要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

損益分岐点使ってますか?

2010-11-04 09:38:22 | 投資日記
著名投資家は10年後の企業をイメージして投資するそうです。これは結構有意義だと思います。で、個人投資家もこれに近い事を損益分岐点の分析を通して行う事が可能ではないかと思うのです。

で、投資家にとって肝となるのは、静的な損益分岐点分析ではなく、より動的な、ダイナミックな形での分析ではないかと思うのです。簡単に言えば、現在の損益分岐点から、今後十年間で起きると思われる事象を想像しながら、コスト要因や付加価値要因を今の損益表上で加減していく、と言うものです。

損益分岐点の構成要因は主に5つです。販売数量、販売単価、仕入、固定費(減価償却費、人件費、経費諸々)。利益はこれらの要因の絶妙なコンビネーションから生まれています。逆に言えば、これらの要因次第で今後の利益は決定してしまうと言う事。であれば、現在の利益構造に創造力を加味して未来の利益を描けばいい、と言う事で、まぁ、前置きが長くなりましたが損益分岐点分析を私は実践しています。とはいっても、ちょこちょこ数字をいじってシミュレーションしているだけですけどね。イメージとしては下記のような感じです。



これは自転車屋のアサヒの損益分岐点分析です。


これらの分析に絶対的な正解は無いですし、正確さもそんなにあるわけじゃありません。

でもまぁ、手軽で、そこそこの精度で分析できるので有用じゃないかと思うのです。因みに上記グラフの想定内容は下記の通りです。

今後10年で人々が自転車に乗らなくなり、販売数量は15%低下。中国にファブレスでチャリンコ委託製造しているんだけど、いつまでも中国人を安く雇う事は出来ないので(彼らも高度化してくるし、人民元もあがるし)、仕入値は10%程度高くなると予想。しかしながら、販売価格には転嫁できず現状維持。人件費も温和な日本的経営の為削減できず(と言うか既にかなり安月給なのでこれ以上下げられないとして)現状維持。そこで得られた数字は、想定営業利益率2.6%。現在の営業利益率が8割ほど下がる。

と、まぁ、こんな感じです。実際の所、売上の低下と共に低稼働な社員を切れば利益は回復しますし、仕入も中国から東南アジア等に切り替えれば、まぁ何とかなるでしょう。数量もそんなに減らないと思います。あくまで上記は勝手な予想です。でも、簡単でしょ?

ただ、残念ながら複数の事業スキームを会社が抱えていると、その時点でこの分析の意義は勢いよく劣化します。薄利多売ビジネスと箱モノビジネスを組み合わせた企業はもう分析不可能です。なので後は相当分をディスカウントして計算するしかありません。

後、昨日これを読みました。マトリックス会計。正直に、スゲぇなと思います。特に戦略的に財務を分析する際はこの本にかかれているような1元管理されたシートが必要だと思ってます、まぁ、私自身は経営者では無いのでこれを応用する機会はあまりありませんが、投資家として、これに近いモノをカスタマイズして使う事はかなり有意義だと思います。著者が開発したマネジメントゲームなんかも面白そうです。

ただ、このマトリックス会計が会計の主流になる日は今の所無いでしょう。少なくとも財務3表を読める人にはあんまり有用性はないかもしれません。それに税法や会計も既にスタンダードが確立してしまっているので、いまさらトレンドを変えるのはほぼ不可能ではないかと…事実、著者もそう考えているらしいのですが、それでも300年後にはこれが主流になっていると著書の中で言ってします。人間、やっぱこのくらいのスパンで物事考えられる方が良いですよね。


マトリックス会計(直感で分かる。これは凄い。多分次世代はこんな感じになる。と思う。)
この記事についてブログを書く
« TOB後にこそ、真の価値が待っ... | トップ | エンジンと経済とその他戯言 »

投資日記」カテゴリの最新記事