長野市役所第一庁舎・長野市民会館建て替え問題について、その是非を問う住民投票を行う条例制定を求める直接請求が、市民グループから2万4千名以上の署名をもって提出され、長野市議会の遡上に上(のぼ)ることとなりました。
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私は、今回の問題について、さきに在席した市議の頃から「市民意見を十分に聴取すべき」とのスタンスに立ち、これまでの経過を踏まえつつも、社会情勢の変化を見定め市民意見に耳を傾けて、将来に禍根を遺さないよう慎重にことを進めるべき、としてきました。
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そのうえで、今回の両施設の建て替え問題は〝一緒くた〟にお膳に載せるのではなく、別々に議論すべき、とも申し上げておりました。
そもそも、市役所庁舎と市民会館は、その役割が異なっています。
今回の計画は、市役所第一庁舎の建て替えに端を発し、その工事の効率性をもって「この際 市民会館も…」という〝玉突き式〟となった経緯もありました。
しかし、ここは、本来の「各施設の異なる役割」に鑑み、それぞれの施設の重要性・建て替えの緊急性をもって別々に議論すべき、と考えるところです。
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私は(これまでも申しているとおり)市役所第一庁舎は、さきの震災の影響などもあり建て替え止むなし、市民会館については緊急性が薄いことから性急にことを進めず、将来の少子化や現有施設のさらなる有効活用を踏まえたうえで時間をかけて議論すべき、それよりも学校などの公共施設の耐震化などを優先すべき、と考えています。
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すなわち、もし住民投票を行うなら、市役所第一庁舎の建て替え・市民会館の建て替えを別々に市民に問う形にすることが望ましいと考えていました。
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今回、市民グループは、両施設を一緒のものとして捉え、その建て替えの是非を問う、としていましたが、その一方で、提出条例案の修正にも応じるともしていましたので、ある意味での「歩み寄り策」として両施設の建て替えを別々に市民に問う方向にもっていければ・・・と思っていたところです。
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その、私の思いが通じたのか・・・この度、住民投票条例案の上程にあたり、一部の現職市議が「両施設の建て替えについて、個別に住民投票を行う」という修正案を提出することが報じられ、私としても賛意を表するところです。
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今後の展開は…最大会派が「端(はな)から」住民投票そのものに反対、という態度でいるため、この議会での可決は難しい状況ですが、今回、署名となって表された〝市民の「生きた声」〟が何らかの形で反映されることを願って止まないところです。
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(以前も触れましたが)政治・・・とりわけ住民生活に身近な地方政治は、これまでの「良きにはからえ」的な無関心なものから大きく変化してきています。
市民の地方政治に対する関心は昂まり、それは「声なき声」として脈々と息づいていることを、行政に携わる者も、地方議会に携わる者も、感じ取る「アンテナ」を持たなければならないと思います。
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今回、2万4千超もの署名が集まったことを、市も市議会も真摯に受け止めなければなりません。
この署名の結果こそが「声なき声」の集積であり、このことを無視…何というか、斜め読みしたあげく 丸めてゴミ箱に捨てるような扱いをもっての行政運営は、それこそ将来に禍根を遺すことになることは自明でしょう。
長野市政に関わる全ての者が、この「声なき声」…この大きなエネルギーをどう今後の行政に活かしていくか、と考えるべきでしょう。
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にも拘わらず「今までこうだったから」とかの〝踏襲型政治〟を続けていれば、今回のことだけに止まらず、やがて市民は市政に背中を向けてしまうことになりかねないと思います。
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・・・。
これまでの長野市政は「オリンピック招致」を大命題とし、市と市議会が一体となって取り組んできました。
それはそれで大きな成果を収めたのですが、問題なのは、その「一体化」が、今になっても継続されており、是々非々にはほど遠い「市=最大会派」の〝談合体質〟が未だに踏襲されていることが、まさに時代に合わなくなっており、もっといえば、今の長野市政の最大の弊害になっているのです。
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今回の件は、残念ながら今の現職議員の間で採決されてしまうところですが、今後の市政運営にあたっては、市民感覚の変化(=成長)を踏まえ、私とすれば多様な市民意識が市政に反映できるよう、是々非々をもって取り組んでいきたいと改めて思いをいたすところです。
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市民の皆さんにおかれても、今回の件で各議員がどのような意志を表ずるのか、すなわち各議員が、市民の方を向いているか、オ役所の方を向いているか…をチェックし、もって来る市議選の〝争点〟にしていただきたいと存じます。
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単なる〝地縁・血縁〟だけで票を入れる時代ではない、と思うところです。
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