眠らない街

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将棋を教える~Fくんの場合~2回目

2009年04月26日 | 棋譜
4月18日、NEC将棋部の活動。
その後の打ち上げ(カラオケ)で、久々にFくんと指しました。

Tくん、Fくんの2人にもう1人Kくんという後輩がいて、この3人はほぼ同カテゴリ。会館道場で二段くらい。
それぞれに長所と短所があるけど、Fくんは攻めよりも受けが好きという点で、他の2人とは異なっています。
というより、強くなる過程で攻めよりも受けが好きということ自体が珍しい。
でもFくんの場合、ハッキリ言ってしまえば、受けを誤解しています。


第1図は、Fくんと私の対局から。
私が指した第1図の最終手△3五歩は、正しく指せば咎めることが出来ます。

第1図以下:▲4六銀(途中図)△5一角▲9九玉△3四飛▲6八角△4五歩▲3五銀△7四飛▲7七角(第2図)

▲4六銀(途中図)は正しい咎め方。

二段ぐらいでこの手を指せるあたり、Fくんは「それなりにやる将棋指し」と言えます。
以降の手順も全く自然。
だけど、第2図の▲7七角は凝り過ぎています。悪い手ではないけど・・・

第2図以下:△3三角▲同角成△同桂▲2二角△4二金▲1一角成△7六飛▲7七歩△7四飛▲6八銀(第3図)

第2図の▲7七角に△3三角は仕方ありません。▲2二角を打たれるのは承知していますが、それでも仕方ありません
以下の進行は大体こんなもの。
後手からすれば香損の代償は、先手の馬の働きの悪さ
だから、▲6六馬のように馬を引きつけられる展開だけは避けなくてはいけません。
第3図の最終手▲6八銀は、△5七角を受けた手ですが、こういう受けを思いつくあたりが、Fくんの個性と言えます。
良い手ではないけど、教える過程において個性は大事にしたい。
勿論、場当たり対応でなく、流れの中で3手の読みをした上での話。

第3図以下:△3四銀▲4四香△3二金▲3四銀△4四飛▲3三銀不成△4一飛▲2二銀成△7二銀▲2四歩△4六歩▲同歩△5四角▲2三歩成△2七歩▲4八飛△1一飛▲3二と△8四香▲7九銀(第4図)

第3図△3四銀に▲4四香の返し技で後手シビレてしまいました。
前述しましたが、後手は馬に活躍される展開だけは避けなくてはいけません。
だから銀、桂取られても、△3二金の方がチャンスがあります。
Fくんは、いくら私が相手と言っても、▲3三銀不成の局面では、簡単に逃さないと思ったはず。
しかし、Fくんからは、「何が急所なのか」「彼なりに考えた急所を実現させるという意思」が伝わってきません。
だから、まだ十分勝負になると思っています。
▲3三銀不成に△4一飛~△7二銀がちょっとしたテクニック。
▲2四歩では▲1二馬が一番嫌で、以下△2二金▲同馬となれば、▲6六馬コース。
こう指されていたら、負けを覚悟したかもしれません。

本譜△8四香でちょっと勝負の気配
ここで物量で受けられたら(▲7八銀△8七香成▲同銀△同角成▲7八金打~▲8七歩)、まだ足りません。
しかし、第4図の▲7九銀。これは・・・?


第4図以下、△8七香成▲6六桂△9八成香▲同飛△同角成▲同玉と進んだのですが、△8七香成を誘って、飛を捌いてしまう狙い。
先手玉は、角よりも飛の方に耐性があるとみています。
▲7九銀にはビックリしたけど、▲9八玉の局面が意外に難しいのに再度ビックリ。
多分、▲4三角までの局面が読みの括りだと思います。それなりに主張はしています。
こういう手順を編み出すのも個性。

ただ、結果的に▲4三角が難しくした要因かもしれません。△5四歩で意外に受けに役立ちません。
第4図からざーっと進んで、第5図。最終手の▲8七玉は、9八地点から上がったもの。

第5図から、難しい手順が続いたけど、Fくんが期待したであろう▲2一飛に対し、△7一金~△6一香で攻めがなくなってしまい、最後は圧勝になってしまいました。

さて、途中の局面を振り返ると、Fくんなりに個性を出しているけど、どうも場当たり的な感があります。
終局後、Fくんに言ったのは、
①何が急所なのか「それを実現させるための方針」をどこかで立てる
②シンプルに考える
の2点。

例えば、第2図の▲7七角。
悪い手ではないけど、Fくんが狙っているのは、体制勝ちであって、後手玉ではないように思えます。
後手玉に迫るなら、▲7七角よりも「破れる飛先は破っておく」の▲2四歩。
以下、△2四同歩▲同銀△7六飛▲2二歩△3三桂▲2一歩成~▲3一と~▲4一とのように、主張を1つに絞った方が分かり易い。
ここまで読めるかどうかは別ですが、Fくんは、▲2四歩には見向きもせずノータイムで▲7七角と上がった点が不満。
そして、玉に迫る一番シンプルで早い手を、読みの優先順位筆頭に持ってこない点も不満。

また、第3図の▲6八銀、第4図の▲7九銀、途中の▲4三角、第5図の▲8七玉についても個性があるものの、不満があります。
この4つはどれも受けの手ですが、冒頭で書いたように、Fくんは受けを誤解しています。
受けというのは「攻めのための時間稼ぎ」が第一なのです。

受けの手だけ指しても、玉に迫らないうちは勝ちになりません。
だから、受けは攻めを見据えてのものであり、「こういう攻めがしたいから○手稼ぐ」「こういう攻めがしたいから持駒の○は温存する」という意思が伝わって来て欲しいのです。
残念ながら、Fくんの受けからは、攻めの意思が伝わってきませんでした。

第3図▲6八銀の前に、▲2四歩を実現させるには。
第4図▲7九銀の前に、駒得を生かして見えない玉を作り上げればおしまい。
途中の▲4三角の前に、▲2一飛~▲6二金の余裕を得るには。
第5図の▲8七玉の前に、桂で王手をかけさせなければ・・・。

結局、将棋は攻めてナンボ
「攻めるための受け」ということを意識して欲しいなと思います。

NHK杯~ハッシー講座

2009年04月26日 | 将棋
橋本崇載七段の中村桃子女流2級のコンビで、受けを主眼においた講座が始まっています。
職団戦で、中村桃子女流が観戦に来ていたのを見つけた加藤幸男くんが、
「講座見て、受けを勉強させてもらってますよ」
と挨拶してました。

幸男くん、清水上くんに、
「ハッシーって受けの講座出来るの」
と聞いたら、
「橋本七段は、受け将棋ですよ!」
と幸男くん。
棋王戦(だったかな)で対戦経験のある幸男くんは、橋本七段の棋風をズバリ受けメインと断じていました。

今日、講座を見ました(ガーラ回避しました。今シーズン営業お疲れさまでした)が、中級者をターゲットにした良い講座でしたね。
将棋を教えている3人(Tくん、Fくん、Aちゃん)にも、是非見てもらいたいと思います。
また、中村桃子女流はカワイイし、声が通りと聞き取り易さがいいですね。
久々にヒットなアシスタントなのではないでしょうか。

今後も注目したいと思います。