くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

メールの作用と反作用の法則

2011-10-28 23:35:13 | これが会社で生きる道
みなさんの周りにはいないでしょうか。
2~3分で打ったような簡単なメールで頼みごとや問い合わせをしてきて、
対応が自分の意にそぐわないと怒り出す社員が。

総務にはいろいろな部署・社員から、いろいろな依頼ごとが寄せられます。

よほど特別な事情がない限り、
2~3分で打ったようなメールには、2~3分で打てる程度の回答しかしません。
逆に資料などを持参し、顔をつき合わせて頼まれたようなことには、
やはりそれ相応の手間と時間をかけて回答することになります。

しかし、メールでの依頼などの場合、
ときどき自分が意にそぐわない対応だと、
メールの背景に託したという「想い」や「意図」とやらを切々と語り、
対応に誠意がないとか、わかっていないとか、
クレームをつけ始める社員がいます。

会社で誰かに物事を依頼したり、質問したりする場合には、
相手に求める対応の程度に応じて資料を添付したり、
足を運んで直接会って伝えたり、時にはその上司まで根回しが必要だったりします。

「検討よろしく」とか「回答お願いします」などといった、
メール一本で済ませようとするなら、
相手もその程度の依頼であるとしか受け取りません。

メールを受ける側はそういったことに敏感なのですが、
いざ、送り手の立場になるとつい忘れがちになります。




書籍「日本一のクレーマー地帯で~」から

2011-10-27 23:08:43 | 総務のお仕事(反社対応)
昨日に引き続き、
「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」(三輪康子・著/ダイヤモンド社)から。

「おもてなしとは、命を張ること」 と著者は言います。
命をかけてまでも人を信じて対応することから発しているそうです。

著者が身の危険も顧みず、なぜ従業員やお客様のためにそこまでできるのか?
それは、地域医療に生涯をささげ、亡くなってもなお地域の人々から愛された、

開業医の父親の生き方と教育の影響だと著者は記しています。

「怒りをぶつけられたら、やさしさで返す」
「真心があったら、必ず通じる。そういう信念があれば、人は必ずわかりあえる」

さすがに凡人には、この支配人と同じ心境で反社対応はできませんが、
本書からは不当要求に対抗するうえで、大切な法則を見出すことができます。

それは、「対応に決して例外を作らない、認めない」 ということです。

不当要求への対応が長引いたり、怖い思いをしたりすると、
つい「このくらいなら」「今回だけは特別に」といった妥協をしたくなります。
しかし、それこそが相手の思うつぼ。
反社会的勢力や悪質クレーマーにつけ入られる大きな要因のひとつとなります。

「ヤクザは泊めない」「クレーマーにはお金を渡さない」
どのような場面にあっても、このルールだけは決して曲げず、
一歩も引いていないことがわかります。

ブレることのない、毅然とした対応をしつつ、
怒鳴られても、やさしさを一つでも多く返す・・・

やはり凡人には無理です!


決してマネできないクレーム対応

2011-10-26 22:36:48 | 書籍の紹介
昔、「ミンボーの女」という映画がありました。(1992年 伊丹十三監督)

暴力団にたかられ、食いものにされていることが常態となっているホテルを舞台に、
従業員たちが民事介入暴力専門の女弁護士(略してミンボーの女)と力を合わせ、
不当要求を撃退して、正常なホテルに立て直していくというストーリーです。

この本を読んで、真っ先にその映画を思い出しました。


「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」 三輪康子 著 / ダイヤモンド社 刊

まさに、事実は小説(映画)よりも奇なり。
反社対応にもすごい世界があるものです。
映画以上に過激な暴力団との対峙に驚かされました。

著者は、新宿歌舞伎町にあるビジネスホテルの女性支配人です。

彼女が支配人として着任したとき、
ホテルの駐車場は暴力団の車で不法占拠され、
ロビーでは白昼堂々、カツアゲが行われているような状態だったそうです。
警察に電話をしても「ああ、犯罪者が泊まっているホテルでしょ」
と、真剣に取り合ってもらえなかったと言いますから、
完全に暴力団関係企業の扱いです。

そこで彼女は、暴力団におびえながら働く従業員を守り、
一般のお客さまが安心して宿泊できるホテルにするため、
孤軍奮闘の闘いを始めます。

タイトルだけを見ると、
不当要求を繰り返す反社会的勢力や悪質クレーマーに対し、
どう立ち向かっていくかを示したビジネス本のようですが、
むしろ、読み物としての要素が強く、
さまざまなエピソードが臨場感たっぷりに語られています。

宿泊を拒否され、日本刀を振りかざす相手と対峙したり、
不法駐車をやめさせようとして殺気立った相手に襲われ、
あわやというところで駆けつけた警察官に救われたりと、
まさに映画さながらのエピソードが満載です。

「信念が、理不尽な状況から自分を救う」
著者はそう語りますが、決して真似のできる対応ではありません。

とにかく著者(支配人)を筆頭に、
責める方も、守る方もキャラクターが際立っています。
この本、きっとドラマ化のオファーがあるのではないでしょうか。



どこから密接交際者?~暴排条例(4)

2011-10-25 23:02:00 | 総務のお仕事(反社対応)
暴力団員になってしまった同級生と酒を飲んだら、
暴力団との密接交際者とみなされて警察にマークされる。
ピザ1枚でも暴力団事務所に配達したら、
暴力団関係企業とみなされて社名を公表される。

暴排条例が施行される前、一部でこのようなことがまことしやかに言われました。
だから、暴排条例は人権無視のとんでもない法律だと。

しかし、これまで書いてきたことからもわかるように、
暴排条例は、そのような法律ではありません。

あくまでも、暴力団の活動促進となるような利益供与をしたり、
逆に暴力団の威力を借りてトラブルを解決するなどの利益を得たりしなければ、
ただちに暴力団との密接交際者とされることはないのです。

これが、私たち一般人における暴排条例です。

しかし、芸能人の場合は少々異なります。

松山千春は会津小鉄会などの暴力団の会合に出席したことについて、
「個人的な参加で、報酬は一切もらっていない」と胸を張り、
島田紳助は引退の記者会見で、
「たったこれだけで引退しなければならないんです」と理不尽そうに言いました。

無名の一般人であれば、その言いわけも通用しますが、
その存在自体に価値のある芸能人は、そういうわけにはいきません。

暴力団に限らず、我々一般人でさえも、
有名タレントや著名人などと付き合いがあることは、一種のステータスになります。

暴力団にとっては、組織幹部の慶弔や会合に大物タレントが来たり、
有名芸能人の〇〇と付き合いがある、というだけでひとつのハクになります。
つまり、お金だけが暴力団の活動促進を助長するわけではないということです。

ただ摘発されたり、氏名が公表されないのは、
そういった無形の利益供与だけでは、立証が困難であるからに過ぎません。

「自分は、一般人とは違う」ということを自覚し、脇を締め直さない芸能人は、
これからの芸能界で生きていくことは、不可能なのではないでしょうか。

松山千春のように暴排条例の施行に反対を唱える者を見聞きすると、
「こういう人は、反社会的勢力に悩まされたことがないんだろうな」
「どれほど多くの人が、反社対応に苦労しているのか知らないんだろうな」
と腹立たしくなります。



どこから密接交際者?~暴排条例(3)

2011-10-24 22:31:26 | 総務のお仕事(反社対応)
経営者の肉親に暴力団員がいるとわかっている場合、
その相手(会社)と取り引きすることは、暴力団排除条例に抵触するのでしょうか。
つまり、その相手の会社は、暴力団関係企業とみなされるのでしょうか。

結論から言うと、経営者の親兄弟などが暴力団関係者であっても、
その会社の経営や事業などに暴力団関係者である肉親が介入していなければ、
その会社が当局から暴力団関係企業と指定されることはありません。

したがって、この会社と取り引きすることは、ひとまず「セーフ」であるというのが、
研修で講師を担当した弁護士の説明でした。

しかし、外部からの反社会的勢力の遮断には徹底していても、
身内が暴力団関係者であれば、脇が甘くなるのも容易に考えられます。
まして、同居や同じ地域に居住していればなおさらです。

そこで、こういった会社と取り引きする場合は、
少なくとも、その会社と経営者の素性を調査し、
反社会的勢力とは無関係であることを確認することが必要です。
もちろん、契約書には、「暴排条項」を入れることも不可欠です。

暴力団排除条例には、事業者の契約時における措置(第18条)として、
「暴力団関係者でないことの確認」と「暴力団排除条項規定」が義務付けられています。
罰則はによる不利益処分はないものの、あくまでも「自助」が基本だそうです。

また、弁護士によれば、
ここまでしておけば、万一、あとで暴力団関係企業と判明した場合でも、
「実は知っていたんじゃないのか?」というような疑いは晴れるのではないか、
ということでした。

なお、具体的な確認方法としては、
①自社の反社データとの照合や調査会社への依頼(自助)
②業界団体からの反社情報の提供(共助)
③暴追センターなどへの照会(公助) などがあります。

ただ、このような方法があるとしても、
私たち素人には、相手が暴力団関係企業か否かはわかりにくいものです。
そこで、東京都の暴排条例では、適用除外(第28条)の条項を設け、
取り引き後に判明した場合の自主的な関係遮断を促しているのだそうです。

また、保護措置(第14条)では、
このような暴力団との関係を遮断しようとする者が、
暴力団や暴力団員から危害を受ける恐れがあるときは、
警察官による保護措置を講ずることになっています。

実際に警視庁では、
10月以降、保護担当警察官の増員をしているとのことでした。