地上を旅する教会

私たちのすることは大海のたった一滴の水にすぎないかもしれません。
でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

【天からのパン】商売だけでなく、 「中村屋サロン」で芸術家育てる

2014-09-17 22:04:40 | 今日の御言葉
s.webry.info/sp/furuya.at.webry.info/200801/article_47.html



わたしたちの先祖は、
荒れ野でマンナを食べました。
『天からのパンを彼らに与えて食べさせた』
と書いてあるとおりです。」



すると、イエスは言われた。
「はっきり言っておく。
モーセが天からのパンを
あなたがたに与えたのではなく、


わたしの父が天からの
まことのパンをお与えになる。


ヨハネによる福音書/ 06章 31-32節
新約聖書 新共同訳



どんな小さいことであっても、
大いなる愛を込めておこなうことは、
人に喜びを与えます。そして人の心に平和をもたらします。

何をするかが問題ではなく、
どれほどの愛をそこへ注ぎ込むことができるか、、、 
それが重要なのです。


マザーテレサ
(マザーテレサ『「愛」という仕事』より)




【夫婦の日本史】商売だけでなく、
「中村屋サロン」で芸術家育てる

★MSN産経ニュース 2014年9月17日

http://sankei.jp.msn.com/smp/life/news/140917/art14091714110005-s.htm


▲愛蔵と黒光夫妻。中央は長男の安雄
=明治36年(中村屋蔵)


第75回 相馬愛蔵(1870~1954年) 黒光(1875~1955年)

新宿駅東口にあるレストラン「中村屋」。明治末年にパン屋として開業し、戦前は文化人の集うサロンとしても名をしられた。その中村屋の創業者夫婦をめぐる話である。

夫の相馬愛蔵(あいぞう)は、安曇野(あづみの)(長野県安曇野市)で庄屋を務めた相馬家の跡取り。東京専門学校(現早稲田大学)を出て、養蚕の技術革新をめざしていた。

妻の黒光(こっこう)は本名・良(りょう)。仙台の没落士族、星家の三女に生まれた。利発な性格で16歳のとき上京し、巣鴨にあった明治女学校で島崎藤村らに学んでいる。

2人は明治30(1897)年に結婚した。満26歳と21歳、キリスト教を通じての縁だった。愛蔵の実家で暮らし始めたが、娘と息子が生まれると東京に飛び出した。「夫婦が一緒に働いて、子供らに働きぶりを見せてやりたい」ためだったと、黒光は自著『夫婦教育』(大空社)で告白している。

東京で始めたのがパン屋だった。42(1909)年、現在地に移転。西洋の香り漂うパンは人気を呼んだ。クリームパンなど新製品の開発にも才覚を発揮し、店は繁盛した。

夫婦は商売だけでなく芸術を愛し、そのパトロン(庇護(ひご)者)たろうとしていた。明治末から戦前にかけて、多くの芸術家が中村屋に出入りした。

とりわけ深くかかわったのは、彫刻の荻原守衛(おぎわらもりえ碌山(ろくざん))と洋画家の中村彝(つね)である。守衛は愛蔵と同郷で、欧米留学から戻ったばかりだった。フランスではロダンに直接会って教えを受け、日本に近代彫刻をもたらそうとしていた。

守衛は4歳年上の黒光にあこがれていたようである。同じ新宿にアトリエを構え、午前中の制作を終えると、中村屋に顔を出し、黒光の子供たちの世話をするのが日課だった。しかし明治43(1910)年4月、代表作の「女」(国重文)を残して病死してしまう。

中村彝も、夫婦と深くかかわった。店の裏手に住まわせてもらっていた彝が、娘の俊子にプロポーズしたのだ。しかし、夫婦は反対した。彝が結核を病んでいたからである。

このような悲劇もあったが、夫婦はさまざまな人を中村屋に迎え入れた。インドの独立運動家、ビハリ・ボースはやがて俊子を妻とする。盲目のロシア人亡命詩人、ワシリー・エロシェンコは、彝の最高傑作「エロシェンコ像」(同)として、その姿をいまに伝えている。



先の戦争の空襲では店を焼かれたが、夫婦は立ち上がった。晩年は高齢者問題に関心を寄せ、老人ホームをオープンさせている。そして、愛蔵が昭和29(1954)年に亡くなると、翌年、黒光も息を引き取った。維新直後に生を受けた「明治の知識人」らしい、気概あふれた生涯といえるだろう。(渡部裕明)


◎もっと知りたい 愛蔵、黒光夫婦は5人の息子、4人の娘に恵まれた(夭折(ようせつ)もあった)。その生涯は、黒光の自伝『黙移(もくい)』(平凡社ライブラリー)や宇佐美承著『新宿中村屋 相馬黒光』(集英社)が詳しい。10月29日には、中村屋ビル3階に「中村屋サロン美術館」がオープンし、守衛の「女」や彝の「小女」など、ゆかりの作品が公開される。


(MSN産経ニュース 2014年9月17日)
http://sankei.jp.msn.com/smp/life/news/140917/art14091714110005-s.htm