今日もミューズが微笑んで

歌うように暮らしたい。アートの道探しを楽しむJasmineのきままな日々。

まだある、オペラ「ヤマタノオロチ」(音楽つながり?編)

2006-03-12 | 舞台活動

 今回の舞台では、音楽創りの面で3人の先生にお世話になりました。

 まず、合唱指揮をやりつつ制作も、という竹内先生。どうしたら、個性の強い合唱メンバーの音楽をまとめ、そしてあんなに冷静でニコヤカに制作ができるのでしょうか。すご過ぎます。合唱の評価が高かったのは、竹内先生の稽古の運び方が大きかったように思います。日本語の発音、音楽を前に進める歌い方など、ソロとしての歌い方にもつながる、有意義な稽古でした。舞台裏の大変さを全く感じさせない制作ぶりも、脱帽です。

 そして、主役スサノオでありつつ音楽アドバイザー宮本先生。
本番の舞台袖で、みんなに「よろしく!」と声をかけてくれました。こういうところが宮本先生らしい。実は5年ほど前、「ラ・ボエーム」でやはりご一緒したのですが、2幕が終わり退場すると、ショナール役の宮本先生が立っていて、「ありがとうございましした!」と合唱メンバー 一人一人に挨拶をしていたのです。あの頃よりずっと売れっ子になった今も変わらないことが、妙にうれしく感じたのでした。宮本先生、合唱好きというのもありますけど。ちなみに、そのボエームのコッリーネは黒木純さんでした。

 多数のオペラに出演している宮本先生が稽古に登場することで、オペラとしての音楽のブラッシュアップはもちろんのこと、よい意味での緊張感が漂い、スパイス的存在だったかも。
 
 そして、本番のマエストロでもあり作曲者である加藤先生。作曲家が自ら棒を振るなんて、そうあることではありません。今まで、声楽のレッスンのときにピアノ伴奏をしてくれた先生ですが、本業は作曲家ですからね!加藤先生のピアノ伴奏で歌うことを通して、ピアノは歌と一緒に音楽を創る人なんだ、ということに気づいた私ですので、一緒にオペラを創るということが楽しくて仕方ありませんでした。
 でも、本番マエストロ、さぞかし緊張したことでしょう。作曲としては「プロ」でも、指揮は専門ではないわけで。しかも、オケが一流オケの主席クラスのメンバーばかり・・・心中、お察し申し上げます!
 そう、考えて見ると、「専門の指揮者」はいなかったんですね・・・
そんなオペラは普通はないですよ。
しかも3人とも、それぞれかけもちだし。 3人の先生方の持ち味の相互作用が今回の音楽創りに大きく貢献したことは、言うまでもありません。

 
ところで滅多にない作曲家の指揮ですが、私自身は、作曲者の指揮で歌うのは、これが2回目なのです。

1回目は、というと・・・・
私は高校生のとき音楽部(合唱部)だったのですが、2年生の定演のとき、加藤先生の大先輩の作曲家、大中恩先生の指揮で女声合唱組曲「愛の風船」、「5つのこどもの歌」から「犬のおまわりさん」「さっちゃん」などを歌いました。5つのこどもの歌は、振り付きだったのですよ・・・。犬の泣き声とかもずいぶん練習したっけ

 その高校は、今は合唱コンクールの全国大会では必ず上位入賞する実力校として知られているはずですが、私が高校生のときはコンクールには出場していませんでした。人数も多かったし、コンクールで実力を磨きたいという部員もいました。
顧問の武田譲先生(通称 譲ちゃん)曰く、「コンクールで競うようになると上手くばかり歌おうとして、楽しむ心を忘れるから」という理由からでした。

 この「愛の風船」は、3年に1回歌うことになっていました。なぜかと言えば、3年に1回歌えば、高校3年間で1回はこの曲を歌う、つまり音楽部員は誰もがこの曲を経験することになるので、卒業しても集まる機会があれば、みんなでアンサンブルできるでしょ!そういうことだったのです。

 なぜ大中先生だったのかはあまり覚えていなのですが、「合唱を通してたくさんの人と交流したい」という譲ちゃんの考え方に大中先生が賛同してくださって実現した、ということだったと思います。

 そんな「心のある歌」にこだわった譲ちゃんの下を離れた私が、再び合唱に戻るのはかなりの年月を要することになります。

 そして、合唱を再開したことがきっかけで声楽の道に入った私は、今も通う研究所に入所したのですが、夏休みに行われるサマーセミナーでのこと。サマーセミナーは、テーマが設定され、ゲスト講師による講義やレッスンなど、非常に内容の濃い授業が行われるのですが、その年のテーマ「日本歌曲」の講師として、大中先生がいらっしゃったのです!
 
セミナーに参加していた私は、高校生のときの定演の写真を持参して、休憩時間に思い切って先生に話しかけました。定演のことや、クラブソングのこと(高校の音楽部のクラブソングは阪田寛夫先生作詞 大中恩先生作曲のとても素敵な曲でした)、短い時間ではありましたが、思い出話を楽しむことができました。当然、私のことを覚えているわけはないのですが、先生も懐かしいご様子でした。


 残念ながら、「愛の風船」を歌う機会はまだありません。それもそのはず、譲ちゃんは既に高校の音楽教師は定年退職しているのですが、指導者としていくつもの合唱団を率いて「合唱での交流」に精力的な活動を続けていますから。
ちなみに、そのうちの1つ「仙台門前女声合唱団」が母校のOG中心に創設された合唱団です。振り付けしたりユニークな衣裳をつけるなどを、いち早く取り入れた合唱団で、楽しみつつレベルも保持しています。

  
   音楽会のあとは、なんにもおしゃべりしたくない
     公演のベンチを通り越して
     ほの暗い木陰を歩く、二人っきりで
         さっきのチェロが、まだほら背骨をくすぐっている

               ~女声合唱組曲 「愛の風船」 音楽会のあと より~

今はもうあまり歌われない合唱曲かも。とても素敵なメロディなのになぁ・・・。
「沈黙の幸せ」だけ覚えていないのです、なぜか。

女声合唱組曲 愛の風船
Music:大中恩

1 1.音楽会のあと
2 2.風のなかのあなたと わたし
3 3.沈黙のしあわせ
4 4.母のように
5 5.ことばって すてきなもの
6 6.ふうせん屋さんになりたい むすめ


大中先生と再会した年度の修了演奏会では、先生のお父様 大中寅二氏作曲の「椰子の実」を歌いました。偶然です

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