ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

今更4大陸選手権とか

2013-03-12 19:23:00 | 日記
そういう訳で、私の今シーズン唯一の生観戦である4大陸選手権でした。が…ちょっとなかなか考えがまとまらず、記事を書けずにいました。
もたもたしてる内に世界選手権も始まってしまいますので、今の内に書ける事だけ書いときます。

まずはSPから。
今回初披露のプログラムです。「月光」


月光のイメージで作って貰った花束。
アリーナ席の方が私の代わりに投げ込んで下さいました。ありがとう!

思えば今大会では、多くの選手がシーズンにおけるベストスコアを更新していました。
当然と言えば当然かも知れません。
シーズンも大詰め、大きな大会も残すところは世界選手権だけ、選手によってはこの大会がシーズン最後という試合。
シーズンオフから滑り込んで来たプログラムが体になじみ、完成形に近づいて行く時期なのでしょう。
そんな時期に、新しいプログラムを作って一から滑り込む。SPを滑り込めばFSの練習時間もそちらに取られてしまうし、思えば随分リスキーな判断をしたものです。
それでも多くのファンがこの賭けを納得して受け入れたのは、「ロックンロールメドレー」に対する不安感が大きかったからかも知れません。
私の個人的な趣味からするとすごく好きだし楽しみにしていたけれど、結果的にファンを含めた色んな所からケチを付けられてしまったような気がします。
10ー11シーズンの「マンボ」もシーズンが終わった後で評価されたようなプログラムでしたが、それでは遅いという判断だったのかも知れません。

私個人としては、「月光」は子供の頃からすごく好きな曲の一つでした。
大ちゃんにしては珍しくメジャーな選曲ではありましたが、その分、「どんな曲?!」っと慌てて予習しなくても、「ああ、あの美しいメロディで滑るのね♪」と楽しみにできる曲ではありました。

まず衣装なんですが。
前日にニュースで見て連想したのが、菊池秀行の小説「魔界都市〈新宿〉」シリーズに出て来る夜香(やこう)ってキャラクターでした。
戸山団地に住む吸血鬼一族の若き当主。魔界都市の夜を支配する闇の貴公子。この人のイメージカラーが青なんですよね(せつらが黒でメフィストが白)。
ちなみに、同じ菊池さんの「バンパイアハンター“D”」でも、私の一番のお気に入り・バラージュ男爵が青イメージのキャラだったりします。
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どっちにしても吸血鬼です。かりそめの命を生きる夜の貴公子。
そういう意味では「月光」のイメージにぴったりだわーと勝手にイメージを膨らませていたのですが。

実物は思ったほど吸血鬼じゃなかった、じゃなくて青くなかったです。
紫ロミオの教訓。デジタルカメラを通すとすぐに紫は青に化けるのを忘れていました。ニュースではやや紫がかった青に見えた衣装、実物は藤色に近いグレーがかった紫でした。
だから最初に見た時には、もっと青い方が好みだなと思ったのに、今なぜか、演技を思い出すと紫の照明のイメージと共に思い浮かぶのです。
実際には試合用の明るい照明の下で見たはずなのに、何故か紫がかったおぼろげな月の光を受けて、薄明の中に踊る姿が幻のように浮かんでいる、そういう映像で頭に残ってるんですよ。

ジャンプの失敗があったので、観客も、そして大ちゃん自身も意気消沈した空気が会場を支配しておりましたが、最後のステップとても素敵でした。

金沢のアメリを思い出したんですけど、まるで体重がないみたいに軽々と、すっすっすっと気持ちよく氷の上を進んでいる感じ。
難しい事を色々とやっているのになかなか報われないロックンロールに対して、ステップやエッジワークの美しさが分かりやすいプログラムなのかなと思いました。

大ちゃんの演技の魅力は指先まで神経の行き届かせながら絶妙のタメで魅せる上体の動きにあると思うんですが、それを支えているのは足元の確かな技術なんだなと改めて思いました。
足元で難しい事をやっていてもストレスを感じさせず、上体を動かしてもバランスを崩す事なくスムーズにエッジをコントロールできるからこそ、ステップを踏みながらあれだけ美しく踊る事ができるんだなと。
プログラムができて1ヶ月というか、実質2週間くらいの練習であの演技でしたので、世界選手権でどのように表現が深化しているか楽しみにしたいと思います。
ロンドンの夜空に浮かぶのは、霞の中に漂う春の朧月か、冴え渡る空に煌々と輝く冬の月か。

***

フリーの道化師の方は、全日本の演技がなまじ余りに凄かったために余計に残念に思う反面、あんな演技そうそういつもできるものではない…と思いますので、世界選手権の事を思うと正直ちょっとほっとしたのも事実です。
個人的には、予想以上に点数が低くてショックでした…。
確かにコンビネーションジャンプ少ないぞとは思いましたけど、4回転もクリーンではないにしてもとにかく飛んで降りてたし、もうちょっと何とかなってるだろうと思ってましたので。
ただ今迄の経験上、4大陸で良い時は世界選手権で上手くいかない事が多かったので、そういう意味ではちょっと安心かも知れないです。
試合後少し休むように周囲に言われたという事なので、やはりSPの変更もあって相当練習したのでしょうし、本人が自覚している以上に疲れていたのかも知れません。
全日本であれだけの演技をした時には相当魂も削っただろうし、靴を変えて一週間という情報もありましたので、靴も馴染んでいなかったのでしょう。
(世界選手権から逆算して靴を変えたのか、それとも他に事情があったのかは分かりませんが、丁度今ぐらいがいい感じに馴染んでればいいなあと思います)

そういう意味では、4大陸選手権の試合の結果は非常に残念なものではありましたが、世界選手権が心配になる、という感じではなかったかなと思います。
いよいよ開催が迫って来た世界選手権…どういう結果であっても、まずは大ちゃん自身が納得のできる演技が出来る事、まずは何よりそれを祈ります。
大ちゃん自身が満足できる演技なら、それはきっとステキな演技に違いないから。私は何よりそれが見たいのです。

***

所用があって実家に帰った時に、最上稲荷に行ったので必勝祈願して参りました。
岡山県最大の初詣スポットとして地元では結構有名なんですが、実は私が行ったのは初めて。車を置いた駐車場がすごく味のある所だったので思わず写真を撮ってしまいました。



あと、参道で買ったたいやきが四角だった。

南京町の関帝様にもお祈りして来ましたよー!


毎年春節祭の時だけ、ここに関帝様がいらっしゃるのです。


メディアとスケート

2013-03-12 19:17:00 | 日記
世界選手権の始まる前に、今シーズンここまでの色々な動きを見て感じている事を書いておこうかなと思います。
前に書いた「メディアとスポーツ」では、広告業界が主導する商業的な損得勘定が競技の採点に影響してるんじゃないかという仮説(あくまでも仮説ですよ)を立てた訳ですが。

その後のアレコレを見て「こりゃ末期かも」と感じましたので。

***

まず、全日本が終わった辺りから、一部のフィギュア記者による、高橋ファンに対して非難するような発言が見受けられました。でもそこで批判されてる内容ってほとんど言いがかりに近いというか、別に関係者の業務や試合進行の妨げになる訳でも、他者(選手でも関係者でも観客でも)に物理的な危害を与えたりする訳でもない、私に言わせて貰えれば普通の応援の範囲内なんですよね。

いつ入場して、いつ席を立つのも観客の自由だし、自分の好きな選手に声援を送るのも、バナー等で応援の意志を示すのも、お金を出してチケットを買った観客の当然の権利です。何も遠慮する必要はないと思います。
好きな選手を応援したいと思うから、高いチケットを買って遠路はるばる会場に足を運んでいるのです。
応援したいと思う選手には声援を送り、演技に感動すれば拍手喝采する。良いと思った演技に思うように点数が出なければ残念に思うし、逆に良い印象がないのに点数が高ければ疑問に思うのも、当たり前の事ではないでしょうか。

その「当たり前」の事を何か悪い事でもやってるように言われるのは、観客の反応がメディアの描いたシナリオ通りになってないからですか?と思っちゃうんですよ。つまり、業界主導による若手選手人気バクハツ☆プロジェクト(あくまで仮定)が当初の予定通りの成果を上げられていないという事なのかと。
元々の「男子シングル」の扱いの地味さからすれば現状でも十分だろうという気もするのですが、1月始まりのカレンダーが3月時点で売れ残ってるって事は、当初はもっと人気が出るものと予想されていたんじゃないかと思われます(年が明ければ売れなくなる商品だから、年内で売れる(と思われる)分しか刷らないだろうし)。

今のメディアの動きを見ていると、試合で勝った選手を持ち上げるというよりは、特定の選手をプッシュするために、試合に勝たせようとしているようにさえ見えます。
フィギュアスケートの競技会のはずが、スポーツタレントを売り出すための箔付けの手段として扱われているような。
そして今の状況は、人気を付けさせるために試合で勝たせようとして、そして実際に勝たせる(好成績を出させる)事には成功したのに、当初の目的である人気が思ったほど出ない…という事態に陥っているように思えます。だって、なんか…ト○タのF1がまさにそんな感じだったんですよね…(遠い目)。

でももしそうだとしたら、それってマーケティングのミスじゃありません?
F1だってみんな、トヨ○よりスーパーアグリを応援してたじゃないですか。何でも良いから勝てば良いって程、ファンの心理は単純なもんじゃないですよ…。

会場へ見に来るお客さんは、最初は特定の一選手がお目当てでも、試合で多数の選手を見ているうちに、第2・第3のお気に入りを見つけて掛け持ちで応援するようになります。テレビでやっていれば見るという人にとっては「突如彗星のように現れた驚異の新人」でも、会場に通うファンにとってはノービスやジュニアの頃から成長を楽しみに見守ってきたおなじみの顔だったりする訳です。

今回4大陸の会場に行って感じたのは、そういう「ゆるく」応援していた掛け持ち応援組が、若手選手から一気に離れたなという事でした。
昨シーズンの全日本の会場では、会場全体からわりとまんべんなく拍手や声援が送られていたけど、今回は熱狂的な一部のファンとそうでない人たちとの間に結構温度差があるように感じられました。

メディアの人たちにはそれが気に入らないのかも知れないけど、そうなった原因の(少なくとも)半分はあんたらにあるんだぞと私は言いたい。
何もなければ第1のお気に入り引退後第2・第3のお気に入りの応援に移行して行くはずのファンを、1人の選手を持ち上げるために他の選手を引き立て役扱いにする事でばっさり切り捨てる形になったんじゃないですか?

それともう一つ。
試合で結果を出して、ニュースなどで取り上げられる事は、多くの人に演技を見て貰えるきっかけに過ぎないと思うのです。
そうして演技を見た人を「ファン」として取り込むのは、演技そのものに魅力なんじゃないでしょうか。
順位と点数だけなら、ネットでニュースをチェックすれば分かります。
試合を観に行く観客は、点数ではなく演技を観に行くのです。

4大陸選手権。私の席はロングサイドのスタンド席、ほぼ最後列に近い場所でした。リンク全体を高い所から見下ろす位置で、ステップでターンする時のエッジの軌跡なんかが特によく見えました。
某日本人若手選手の場合、ステップのターンでエッジが弧を描く時の、滑らかじゃない感じが気になりました。微妙にエッジを引きずるようなぎこちなさを感じたんですね。あと、エッジを切り替えたり足を踏み変えたりする時に、一瞬躊躇うような、慎重になってるような微妙な間があるような気がする。
私は素人なので、評価のポイントとなるようなリンクの使い方だのステップの組み合わせだの上体の動きだのは正直よく分かりません。
でもぱっと見の印象として、微妙にもたついてて冴えない動きに感じました。故に、きれいだともかっこいいとも思えない。あくまで私の主観ですけど。

ただ、点数を見ると、ステップもスケーティングもシニアのトップレベルの点を貰ってるんですよ。
だからあれが、世界最高峰の技術的にも芸術的にも素晴らしきステップのはずなのです。
私にはどこがそうなのか分からないけど。

***

という訳で、もう一つの動きです。

全日本では、審判の出した点に対して「意図的に不満の意志を表明する」という意味での「ブーイング」は無かったと聞いています。実際映像でも確認できませんし、私自身、日本国内の試合でそのような観客の意思表示は見た事はありません。
他方、昨シーズン行われたニースでの世界選手権では、地元フランスの観客たちによる、そのような意志表示があったと聞いています。お国柄の差でしょうか。
私的には、観客が不満に思うなら、それをブーイングのような形で示すのも観客の権利だと思っています(自分がやる度胸はないけど)。

まして、そういうはっきりした意思表示ですらない、「何でそんな点が出るの?」という疑問の気持ちが自然に表に出る、観客の多くが同じ反応を示すことで微妙な空気になる…という事さえ非難されるようなら、それってほとんど言論統制に等しいんじゃないかと思ってしまった。
審判の出した点数に対して観客から疑問の声が上がっている。それを「一部の選手の悪質なファンによる暴走」と決めつける事で疑問を押し込めようとしているというか。
逆に言うとそれだけ今、審判に対する疑問の声が大きいという事かも知れないと思いました。
もしかすると私が思っている以上に今、審判に対する疑問の声が世界的に高くなっているのかも知れないと。

先日、田村岳斗コーチがブログで、自身の指導する宮原選手の世界ジュニア選手権での審判の判定に異を唱えた事がちょっとした話題になっていました。

今までもファンの側から採点に対する疑問の声は度々上がっていましたが、関係者や解説者は一貫して「審判の採点は正しい」というスタンスを取って来ました。
当然の事と思います。
専門家が審判への疑問を認めてしまう事は、素人が半端な知識で好き勝手な事を言うのを許してしまう事につながる。
それぞれの選手のファンが口々に「自分の贔屓選手は不当に低く採点されている、ライバルは不当に高く点を貰っている」と言い始めれば収まりがつかなくなってしまいます(ていうか私もその一人だ!)。
だから専門家と言われる立場の人は、多少疑問があっても飲み込んで、あくまでも採点は公正ですと言い張らなければ競技そのものの成立が危うくなる。
田村コーチもその事は重々承知の事だと思います。
それでも敢えてああいう事をブログで書いたというのは、よほど納得できかねる判定だったという事なのでしょう。
それもわかる気がします。
ファンの立場なら、採点や判定に疑問を感じても「面白くない」だけで実害はありません。
でも実際に選手を指導する立場のコーチにして見れば、正しく飛べているジャンプにエラーの判定を出されては、どう指導していいのか分からない。対策の取りようもないですもんね。

2002年ソルトレーク五輪の後で導入された新しい採点法は、実施された技(エレメンツ)に対して点が付く「客観的な」採点法というのが建前でした。
でも実際には、PCSもレベル判定もジャンプのエッジも回転不足もGOEも、審判の胸先三寸で如何様にも操作できるという事にみんな気付いてしまった。
そして恐ろしい事に、審判の判定が適切に行われているかどうかを第三者が監視するようなチェック機関がない(または、あっても正常に機能していない)という事も。
それどころか、審判への異議申し立てを無言の圧力で封殺するようなシステムになってしまっているようで、田村コーチも、自身が審判の判定に異を唱える事で、審判から報復される=宮原選手が試合で不利な採点をされる事を懸念していました。

で、結果的に試合の結果や点数が如何様にも操作可能な状態になってる事が色んな立場の人たちに利用され、選手やコーチたちが振り回されているような気がします。
取りあえず私の目には、色んな立場の人たちに混じってアスリートをスターシステムに乗せる事で儲けたい広告業界が乗っかってるように見えてます。

でも何だか今、飽和状態に近くなっているのも感じるんですよね。
こんな状態がこのまま続いたらその内どこかででっかいちゃぶ台がひっくり返るんちゃうんか、と思うのは私の考え過ぎなんでしょうか。

***

ここまで私がうだうだ書き散らして来たような事が、杞憂に終わればそれに越した事はないと思います。
世界選手権を初め、今後行われる全ての試合で、「大人の事情」に左右されない公正な審判が行われる事を願っております。