報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

(2)カンボジアの地雷

2005年02月04日 21時27分10秒 | ●カンボジアの地雷
 カンボジアの埋設地雷は約1000万個と推計されている。
 しかし、どこにいくつ埋まっているかわからないのが地雷だ。もともと推計することは不可能だと思う。1000万個という数字は、その深刻さをイメージするための尺度だと僕は考えている。地雷埋設のもっとも多い国はエジプトの2300万個だが、エジプトの地雷問題はほとんど耳にしない。
 地雷の脅威とは、その数だけにあるのではなく、生活環境と地雷との距離にあると言える。生活環境から遠く離れた地帯にあれば、事故の危険度は低い。しかし、地雷が生活環境の中に侵入していれば、これは大問題だ。カンボジアの地雷問題の深刻さは、まさにそこにある。
 国連の資料によると、カンボジアでは月に300人が地雷の被害に遭っている。

 支援と注目度は比例している。アメリカの「対テロ戦争」によって注目されたアフガニスタンには2億ドルの地雷撤去資金が投入されたが、深刻度で変わりのないカンボジアには1700万ドルしか投入されていない。
 1997年のICBL(地雷禁止国際キャンペーン)のノーベル平和賞受賞をピークに、地雷廃絶に対する国際的な関心は、年々低下している。ノーベル賞の受賞は一時的な地雷廃絶のブームを呼び起こし、巨額の資金が地雷廃絶団体に流入した。しかしそれがかえって地雷廃絶団体間の歩調の乱れや、疑心暗鬼を生じてしまったようだ。組織は巨大化するとあまりいい結果を生まない。
 地雷廃絶を取り巻く環境はあまり明るいとは言えない。