くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

中国の種まき

2012-11-29 23:15:26 | 政治経済のことも考えよう
中国が新旅券(パスポート)に、東シナ海などの周辺諸国との
係争地域を自国領とする地図を記載しことに対し、ベトナムや
フィリピンが抗議している問題。

国際法的には領土主張の効力はないとされ、アメリカは「入国
スタンプが押されても、米国が係争地域を中国領と承認した
ことにはならない」との見解を示したといいます。

また、在日中国大使は、「図案は特定の国のものではない。
関係諸国は理性的、客観的な態度で冷静に対応してほしい」
と述べたと報道されています。

厚顔無恥も甚だしい中国大使の発言ですが、いつもながら
中国の手練手管と遠大な計画には唸らされてしまいます。

中国は、いますぐに係争地域を世界に認めさせることが目的
ではないし、それを期待もしていないでしょう。
しかし、子や孫の世代になったとき、「これが係争地域が中国
領であることの証拠のひとつとして使える価値が出てくる」、と
目論んでいるのは明白です。

つまり中国は、いずれ旅券にスタンプが押された事実を示し、
「国が発給した公文書に印が押されているではないか。各国が
 有効なものとして認めていた証拠だ」と古い旅券を持ち出して
くるのは日の目を見るより明らかです。

「もの」は事実をして変わらずに存在し続けますが、それを扱う
人の心や記憶、法律は時代によって変わるものです。
中国は、それを利用することがとても巧みです。
いわばこれが中国の「種まき」なのです。

ベトナムやフィリピンは地図の書かれた旅券にはスタンプを
押さず、別紙に押すことで対抗しているといいます。
これらの国々の懸念や措置は過剰どころか、極めて正常だと
思います。力(武力)での係争には勝ち目がない以上、リスク
管理としては当然の結果です。
むしろアメリカの見解こそ、「能天気な対岸の火事」です。

もしこれが、中国と相手国との立場が逆だったら、果たして
中国は旅券にスタンプを押すでしょうか。
答えは考えるまでもありません。

今回の地図は、尖閣諸島問題が緊張化する前に決まっていた
ため、尖閣諸島は含まれなかったそうです。このことから見ても、
中国の意図は明らかです。

もし、尖閣諸島が中国領として含まれていたら、日本政府はどう
対応したでしょうか。書面や口頭での抗議だけで、スタンプを押す
という行為は、形式だけの抗議よりも意味を持ってしまうものです。

日本はこれを対岸の火事とせず、学ばなければなりません。



「歴史教育」の持つ力

2012-11-27 23:36:40 | 子育て
大学受験の社会科は世界史でした。
教員免許も専門科目は世界史で取得しました。
結局、教師にはなりませんでしたが、
歴史にはずっと興味を持ち続けてきました。

そして最近、思うのです。
若者が将来に希望を持てず、
また、「いじめ」が頻発する原因には、
学校が教える日本人の自虐史観に一因があるのではないか、と。

先祖の功績を学び、子供たちに生きるための誇りと、
未来を築く希望を持たせるのが教育です。

決して他国の人々や反日日本人に言われるがまま、
自分たちの先祖がいかに残虐非道であったかを子供たちに教え、
かの国に頭を下げ続けることを教えるのが教育ではありません。

「おまえは、だめなやつだ」
と言われて育った子供の心がすさんでいるように、
自虐史観でもって、自分たちを貶める教育を受けた者に、
他人を思いやる心が育つはずもありません。

それは、かの国の人々や反日日本人の言う、
「歴史の歪曲」ではありません。

ひとつの事象に対する歴史観には、
必ず「あちら側の視点」と「こちら側の視点」の二面性があります。
相手の言いなりのまま、「あちら側の視点」だけを教えることこそ、
「歴史の歪曲」に他ならないのです。

それを教えられない社会科教師の存在を無念に思います。


「恕」のこころ

2012-11-25 22:22:22 | 政治経済のことも考えよう
ことあるごと、昔に喧嘩したときのことを持ち出して、
何十間年も、「反省が足りない、謝罪しろ」と責めたてる友人。

自分が得をしているときは機嫌が良いけれど、
少しでも損をしようものなら、「あのとき、あなたはこう言ったよな」と、
自分に都合の良いところだけをつまみ食いして責めたてる友人。

40年前に「仲良くしよう」と約束したはずなのに、
子供や孫たちにはずっと悪口を言い続けている友人。

普通の人なら、こんなに何十年間も延々と悪口を言われ、
いつまでも「謝れ、反省しろ」と言い続けられたら、
誰でもぶち切れるのが当たりまえです。

それを耐え忍ぶことが、果たして美徳なのでしょうか。

親同士の喧嘩のわだかまりを子どもたちに伝え、
子々孫々、一方は永遠に謝罪させ続け、そして一方は頭を下げ続ける。
果たしてそれで子供や孫たちが幸せになるのでしょうか。

同じ過ちを繰り返さないようにすることと、
いつまでも反省と謝罪をしつづけることとは違います。
「親の喧嘩は不幸なことだったが、子供たちには関係ない」
お互いがそう認識する時代に来ているのではないでしょうか。

学生時代、歴史の教師がこんなことを言ってました。

「戦争によって生まれた相手への憎悪は、
 別のもっと大きな戦争が起きて、
 別の違う相手に向けられるまで、ずっと消えることはない」

もしそうだとしたら、
お互いの子供たちにとって、こんな不幸なことはありません。



もう買収されるのはやめよう!

2012-11-24 22:27:10 | 政治経済のことも考えよう
「〇〇党は、△△のみなさまに□万円の給付を実現します」

そうやって演説する政治家がいました。
そうやって政権をとった政党がありました。
こんな公約ほど、有権者をバカにした話しはありません。

法律的には選挙違反ではなくても、
こんな演説・公約は、選挙期間中に商品券の入った封筒を
有権者の家のポストに配るのと、本質的には何ら変わりません。
ただ順番が違うだけです。

それどころか、その原資の負担は、
給付を受ける有権者に強いればいいし、
財源が確保できなければ途中でやめてしまってもいい。
政治家(候補者)にとってこんなにお気楽な公約はありません。

現金のバラマキだという批判に対し、
「バラマキではなく、種(タネ)まきだ」と開き直った政治家もいました。
何を勘違いしているのでしょう。
むしろ「現金は肥料、人は種(タネ)」と言うべきです。
肥料のやり方を間違えれば、種(タネ)も苗は腐るのです。

こんな公約を掲げる政治家(候補者)を信用してはいけません。
私たちも、「もらえるものはもらっておこう」などと喜ぶべきではありません。
もっと大きなツケを払わされることになるのは、
これまでにも、何度も経験済みのはずです。

景気対策や消費増税の逆進性問題、少子化対策や年金問題も、
現金をばら撒くことでは根本的な解決にはなりません。

有能な政治家というものは、問題の本質を見極め、
制度や政策によって根本的な解決に導くものです。



見えてきた搾取のシナリオ

2012-11-23 17:34:32 | 政治経済のことも考えよう
「輪転機をぐるぐる回して、どんどんお札を刷って・・・」

所詮、自民党の経済政策もその程度か、とがっかりします。

「国民は民主党政権の経済政策にNOを出した!」

自民党・安倍総裁は声高らかにそう言いましたが、
先の発言を聞く限り、民主党と同じ穴のムジナに過ぎません。

一般にインフレーションは、
中央銀行がお金をどんどん刷り、
市場に供給し続けることによって発生します。
流通する紙幣の量が増えるので、私たちが手にするお金も増え、
一時(いっとき)は景気が良くなったかのような錯覚を起します。
しかし、流通する紙幣の量が増えると言うことは、
お金自体の価値はどんどん下がるということです。

これは、大増税することと同じことを意味します。

少し乱暴な例え方ですが、
市場に流通しているお金が1000万円あるとします。
その中から、私たちがこつこつと100万円を貯めたところへ、
国がお金を印刷してさらに1000万円供給したらどうなるでしょう。
貯めた100万円の価値は半分になってしまいます。

つまり、大増税と順番が逆になるだけで、
国が私たちの資産を奪い取ることによって、
お金を調達していることに変わりはないのです。

増税は手元のお金の量が減るので目に見えますが、
インフレーションは目に見えない「価値」が目減りするので、
自分のお金が減っていることになかなか気づきません。
だから、むしろ増税よりも悪質かもしれません。

これが「悪いインフレ」と言われるものです。
消費の拡大という実体経済が伴わないインフレです。

もちろん、安倍総裁が総理大臣になったからといって、日本がすぐに、
社会の教科書に出てくるようなハイパーインフレに陥るわけではないでしょう。
しかし、次期首相の最有力候補者として、
「言い方が良くなかった」で看過できるものではありません。

「どんどんお金を刷って、強制的に経済成長率3%を達成し、
 景気弾力条項はクリアしたとして消費増税を実行する。
 気がつけば国民は、実体経済の伴わないインフレと消費税増税で、
 二重に資産を国から搾取されている」

そんなシナリオさえ見えてきます。