報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

【 ベトナム・コーヒー 】

2005年02月24日 19時38分02秒 | 写真:ベトナム

ベトナムでは、どこでもおいしいコーヒーが気軽に飲める。
個人的意見としては、現地の街角で飲むコーヒーの中では、
コロンビアについで二番目においしいと思っている。

ベトナムはコーヒー豆の大生産国で、
輸出高はブラジルについで世界第二位である。
ただ、酸味や渋みが強いロブスタ種であるため、
ブレンドコーヒーやインスタントの原料として使用されている。
残念ながら、「ベトナム・コーヒー」としては売られていない。
アラビカ種も生産されているが、生産量は少ない。

コーヒー栽培は、主にベトナムの中部高原地帯で行われている。
1980年代、外貨獲得の換金作物のひとつとして、
政府の勧告により、いわば強制的にはじまった。
しかし、ベトナムのコーヒー輸出高の急増とともに、
国際的なコーヒー豆の価格が暴落。
コーヒー栽培農家はわずかな収入しか期待できなくなった。
しかも、主穀の栽培ができなくなったため、
こうした地域で、たびたび飢餓が発生する事態もまねいた。

世界銀行とFAO(国連食料農業機関)の勧告に、
ベトナム政府が無思慮に従い、
食料自給自足政策を廃止した結果である。

おそらく、コーヒー輸入業者だけは暴利を得ているに違いない。