倉野立人のブログです。

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長野市災害公営住宅美濃和田団地を内覧 ~住民生活の「真の復興」を~

2021-11-28 | 日記

去る日、長野市豊野町に建設された「災害公営住宅美濃和田団地」の内覧が行なわれ 足を運びました。

 

 

 

この団地は、さきの「令和元年東日本台風」で被災し、その影響で自力での住宅再建が困難となってしまった方々(世帯)に対し、その後の生活を取り戻していただくことを目的に建設(整備)されたものです。

公募型プロポーザル方式(買取型)で整備(買取価格:16億9,664万円)され、全73戸と「みんなの家(集会所)」等を備えています。

 

 

 

場所は、さきの災害で大規模に被災し 解体撤去された「(旧)美濃和田団地」の跡地に整備されています。

 

 

 

住宅(建屋)は、道路を挟んだ2棟から成っています。

 

 

 

さきの大災害を経たうえでの公営住宅ということで、住宅設備の他 受水槽の嵩上げ・かまどベンチ・雨水貯留槽・太陽光パネル・マンホールトイレなどのさまざまな付随設備(装置)が設(しつら)えられています。

 

 

 

この団地(被災者公営住宅)では、特に「水害」に対する対応策(設備)が特筆されています。

さきの東日本台風災害においては 一段 低くなっていた場所に浸水した経過があったことから、新たな団地においては、その分を嵩上(かさあ)げし さきの災害と同程度の浸水があったとしても 床上浸水を免(まぬが)れることができるよう高さ設計されているとのこと。

 

 

 

さらに 最悪の事態をも想定し、例えば 千曲川破堤による最大の浸水が発生した際には、建物内で「垂直避難」が行なえるよう、建屋の屋上を「一次避難場所」とすることとし、そのためのスペースを確保していました。

 

 

 

 

入居いただく間取りは、1DK/24戸・2DK/33戸・2LDK/4戸・3DK/4戸となっています。

 

 

 

各部屋とも シンプルかつコンパクトな造りとなっており、いわゆる居住性重視となっていました。

 

 

 

南側の窓は日当たりも良く、明るい陽光が差し込んでいました。

 

 

 

また この団地には、入居者さんやボランティアさんらが集える「みんなの家」が設置されています。

 

 

 

共に大きな災害を被(こうむ)った者同士が、ときに交流し ときにボランティアさんを交えてさまざまな活動を行なうための拠(よりどころ)としての「みんなの家」は、入居者の方々の孤立防止などの面で有効活用されることが期待されるところです。

 

 

 

今回の被災者公営住宅の竣工により、さきの台風で被災した方々の住まいは ひととおり整備されることとなります。

が しかし、とりわけ大きな被害を受けた 千曲川破堤エリア(長沼・豊野地域)においては、これをもって〝解決〟というワケにはゆかないのが実際のところです。

特に 多くの住宅が流失した長沼地区においては、その後の住民の回帰がままならない状況にあり、そのうえで かかる被災者公営住宅が豊野エリアに建設されたことで、もともと長沼地区に住んでいた方々(自力再建困難世帯)も この住宅(豊野)に居住するを余儀なくされ、もって長沼地区の〝空洞化〟は ますます進むことになってしまいます。

このことについては「長沼地区にも被災者住宅を!」との地元要望が出され 議会でもその声に応えるべきとの意見が出されましたが、さまざまな経過を経て 最終的に同団地に住んでいただくこととなりました。

残念ながら この措置は「長沼地区で再びコミュニティーの活性化を進めます」と述べていた市の方針(前市長の公約)と矛盾することとなってしまうことから、今回「美濃和田団地」を(豊野エリアに)整備し そこに長沼地区の住民の方々にも住んでいただくことを選択した長野市が、どのように長沼地区のコミュニティーの再興を行なってゆくのか その行政手腕が問われることとなってまいりました。

 

いわんや 今回の「被災者公営住宅美濃和田団地事業」は、被災地の真の復興に向け、新たな課題を供出したことにもなることから、私たち関係者は 新たな団地ができたことで課題を満了とせず、いわば〝復興の第2ラウンド〟と捉え 真の被災地の復興に向け如何(いか)にすべきかを改めて考えるべきときを迎えたと強く認識するところであります。

 

いずれにしても 市民生活にとって「住(じゅう)」は 非常に重要な要件であることから、被災者の方々には 取りもなおさず新たな住まいで落ち着いた日常を取り戻していただくことを願うと同時に、私とすれば かかる状況の中で被災地のコミュニティーの再興(醸成)をどのように実現するか、改めて議論してまいりたいと改めて思いをいたしたところです。