昼の
野原の
草の根元で
一匹の小虫が
轟音を発して
立ち止まる
向こうに
見えるものの
正体は
たったひとつ
ひとつ
だけの
顔に
数十億の手足持つ
まぼろし
淡い雲のように
現われ消える
まぼろしの
怪物
でもあるのかと
眼が
問いかける
遠望する
うすい
うすい
紙のような
地の上で
ゆらめき
ゆらめき
ゆらめきつづける
陽炎めいた
あの塊は
たったひとつ
ひとつ
だけの顔に
数十億の手足持つ
とうに
未来を
生き終えた生きものの
幻影でもあるのかと
彼方を追う
なんなのか
なんなのかと
なんなのか
なんなのかと
至近に
そそり立つ
緑の壁の彼方に
追う
from Six Poems No.3 2001
丸い月
見ているつもりが
騙されそうなので
丸
止して楕円に
変更
駈けていくのがその
中で
ひと跳ね
するのが見えると
嘘を言う
だってその刻
何処に向かおうとしていたのか
突如
見えない眼になり
立ち止まる
ひとのせいでね
繋がり失せたりするもので
さ
September 2009