くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

「風評被害」か「買い控え」か

2011-09-04 17:53:00 | 政治経済のことも考えよう
スーパーに行くと福島県産の果物が激安です。
千葉県産の梨が一個100円なのに対し、福島県産は箱売り(24個)で1000円。
山梨県産の桃の値段はわかりませんが、福島県産は箱売り(6個)で500円。
贈答用の大きくて立派な桃でも一個140円くらいです。

理由は言わずもがな、でしょう。
これを「風評被害」でなく、単なる消費者の「買い控え」だという人もいます。
確かにそうとも言えますが、果たしてそう言いきってしまって良いのでしょうか。

「風評被害」とは、根も葉もないうわさ話や、
事実と異なった情報によってもたらされた被害のことをいいます。
今回の場合、放射能が検出されていないのに、汚染されていると報道された結果、
農産物が売れなくなってしまったというのなら、間違いなくそれは風評被害でしょう。

しかし、農海産物に放射能が検出されているのは事実ですし、
その数値についても、インターネットでさまざまな団体や機関が公表しています。
その情報を消費者が自己判断し、商品を買わない人がでてくるのは、
風評被害ではなく、当然の消費者行動の結果であるといえます。
つまり、「無農薬野菜でなければ買わない」とか
「食品添加物を使ったものは買わない」といった消費者心理と同じです。

これが「風評被害ではない」とする考え方です。

しかし一方で、インターネットなどには過激な書き込みがたくさんあります。
何の合理的な根拠もないまま、週刊誌などの扇情的な記事を鵜呑みにして、
「検査結果は信用できない」「本当はヤバイらしい」と周囲の人に話したり、
インターネットに書き込むことが風評被害の温床となります。

福島県産の農海産物を贈られて、「こんなもの食べられない」、
「贈る人の神経が信じられない」などといった発言も風評被害のもととなるものです。
たいていは、自分が風評被害の一因になっているとは思っていません。


「検証 東日本大震災の流言・デマ」  荻上チキ 著 / 光文社新書 刊
私たちの何気ない一言が、どのように流言やデマになっていくかがわかります。

もちろん、これまで誰も経験したことのない事故ですから、
何が正しく、何が誤った判断なのかは、まだ誰にもわかりません。
「リスクを負ってまで食べたくない」という選択をした人を責めることはできません。

ただ唯一、確実にいえることは、
今回の損害が、農薬や食品添加物のように生産者の意思による結果ではなく、
また、風水害のような自然現象によってもたらされたものでもない。
故意ではないにせよ、第三者によって商品価値を傷つけられた実損であるということです。

ところで、うちですか? ご覧のとおりです。



皮肉にも、今年の出来は良いそうです。甘露!