Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『ユメ十夜』

2007-02-09 23:46:39 | Cinema な時間
オムニバス作品、好きなのよね。期待しすぎたせいか、全体としてはいまひとつ。オムニバス形式10話のうち、よかったのは4話ぐらいかな。普段邦画はあまり見ていないせいもあるので、ある意味、点は辛いかも・・・

この作品は、夏目漱石の小説「夢十夜」が原作。私も本棚の奥から引っ張り出してきて、原作を予習してから見た。「夢十夜」はちょっと難解ということは覚えていたので・・・原作を読んで行ってよかった。原作を読んでないと、分かりづらい。

気合が入りすぎて空振り三振な作品、奇をてらいすぎて意味不明な作品、正面から漱石と向き合った作品、原作のイメージを壊さずに超解釈がおもしろい作品と玉石混交。

勘弁してよねー、と思ったのは、十夜のうち4つの話が、グロさやエグさで奇抜さを売りつつ、そしていまだに貞子ちっくなホラー仕立てという、同じような手法を取っていること。日本映画界、活況を呈しているといえども、まだこのテが王道なのか、意外と貧弱。十話のうち、そんな話が1つぐらいあってもいいけど、4つもあるとかなりうんざり 。 

夢というのはとてもあやふやなもので、自分も夢を見たことは覚えていても、具体的な内容は覚えていないことが多い。漱石の文章もそんなあやふやな部分を文字に置き換えているのだから、その作業自体はものすごくエネルギーが刷り込まれているような気がする。解釈は100人いたら100通りできそうな、そんな夢のお話。

そんな夢の中のあやふやなものをいざ映像で表現するとなると、顔がなかったり、顔を覆ったり、目がつぶれていたり、音がなかったり、醜い創造物を動かしたり、時間軸を動かしたりと、それぞれ趣向をこらしているようでいて、結局は同じようなとらえ方だったような気がする。

私が一番面白いと思ったのは、「第六夜」(監督:松尾スズキ)かな
これは、原作に忠実でありながら、現代的解釈をしっかり音楽とダンスで表現するところが斬新。そしてコミカルさが軽快。かなり気に入っている。

ダンサーTOZAWAの運慶 → 


正面から漱石と向き合っていた作品は、第一夜(監督:実相寺昭雄)、第二夜(監督:市川崑)、第九夜(監督:西川美和)。この3つは安心して見ていられる。

第七夜(監督:天野喜孝・河原真明)は、アニメ、いやゲームを見ているような不思議な感覚。セリフが英語に翻訳されたりして、映像は奥行きが深くてとてもキレイ。

第十夜(監督:山口雄大)はグロさもあるのだけど、なぜかハリウッドの「マスク」や「チャーリーとチョコレート工場」のパロディと思しきところもあったりして。好きじゃないけど、まぁ、笑える・・・

ここでひとつづつ私が解説するよりも、興味のある方は、公式HP( Link to)で確認してみて。

ちなみに、HPでは漱石ユメ占いなるものがあって、もちろん事前に占ってもらったら、第六夜だった。第六夜は、作品の冒頭が蓮の花から始まることもあり、これまた私のHNにぴったんこ。第六夜とは、なかなか相性よし・・・(笑)