laisser faire,laisser passer

人生は壮大なヒマつぶし。
楽しく気楽につぶして生きてます。

ザ・勉強会!

2016-08-24 | kabuki a Tokio

双蝶会@国立小劇場見てきました。
タイトル通り、全員「お勉強してます」感満載で、好感が持てました。お一人ゲストさんが突き抜けてお上手でしたがw

車引

例によって何やるのか知らずに出かけて行きました。よその人の筋書きで寺子屋という文字が見えてしまい、ちっ、と舌打ちしたのですが車引もやるとは、幕が開くまで知りませんでした。w

というわけでもちろん配役も知らなくて。

深編み笠の中の二人、ずっと米吉と歌昇だと思ってました。
米ちゃん、台詞が一応時代になってるなあ。でもなんかちっちゃい?背も盗めるようになったのか。
かしょくんはどうしてあんなに力むんだろう。荒事だからって見てて疲れるほど力むのはどうなのよ?

とか思ってたら

笠取ったら私の梅丸くんと私のノスケちゃんじゃないですかっっw

そもそもこの会に来よう!と決心したきっかけが梅丸出演だったことをこの瞬間に思い出しました。遅すぎですw

こんな私ですから。顔見たとたんに一気に評価が甘くなります。
いや、好きな役者だからというわけではなくて(それもある)、米歌コンビと梅種コンビでは年齢もキャリアもまったく違うわけでして。

梅丸くんは声がまだ時々裏返るけど、台詞回しはきっちりしていて本当に基礎ができてる印象。
見た目は、顔が小さくて(ウタタネ兄弟と比べると本当に小さい)隈ののりがいまいち。素顔がいちばんきれいという歌舞伎役者としてはちょいと残念な状況ですが。そのうち顔もうまくなるでしょう。

種之助は・・・たしかに力みすぎで笑っちゃうのですが、ノスケにとってはほぼ初めて?の荒事の大役ですから、これくらい力んでもいいんじゃないかなあ。あれじゃ25日続けたら確実にのどやられちゃうぞ、という発声は、おいおい播磨屋さんに直してもらってください。

車引、そうなると松王がかしょくんなのね、と思ったらその通りでしたw
さすがに、一日の長 、出てきたら安心した。
発声も所作も安定しています。松王にしては柄がちっちゃいのはいかんともしがたい。
彼は播磨屋さんを目指すより、天王寺屋とか大和屋さんの荒事をもう少し勉強したほうがいいのかも。
柄が小さくてもちゃんと大きく見える役者さんたちでしたから。

杉王がたぶん竹松君。筋書きすてちゃったから違ったらごめんなさい。
時平に父さんか伯父さんがつきあうのかと思ってたら又之助さんでこれまたびっくり。親ばかじゃないんだなあ。

 

寺子屋

 

今度こそ米ちゃんが千代で源蔵がノスケちゃん、松王はそのままかしょくんで・・・あれ?戸浪はだれ?と悩んでしまいました。
結局お昼休み中に同行の友人にヒントをもらって、ああ、ここでゲストか!(いや、年代的には同世代の勉強会仲間なのかな?)と納得。
たしかに米ちゃんの千代は荷が重すぎるw

というわけで、千代の梅枝くん。やはりゲストでしたw
ほかの三人と比べると圧倒的に巧い。そこだけ歌舞伎座。
巧ければ感動するかというと、そうでもないのが歌舞伎の妙味でして。。。
音の会の京蔵さんの時に思ったのと同じような感じ。アンサンブルの中でちょい浮いてる。物語に感動する前に彼の台詞に感心してしまう、というのは、ちょっとどうなんだろう? 

私がいちばん感動したのは、まったく別のあるシーンでした。そのシーンについては後述するとして。

かしょくん松王はいろいろ物足りなかったかな。技術的には問題ないのですけれど、習った通りにやるので手一杯という優等生芝居そのもので。 それ以上でもそれ以下でもない。勉強会だから合格点なのかもしれないけど、彼のキャリアからしたら、もう少し突き抜けてくれてもいいかなあ、と。

米ちゃんの戸浪、これが意外に(失礼)よかったのですね。研の会のおかるに続いての丸本物の大役、両方に感じたのは、決して巧くないんだけど、役の本性をつかむのが巧いんだなあということ。おかるちゃんって、戸浪ちゃんって、こんな子だったんだろうなあと思わず思ってしまう。若いが故の強みかもしれないけれど、妙にリアルなのよね。これに技術が加われば「きれいなだけ」なんてことはすぐなくなると思う。

そして、そして。いろいろな意味で問題の種之助。

本当、へったくそw
声はうわずってるし、所作ぐだぐだだし。
(あ、へったくそ!というのはあくまで最低基準以上をクリアした上での愛情ある罵詈なので、誤解しないでね。一応丸本物の定石はできてます)

へたくそは大嫌いのはずの私がなぜノスケくんに惹かれるか、去年の船弁慶のころからうっすらわかってはいたのですが今回、再確認できました。

この子、いいか悪いか知らないけど、自覚してか無自覚にかもわからないけど、オリジナルなんだよなあ。

去年の感情あふれすぎの静に引き続き、今年もやってくれましたw

首実検が終わり、菅秀才の無事を確認したとき、ノスケちゃんてば、菅秀才を抱きしめちゃってたんだよね。これ、だめでしょ普通w
型としても、当時の身分制の中で生きてた人としても、主君の子供を抱きしめるなんて絶対してはならないこと。
だけど、やった!救われた!切羽詰まった苦境を切り抜けた中で、ああよかった!という気持ちで抱きしめるっていうのは、現代的な感覚としてはとてもわかる。
現代人wの私も、そこで涙がどばーーーーっと。で、涙が引いたあとで、「こりゃ禁じ手ちゃうんか」と冷静に判断した。 

さて、この「主君の子供を抱きしめちゃう」オリジナリティ、播磨屋のおじさま公認なのか、この日限定の「やっちまった」行為で後で厳しくしかられたのか、は永遠の謎ですが、まあ、知りたくもないかな。本人、いつの日か本公演でやるときは、きっとしないと思うので。
つまり公認だったとしても、君たちの勉強会なんだから、やりたいようにやってごらん!って話だと思うから。

 

…それ以外にも、首を差し出せ、と詰め寄られての「…お待ちくだされ」の胸が苦しくなるようなトーンとか、2.3カ所で本当にびっくりするような芝居をするんだよねぇノスケくんてば。

このテンション、にいさんはもちろん、なかなか同世代の役者で持ってる人は少ないと思うので、やはり今後とも注目せざるをえない逸材だと思う。

なので、来年の双蝶会はゲストが誰であれ、絶対見逃さないようにしよう。 

 

 

 


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