よりによって元日に起きてしまった「令和6年能登半島地震」は、日を追うごとに新たな また改めての課題(問題)の数々を 私たちの喉元に突きつけることとなっています。
私たちは、それら課題(問題)に触れるたびに思慮・思考を迫られるところですが、これらは一朝一夕に解決できるものでも無いことから 現地(被災地)の方々と思いを一(いつ)にする中で、やはり悩みを深めるところであります。
この日もまた、新たな課題(問題)を認識させらることになっています。
◇いわゆる「災害弱者」たる被災者の方々への対応の遅れ
20日の報道で、被災地における「福祉避難所」の開設が 想定の2割に止(とど)まっている実態が明らかになり、障がい者や高齢者など いわゆる「災害弱者」の方々への支援が、実質 滞(とどこお)ってしまっていることに慚愧(ざんき)の念を深めるところです。
報道によると、地震被害の大きい石川県内の7市町で 障がい者や高齢者ら配慮が必要な人たちを災害時に受け入れる「福祉避難所」の開設が、想定の2割に止(とど)まっていることが 20日の共同通信による集計で分かったとのこと。
開設する予定だった福祉施設そのものが損壊・断水しているほか、施設の職員自身も被災・避難を余儀なくされ人手が無いなど、設備と人との〝ダブルの不足〟が生じているのが主要因です。
このことについては 1/15付に本ブログでも触れていますが、私自身 昨今の社会状況(情勢)をみたときに、かかる「福祉避難所」の役割は非常に大きくなっていると認識する中で 現下の能登エリアの現状については非常に憂慮の念を深めている一人です。
「福祉避難所」とは、災害時において 障がい者・高齢者 さらに乳幼児や妊産婦等の要配慮者のうち、一般の避難所では生活が困難と判断される方々が安心・安全に避難生活が出来るよう、必要に応じて開設される避難所です。
各自治体においては、域内の福祉施設等を福祉避難所として指定し イザというときにはそこへ避難していただくこととなっています。いわゆる「二次避難」のシミレーションです。
[参考]長野市の福祉避難所について
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現下の避難のシミレーションにおいては、被災された方々は 一旦近在の避難所に避難していただき、そこで 保健師などの関係者の判断により「福祉避難所」へ移動していただくこと(二次避難)になっています。
私は この〝二重手続き〟自体がいかがなものかと思っているところではありますが、それを別にしても いま現在の能登エリアにおける避難所の状況は〝受け皿自体が2割しか稼働していない〟とのこと…これでは災害弱者への適切な支援が充足されることは至難であり、現地の窮状はいかばかりかと思うところです。
一方で、支援の対象となる いわゆる災害弱者の方々においても、避難についての課題を抱えておられることが伝えられています。
現在 主たる被災地となっている石川県においては、被災者に対し 近在で被災に無い場所の宿泊施設等へ一時的に移っていただく「二次避難」を促していますが、それに応じる被災者が全体の2割程度しか無いとのこと。
そこには、住み慣れた場所を たとえ一時的でも離れたくないとの情緒や、家財の管理(盗難)の心配 また仕事やペット問題などの抜き差しならない要件があるとのことですが、他方 これは心療内科的な視点で「リロケーションダメージ」への懸念(心配)があるそうです。
「リロケーションダメージ」とは、急激な環境変化に適応できずに 心身に不調をきたす状態のことです。
高齢者においては 慣れ親しんだ田舎暮らしから施設などの異環境に移ることで、それが認知症やうつ病の引き金となってしまう。
また 障がい者においては(異環境に移ることで)パニック障害や自傷行為など、デリケートな日常生活に大きな支障を来(きた)してしまうことになることがあるそうなのです。
現場の中継では、障がい者の方々が行き場を失ない 壊れ傾いた状態の施設に留まっている様子が伝えられ、心を痛めたところでありました。
(ただ このことについては、二次避難所の損壊とは別に 障がい者さんらの他への適応にそもそもの課題があることも また現状ですが)
このように、今回の「令和6年能登半島地震」においては 最も手を差し伸べるべき「震災弱者」に対する支援が、その大義と裏はらに遅滞していることがクローズアップされることになっています。
そのうえで今回の震災は 今までの災害とまた違った難儀さを有していること、社会インフラの破断により避難生活も長期化の様相となっていることから、前掲の災害弱者支援は 今後なお一層顕著になってくることが憂慮されます。
また 他々方、特に福祉人材の不足に鑑み 周辺自治体の福祉職員を派遣する動きがありますが、ただでさえ慢性的に不足する人員を動かすことは 派遣する域内の人材不足を招くことにもなり、そこに抜本的な問題も感じさせられています。
こういう〝イザというとき〟に、わが国の介護・福祉の悪しき(慢性的な不足)状況を再認識せざるを得ないところです。
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これまでも触れているとおり、災害からは避難できたものの その後の状況によっては「災害関連死」に陥る人たちが出ることが憂慮されています。
そんな中「福祉避難所」の未達状態は、今後の被災者支援の行方にとって大きな不安材料でありましょう。
このままの推移のうちに 支援を受ける人も支援する人も〝共倒れ〟にならぬよう、自治体任せで無く 所管省(厚労省)の早期のテコ入れが求められるところです。