くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

地域避難所は誰のためか

2011-09-01 22:38:03 | 総務のお仕事(防災)
防災の日の今日、都内では各所で防災訓練が行なわれました。

例年、東京都や各区では、
この日に総合防災訓練(避難、救助、消防)を行なうのですが、
今年は3月11日の大震災時に帰宅困難者などで交通が混乱したことを踏まえ、
都内主要道路の交通規制や帰宅困難者対応に特化して訓練が実施されました。

3月11日の震災直後、
都内には多くの帰宅困難者があふれ出し、大混乱に陥ったのは記憶に新しいところです。
ある区では、地域避難所に指定されている小学校に帰宅困難になった会社員が押しかけ、
「毛布を出せ」「備蓄食料を出せ」と管理者につめより、
一時は険悪な雰囲気になったといいます。

原則として地域避難所は、地元住民のために整備されたものであって、
帰宅困難者やその地域の会社に勤務する住民以外の会社員などは想定していません。

地域避難所に何千、何万人という帰宅困難者が押し寄せたら、
地域住民のために備蓄された食糧や毛布、簡易トイレなどは瞬く間に底をついてしまいます。
本当に支援が必要なお年寄りや子どもたちを救護することができなくなってしまうのです。

それでは、帰宅困難者を救護するのは誰でしょうか。

それは自分が勤務する会社であり、自分自身になります。
会社の防災担当者は、
行政による防災講習会などで、そのことを耳にタコができるほど繰り返し聞かされます。
そして、帰宅困難者を社外に出さないように要請されます。

地元住民を救護するのは行政であり、会社員を救護するのは会社だというわけです。

会社で従業員の人数分の食料や飲料水を備蓄するのが理想ですが、
それだけの余力が会社にない場合は、従業員各自でビスケットやチョコレート、
飲料水などを非常食として机やロッカーの中に保管しておくよう指導します。
賞味期限がきたら、残業食にしてし入れ替えます。

さらにブランケットや徒歩帰宅用のスニーカー、リュックなども置いておけば完璧です。

災害時に、消防隊のように積極的に誰かを救助しなくても、
自分が要救護の帰宅困難者にならないようにすることで、
間接的に多くの地域住民を救護していることになるのです。

企業の防災担当者の間では常識になっているようなことでも、
先の小学校に押しかけた会社員のように、
一般の会社員にとっては、まだまだ周知不足です。

行政によって、そういう空気を醸成する必要があると思います。