11/17 Tue. [クラちゃんの起床時刻 7:15 AM ]
◇ 行政視察報告「福島市の 子どもハートサポート事業・小中連携・職場体験」について
先日、会派で福島市の行政視察を行いましたので、その結果についてご報告させていただきます。
・福島市視察(福島市教育委員会 学校教育課)
【自治体データ】 面積:約768k㎡ 人口:約29万5千人
財政規模(一般会計支出 )約850億円
・福島市「子どもはーとサポート事業」(福島市教育委員会 学校教育課)
福島市は、いじめが起因した子どもの自殺の発生(H18 福島市で26件)を契機に、小学校の教育相談の充実を図りました。
また、不登校については「今後の不登校への対応の在り方について」の報告(H15)で、
①学校生活上での基本的な課題が多く、早期の対応が効果的
②中学校での不登校が大幅に増加することから、小・中連携を推進する配慮が重要
とされました。
このような状況に具体的に対応するため、福島市では、小学校に相談員を設置する「子どもハート・サポート事業」を、平成19年度から立ち上げ、不登校やいじめ、問題行動の未然防止や早期発見および即時対応を図ることとしました。
福島市内の全51校について、4校を1グループとし、そこに1名の相談員を配置します。
・相談員は、教育委員会が、退職者や青少年団体指導者などを中心に、地域の人材の中から事業の趣旨を理解し、子どもや保護者に寄り添い、積極的に取り組む意欲のある方を人選する、とされており、教職員OB、養護職員OB、また警察官OBが就いたグループもあります。
・人件費は、県事業のため福島県が負担し、年間約75万円/人 が支給されます。
・勤務体制は、1グループあたり週4日で35週、1回あたり6時間の勤務とします。
・相談内容は、学校での「いじめ」などの友だち関係、親子関係、身体に係る相談など多岐に亘っています。
相談員は、それぞれの経験を活かして任務にあたり、例えば警察官OBは、いじめの存在を認めると間に入って「仲直り」の仲立ちをしたり、また養護教員OBは、児童の話し相手など、ソフト面で児童と向き合うなどします。
その結果、相談員配置の成果は、いじめの数に顕著に表れました。
福島市のいじめ件数、平成18年に56件あったものが、平成20年には38件に減少したとのこと、教職員に加えた相談員の存在が、早期発見、早期解決につながっていることが裏付けられた形です。
ただ1点、私が気になり質問させていただいたのは「学校職員(特に担任の先生)との連携はどうなっているのか?」という点です。
「担任の先生」は、いわば、そのクラスの「トップ」であり、それなりの自負心をもって教職に当たっておられます。そんな中で、とりわけ「いじめ」などのトラブルと言える件について、相談員と連携するのは、よほどの信頼関係がないと難しいのでは・・・と思ったところです。
それに対し、学校教育課の職員は大きくうなづき「確かに、学校、とりわけ低学年のクラスは「学級王国」ともいわれ、担任の先生が絶対である、という風潮があります。そこで福島市では、その点について、研修会を実施したり、相談員と関係学校との協議の場を設けるなどして、双方に「壁」や「溝」ができないよう配慮している、とのことでした。
この福島市の事業は、県事業を活用し、小学校に外部の相談員を配置することでいじめなどの課題を、早期に、しかも客観的な視点で解決することに大きな成果を挙げています。
長野市においては、課題の解決は、あくまで教職員間での裁量にとどめられており、視点が限られてしまってり、最終的に教職員の負担が増してしまい、悪循環に陥りかねない状況下にあります。
また、この手の事業は「学校との連携・理解度の伸張」が不可欠なことから、長野市の教育委員会や学校関係者においては、より柔軟な感性を持つこと・・・最終目標は、子どもが元気に学校生活を送れる環境を整えることですので、学校・行政・地域の人材が相互補完しながら児童を総合的に支える体制づくりを行うことが何より大切ではないか、と感じたところです。
・「小中連携」について
福島市では、義務教育課程にあたる小~中の9年間を一貫・継続した学びの機会と捉え、また中学校入学直後に不登校が顕著になる「中一ギャップ」を防ぐため、小中学校の連携を基盤とした教育の推進に取り組んでいます。
テーマを「小中連携 4つのアクション」とし、
1、各中学校区における子どもの姿の共有化と具現化
・全児童生徒の実態調査
・共通課題の明確化と解決策の設定
2,学習指導や生徒指導における、小中の教員同士の実効ある連携
・指導の連続性、適時性
・生徒指導のなめらかな移行
3,豊かな人間性を育む交流活動の推進
・学科、総合学習、学校行事での交流・体験
・小規模校と中・大規模校の交流
・地域社会との交流
4,家庭や地域の教育力を活かした実効性ある連携
・児童生徒の暮らす地域の基盤整備
・地域社会全体で子どもを育て、見守る体制づくり
を掲げ、各アクションごとに取り組みを強めています。
肝心なことは、地域教育を一連の「流れ」と捉え、小学校の段階で途切れないよう、学校、地域、家庭が同じ認識をもって子どもに対峙していることだと感じました。
・「職場体験」について
福島市教育委員会では「~青春の助走~ 地域に学ぶ中学校体験活動」を大々的に実施しており、市内の全中三生を対象に、5日間に亘る職業体験を行っています。
視察の中では、地元TV局が放映したビデオを観せていただきました。
接客業や農業など、大人の仕事を本番さながらに体験し、僅か5日間ですが、着実に成長する生徒の姿が流され、それだけで事業の持つ意義が伝わってきました。
ここで感心したのが「受け入れ側の事業者の包容力」です。
役所からの依頼で、おざなりに5日間ただ置いておくだけでなく、親身になって仕事を〝仕込み〟厳しく優しく社会の有様(ありよう)を大人から子どもへと伝播します。
地域が子どもの将来を支える、心温まる事業でもありました。
福島市の視察は、地域の人材を、イイ意味で〝巻き込む〟ことの実効性・重要性を学べた、実り多き内容でした。
視察終了後、議場を見学させていただき、全員写真を撮りました。
そこで私がおもむろに「三脚」を取り出しセルフタイマーをセット、担当書記の方にもファインダーに入っていただきました。
当初、シャッターを切るつもりだけだった書記官氏は、やや戸惑い気味で「長年議会事務局に勤めていますが、一緒に写真に入れと言われたのは初めてです ^^;」と照れておられました。
市民の皆さんと一体政治をめざす政信会、書記官の方だって一緒ですよネ(^^)