くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

またもや苦しい言い訳「朝霞国家公務員宿舎の建設再開」(2)

2011-09-23 18:11:00 | 政治経済のことも考えよう
財務省が増税を訴えながら、
朝霞に105億円の国家公務員宿舎を建設していることについて、
報道などで取り上げられたことから、次第に批判の声が大きくなっています。

それにあわてたのか、財務省は昨日(9月22日)、
周辺の12ヶ所の宿舎を廃止・売却すれば、10億~20億円の収入が見込まれると発表。
同省の藤田幸久副大臣は記者会見で、
「既存宿舎の売却でプラスになった10億~20億円を復興財源に回したい」 と説明しました。
また、これは 「5年間で15%の公務員を削減するための集約過程である」 とも。

またもや、役人と言いなり政治家の、何の説得力もない苦しい言い訳です。

1.10億~20億円は復興財源に回す?

朝霞住宅を建設しなければ、10億~20億円どころか、
事業計画費用の105億円が丸々復興財源に充てられます。

2013年に完成し、それから既存宿舎の公務員が朝霞住宅に移転し、
既存宿舎跡地の売却をするとして、売却益が出るのはいったい何年後のことでしょう。
お金を必要としているのは、まさに「いま」なのではないでしょうか。

2.5年間で15%の公務員を削減するための集約過程?

そもそも、「公務員を削減する」という合理化計画のために、
「まず、新宿舎の建設が必要である」 とする非合理的な計画が理解できません。

企業の再建計画であれば、
まず社員を減らし、歯抜けに空いた社宅に社員を移して集約し、
それから社宅そのものを売却するのが常道です。

しかも、宿舎へ集約するための転居費用は、誰が負担するのでしょう。
本人の都合による引越しではないから、つまるところ結局は国民の負担です。
転居自体も、もっとも合理的で費用負担の少ない計画ができていません。
こういった経費の類も見越しての10億~20億円の売却益なのでしょうか。

3.全国各地を勤務する国家公務員には宿舎が必要?

百歩譲ってそうだとしても、新たな宿舎を建設する理由にはなりません。
宿舎が必要ならば、既存の民間賃貸住宅を借り上げればすむことです。
レンタルやリースへの切り替えは、経費削減の基本中の基本です。

また、3LDKの宿舎の家賃が3万円/月とはどういうことでしょう。
周辺の賃貸住宅並の個人負担にすることが、公正というものではないでしょうか。
少なくとも財政再建の合理化というものは、そういうものです。

「俺たち公務員も納税者だ」という人がいます。
しかし、実際にはこのような宿舎の家賃補助のように、
民間では一般的ではないさまざまな補助や手当、福利厚生で還元されているのが実態です。
その原資は、もちろん税金。
そういう人たちが、「納税者」と自称するのはおこがましいにもほどがあります。

ところで、9月22日の新聞によれば朝霞市議会は、
反対住民からの「政府への働きかけ」の請願を不採択したとあります。

維持費だけかかって、何の収益もない公園などにするよりは、
市の人口が増え、税収も増える国家公務員宿舎を建設してほしいという、
朝霞市の思惑も理解できないわけではありません。

しかし、なぜ「国家公務員宿舎」でなければならないのでしょう。
(転勤者用の宿舎なので、朝霞市に実入りは少ないという意見もあります)

財務省は「財政再建」「復興優先」と声高に叫び、国民には「増税」を訴える。
その一方で、国家公務員優遇としか言いようのない新宿舎を建設する。
そして、それを止められない「政治主導」を標榜する政治家たち。

財務副大臣の藤田幸久議員のホームページには、
「泣く政治から 笑う政治へ」 というキャッチコピーが書かれていますが、
これでは 「泣く政治から 笑われる政治」です。

工事を請け負った大林組は、9月1日に着工したばかりです。
八ツ場ダムのように、事業計画が7割も終わっているわけではありません。
いまなら違約金を払っても、復興財源に回せるだけの事業費は充分に残ります。

「泣いている国民から 笑う国民へ」 の政治を目指してほしいものです。