姦通戦では
           貫通の本数較べから軍配の
           派手な動きが蛮性化する
           壜から寸暇を押し出して
           網張りの乱交侵害形を
           蹂躙する非道の排泄四態
           踏襲して運の断面を吟味する
           強盗紛いの豚歯持ち
           過労を腹拵えで脅迫して
           軟化神楽を一掃
           亀頭を棍棒に持ち替えて荒様が
           満珠に成り変わる塹壕の
           包装された朝 焼地の間断継夜と
           踏破する意地の石
           その重心の開いた台根
           掘る伝承の優性蛮学
           尾を不動に構える

                 *

           包絡線から雲が出る
           透明な移動蜃気楼
           短路に判じがたい緯度とりがある
           今度の振り出し舞句
           答信が腋毛に排卵するだろう
           穂売りの晩に奸計を案じながら
           浮浪微減の老台に
           問う色判断の忍法についての
           苦心談と不来火願の由縁
           線と臀部を交わらせて
           帆を白く孤立させる秘匿の美術など
           融合次第で頬まで白む
           新生貝を繁殖させ得ると
           発案する皿洗神の異見が
           号外紙面で夜を明かす
           寒夜の朧扉向こう


                                            1977   
           
 



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ガリ版で詩誌を出していた頃/その中の詩作品から、今回は、「檻」

2011-02-08 17:59:25 | 文学
前記事で、発行したばかりの詩誌に触れたのだけれども、思いついて過去にも一度出していたことのある冊子を、取り出してみた。「様相」という誌名で、1975年の1月28日の第一号から、1978年の7月10日発行の第五号まで出している。ガリ版刷り。インクやローラー、ヤスリや鉄筆などは別として、他の刷り台などは自家製。確かに原紙(ロウをひいた紙)に鉄筆で書く作業なども手のかかることではあったけれども、結構たのしんでやっていたという記憶がある。

それら五号までの冊子の中に入っている詩作品はさまざまであるけれども、その前後、その後に出した詩集の中に入れたものは皆無であったように思う。それには、それなりの当時に考えたところのこともあったのだろうが、今回取り出してみてその筆跡に当時の感覚などを思いながら、きっちりとした書体でこのブログ上、「様相」の中の作品をいくつか、再掲してみたくなってきた。



              
 


     頭の形を描こうとすると凡庸な言い回ししか出来なくなるようなので、内部と外界を見境なく
    均して、形にこだわるデクノボーを火炙りにしてしまった。全く良くない仕打ちだ。罪を人のせ
    いにしてしまおうとする。
     なにもかもあとのまつりだ、と言ってしまえば、危険な相棒を抱えたまま、あてどもなくこの
    土地のあちらこちらを行ったり来たりしている者の愚かさ加減。それを救う使者を設定してみた
    りする。
     なかなか頭や本体にまで手が回らないと、土地の貧相さを発けないままに、時代遅れの橋を滑
    っている。そこで滑りついでに時代は消してしまうことにしようと、退屈を追放するために甘っ
    たるい笑いを引き込もうと、見え透いてはいるが目先を変えて、集中的に本体を叩き壊してしま
    おうとする。
     その頃には、衣を脱ぎ捨てた景色が異様な色気をふりまいて、地上の至る所に錯乱した巨石を
    落下させることになる。細胞分裂などという生易しいものではない。強震の渦の中で、平衡もな
    にもあったものではない。
     微震が極度に増幅されて、沼の水を干上がらせてしまった。
     それでも、歩行する人々を眺める。足のない動物をも含めて。前進と後退、あるいは膨張と分
    裂、それらは明確なバネを持っており非情でサディスティックな透明生物なのだ。血を持たない
    とは全く嘆かわしい。やさしい人膚を直撃するのは、気まぐればかりではなさそう。
     何処も危険な破片だらけ。酔狂さにあきれながら、嬉々としておびえながら、ひとまず檻を抜
    け出る。

                                        (1977年1月作)


                                     from 「様相」No.5 1978





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Six Poems No.14 発行のこと

2011-02-05 23:30:03 | Weblog


「Six Poems」は、2000年に始めた個人詩誌で、今回は一年九カ月ぶりの発行。その誌名は単純に、最初に六つの詩を載せたことからの、たまたまのことからのようなもので、改めて誌名を考えたくもなることもあったけれども、結局はそのまま。
当ブログにも、過去にそれに載せたものを入れているけれども、ともかくプリントをして配布をするという形、自身としては好ましいと思える形ですね。



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詩-Space  内に外に「場」無し

2011-02-05 06:21:35 | 文学
 

以前は、もっと別のことを口にしていた。それが今は、「場」について言っているという訳だ。それにともなう諸現象。
 グサリとひと突き、それで奴はおしまいなのさ。その「場」をとりあげる奴。相当に狂っていることが多いが、原因もおちおち見つけられないなんて、つまり狂わされているのさ。
 そこで、彼はこのように言い出すのである。

「肝腎なところには少しも近づこうとしない。アンタら、おれたちに妙なクスリを飲ませやがったね。我々の首が45度以上は回らないように。この眼を見てみな。どうにかなっちまいそうだぜ」

                                                  1983年作





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