コロナ禍「第7波」が止まりません。
19日には全国で26万人を超え(261,029人)過去最多を更新、長野県でも3,649人と過去最多・長野市でも実に813人を記録するに至ってしまいました。
この コロナ禍の影響は、感染者の健康被害をはじめ 家族など周辺の人への感染、さらには 感染拡大に伴う社会経済活動への悪影響など、多方面に亘り〝コロナ惨禍〟が及ぼされることとなっています。
そんな中、18日の信濃毎日新聞の社説に「コロナ下の自殺 助けを求められる社会に」が掲載され、私も実感する コロナ禍の多様化を極める社会的影響について共感させられたところです。
記事(社説)は、コロナ禍の下で いわゆる若い女性の自殺が増加傾向にあり、そこに「働く女性」が追いつめられていることが改めて浮き彫りになった実態が見える、と述べています。。
東京大の調査チームによると、2020年3月から今年6月までに自殺した人が これまでより8千人余り増えたとのこと。
その中で とりわけ目立つのが「20代女性の増加」だそうです。
20代全体で年代別で最多の1,800人余り増え、さらに女性はその6割/1,100人近くに上ったとのことでありました。
政府の統計では、自殺者は2020年に2万1,000人余りと11年ぶりに増加に転じ、2021年も横ばいでした。
問題は その内訳で、(自殺した)男性の数は減る一方 女性の自殺が大幅に増えていることです。
で、この要因の大きな一つとして「コロナ禍の影響」があるのではないか、というものです。
その背景には、いわゆる若い それも単身(独身)の女性が置かれる厳しい社会環境にあるようです。
〝非正規(パート等)〟で働く女性は 今や1,400万人を超え、650万人余の男性を大きく上回っています。とりわけ、コロナ禍の直撃をまともに受けた「飲食業」や「宿泊業」は 女性の働き手が6割近くを占め、しかも その大半が〝非正規〟です。
〝非正規〟の女性の賃金はもともと低く、単身(独身)だと 貯金などの蓄えをする余裕もありません。ただでさえギリギリの生活が、コロナ禍の影響による解雇・雇い止め等による減収で立ちゆかなくなってしまっています。
このこと(コロナ禍)に際し 政府は、生活資金を貸し付ける特例制度や 限度額に達した世帯への給付金制度を設けたものの、どれも場当たりの域を出ず…「支援」とはいうものの 最終的には借金で当座を凌(しの)ぐよう促し、最終的には「自己責任」に依(よ)らざるを得ないのが現状でありました。
一方、国をはじめとする行政の支援の手は「子育て世帯」に特化され、そこへの給付金は〝プッシュ型〟として積極的に実施されたものの、(前掲の)単身女性に目を向けた支援策は無いに等しかったのが実際のところでした。この いわば偏(かたよ)った支援策が、20代女性の自殺増加の要因となっていたことは否定できないところです。
さらに、日本国民の〝最後の拠所(よりどころ)である「生活保護」は、実際には躊躇(ためら)いなく利用できる制度になっていないのが実態です。
現行制度(基準)では「親族への扶養照会」が(支給の)障壁となっており、それを改めて柔軟に支給が行なえるよう厚生労働省は通知したとのことですが、未だに(親族照会を)強行する自治体が少なからずあるとのこと。
特に若い年代の方々は かつて利用者が非難を浴びた生活保護バッシングが尾を引くなどして、自身が困窮を極めても 利用(申請)を拒む人は依然多いそうです。
生活保護を受給するのは「生きる権利」であることを改めて周知し、利用を働きかける必要があると紙面は述べていました。
社説は最後に「命を守る安全網となるのは 制度だけではない。困窮し 寄る辺ない人が「助けて」と声を上げられる地域・社会をどう構築してゆくか。明らかになった実態を踏まえ、身近で苦しんでいる人を見過ごさないために 一人一人ができることを考えたい。」と結んでいました。
コロナ禍の中で極まる不安感と孤独感…その寂寥感(せきりょうかん)はいかばかりかと拝察するところです。
一度(ひとたび)コロナに罹患すれば、身体が不調に陥ると同時に その身体状況の如何に関わらず仕事を休まなければならない。
(コロナに)罹患したことで、他者や職場に迷惑をかけたとの えも知れない罪悪感に苛(さいな)まれ、さらに休職中は(非正規ゆえに)収入の一切が途絶え 一時的とはいえ生活困窮に陥る。
しかも コロナ感染症ゆえに、帰省や友人宅などに頼ることもできず アパートの一室で体調不全を抱えながら、独り悶々と過ごすを余儀なくされる…こんな状況において「元気出せ」というのは 無理難題としか言いようはありません。
また たとえ自身は感染していないとしても、コロナ禍に伴う行動制限により 他者との交流が著しく制限されてしまい、悩みを打ち明けたり慰め合ったりする機会も無くなり 孤独感・孤立感に拍車がかかってしまう実態もあります。
さらに問題なのが、彼女(若い世代の単身女性)らが 救済制度の隙間からこぼれ落ちていることでありましょう。
前掲のとおり、子育て世代でもなく 生活保護対象にもならず、ひたすら自助努力によって 細腕のままに急場を凌(しの)がなければならない実態は、過酷以外の何ものでもありません。
今回の「自殺者のうち 若い単身女性数が急増」の実態は、今のコロナ禍(対応)の抱える根本的な課題や矛盾点を浮き彫りにするものでありました。
そんな、社会の狭間(はざま)で光の当たらない人たちに 如何(いか)に光を当ててゆくか…これからの政治(行政)がいかにあるべきか…が問われるような論説でありました。
前途有為な若い世代が、こんなこと(コロナ禍)で自棄(じき)に至る実態は 如何にかしなければなりません。
◇長野市コロナ報告
8月20日(土)、長野市内で新たなコロナ陽性感染者の発生が報告されています。
8/20日(土) 長野市におけるコロナ感染症の発生(655人/市32091~32745例)について
[PDFファイル]
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https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/753300.pdf